2012.6.2 【尾瀬 アヤメ平トレッキング】 D-quickでmission accomplished


5月のハードワークを終え、かなり体調が不良であったことと、運動不足で足萎え?状態だったのでリハビリを兼ねて、水芭蕉咲く尾瀬をトレッキングすることにした。
最も混雑するという6月の第1週の週末ということもあり、鳩待峠から尾瀬ヶ原に下るコースは避ける計画を検討。
ルート、時間帯、天気を上手く選択すれば、それほどの大混雑には巻き込まれない計画を立てることにする。
尾瀬ヶ原の池溏に映る逆さ至仏山
まずはルートを決めた。
日帰りのアクセスの容易さを考え、やはり戸倉方面から入るのが順当であろう。
鳩待峠、富士見下、大清水の3ルートがあるが、ここは登りの容易さを考え、鳩待峠から入ることとする。
もちろん、鳩待峠から山の鼻へ入山するコースが最も混雑する。
そこで今回のルートは、山の鼻へのコースを避け、いきなりアヤメ平に上がってしまい、富士見峠から尾瀬ヶ原に下るコースとした。
このルートを取ることで、他の入山者との時間差も充分取れるので、時間帯の問題もクリア。
山の鼻から入るツアーは殆どが午後1時か2時には鳩待峠に戻ってくる。
我々が尾瀬ヶ原から山の鼻に着く頃には、多くの入山者は引き上げた後となるであろう。

そして、問題の天気。前の日までの天気予報は午前中曇りで午後は雨。
つい先日、5月の28日に落雷事故があったこともあり、天候の急変には充分な注意が必要。
その反面、入山者は減るであろう。

最大の懸念事項はリハビリと言いながらも行程が長いことくらいか。
帰りのバスは最終が17時10分。
それに間に合わなくても、日の入りは18時半過ぎなので、バスが無ければ、鳩待峠でタクシーを呼べばいいだろう。


前日、後輩のHT君に声を掛けると同行してくれるとのこと。
当初は単独行を考えていたのだが、同行者がいたほうが楽しいし、心強い。

都内を朝5時に出発。
関越道経由で渋滞もなく、8時前には尾瀬戸倉に到着。
第1駐車場はすでに満車とのことで、「これじゃあ、尾瀬ヶ原は大混雑かあ」と思うが、第2駐車場に着くと、結構空きスペースがあり、ホッとしながら駐車。

心配された天気もほぼ快晴である。
バス停で鳩待峠行きのバスを待つが、運よく相乗りタクシーが到着、待ち時間もなく鳩待峠へ向かう。

8時20分鳩待峠に到着。
鳩待山荘前には、多くの入山者が支度をしていたが、想定したほどの大混雑ではない。
この時期の週末は、平均で一日6,000人以上の人が尾瀬に入山するということだが、我々が着いた時間が早かったの遅かったのか。とりあえずOK。

登山の準備を終え、登山口へ。
アヤメ平への登山口に立っていた自然保護監視員?の方にアヤメ平方面に行った人の数を聞くと今日は15人ほどとのこと、しかもそのうち5、6人は雪が深いので途中で引き返して来たとのことである。
一応、アイゼン無しで行けるということと熊情報を確認して、登山開始。
鳩待峠を振り返る


樹林帯をしばらく歩くと、すぐに雪が登山道を覆いはじめる。
思ったより多い積雪である。木道は殆ど雪の下に消え、先行者の踏み跡と冬用の標識が登山道を教えてくれる。

HT君と「これでガスったら迷いそうだな」と話していると、本当に迷った。
踏み跡も標識も見えない。
まあ、天気は良いし、登りなのでさほど心配はしなかったが、久しぶりのロストに気を引き締める。
ほどなく、HT君のGPSのおかげで登山道に戻ることができたが、もうそこは横田代の直下であった。

横田代の休憩所でしばらく稜線上の尾瀬を堪能する。来たほうを振り返ると雪を被った至仏山がきれいな稜線を見せている。
天気も上々。ここからしばらくは大好きな稜線歩きとなりました。


アヤメ平までの30分ほどの行程は、後ろに至仏山、行く手には燧ケ岳、左手には景鶴山、右手には日光白根という超豪華版の稜線歩きとなりました。
高層湿原は、雪解け直後ということで、まだヒツジ草なども枯れた姿で、花々もほとんど見当たらないが、他に登山者の姿も無く、天気も無風快晴。静かな山旅を堪能する。



登山再開後、今回で7回目の尾瀬であるが、このコースも逆ルートで1度来ている。
その時は、長沢新道をぜいぜい言いながらなんとか登り切り、富士見田代まで来た時にようやく見えた燧ヶ岳の姿に感動した。池越しの燧ケ岳であった。
今回も富士見田代からの燧ヶ岳を見るのが楽しみの一つである。

そして、富士見田代に到着。
なんと池は雪に埋まっており、休憩所のベンチも半ば雪に埋もれている。
でも、その向こうにはくっきりと燧ヶ岳が見えました。

この富士見田代に着くまでに会った登山者はたった4人。
このDクイック(ちょうどバレーボールのロンドン五輪最終予選中です)的なコース選択に間違いなし。

ここからは長沢新道を1時間くらい下りますが、何組かのパーティとすれ違いました。
尾瀬ヶ原に着くまでの90%くらいの行程が雪道だったのですが、適度に柔らかくなっており、非常に歩きやすく、普段は嫌いな下りもサクサクと快調に降りられたのでした。

13時に尾瀬ヶ原に到着、いきなりミズバショウ群生地です。
ミズバショウ越しには、再び至仏山が我々を待ってました。

尾瀬ヶ原の中心とも言える竜宮十字路を経て、ほどなく竜宮小屋へ到着。
あとで聞いたのですが、前述の落雷事故は竜宮十字路で発生。一人死亡一人重症の惨事だったとのこと。悪天候下でヘリが飛べす、戸倉経由で山の鼻から入った水上の山岳救助隊がもの凄いスピードで駆け付けたとのことです。


竜宮小屋で休憩。
小屋の中でコーヒーを飲んでいると、この小屋の近くにザゼンソウがあると言う。
親切な小屋のご主人の案内で、ザゼンソウ観察に出発。
でもちょい季節がずれてるのかようやく2株だけ発見。このあたりには7株確認されているそうですが。
初めて見るザゼンソウでしたが、教えてもらわなければ多分気づきませんね。
こちらを向いている1株をなんとか撮影。


当初の計画では、ここから牛首を経て山の鼻に抜けるコースを考えていましたが、疲労も少なく、時間もあるので、尾瀬ヶ原最奥部のヨッピ吊り橋、東電小屋まで足を延ばすことにする。
尾瀬に初めてきた頃は、このあたりの地名は神秘的な雰囲気だった。
牛首、竜宮、ヨッピ、東電小屋。一体このあたりには何があるんだろう。
とくにヨッピってなんだろうって思いませんか?
(「ヨッピ」とはアイヌ語で、「呼び」「別れ」「集まる」といった意味で、多くの川が集まるところから、名づけられたとのことです)
しかも、このあたりの地図には「熊出没注意」と必ず書いてあります。
かなり、ワイルドなエリアです。
熊避けのベルが常設
私事ですが、実は、このヨッピと東電小屋のルートだけが、これまで足を踏み入れてないルートだったので、これで尾瀬沼方面を含む尾瀬一般ルートは、すべて完踏したことになります。
ヨッピつり橋 冬は積雪のため板を外します

東電小屋が見えてきた
ヨッピ吊り橋を経て、東電小屋にて折り返す頃には、かなり天候が悪化。
燧ケ岳には真っ黒い雨雲がかかったきて、時折、パラパラと小雨が降ってくる。
大きく崩れそうには無かったが、ここで昔から使っているマーフィの法則を応用した対策を講ずる。
そうです。雨具を着て、傘を出します。
雨具を着ると雨は止み、雨具を着ないと雨が降る。
これはかなりの確率で当たりますのでお勧めです。


今回もそれ以上天候は悪化せず、この後、鳩待峠まで雨は降りませんでした。

牛首を通り、山の鼻まで尾瀬ヶ原を快適にトレッキング。
この頃には日帰りの入山者は引き上げてしまったのでしょう。
時間差攻撃、ズバリ的中です。
木道の上で渋滞などということもまったく無く、静かな尾瀬を楽しめました。

ただ、肝心のミズバショウは、最盛期ではあるものの、花の縁が黄変していて、去年のような見事さはありませんでした。
聞けば、開花後に霜が降りるとこうなるとのこと。このところ毎朝霜が降りているとのことでちょいと残念。
山の鼻小屋
山の鼻には16時に到着。急げば最終バスに間に合いそうではありますが、当初の計画通り急ぎません。
HT君を研究見本園1周に送り出し、私めはちょい疲れたのでベンチで休憩。

その後も山の鼻への道をあわてずさわがず、エンレイソウ、シラネアオイなどを堪能しながら登ったのでした。
ゆっくりと歩いて山の鼻には17時20分すぎに到着。




山の鼻ではすぐに大型タクシーに乗ることができ、しかも親切な運転手さんでタクシー代を負けてくれた上に、いろいろと最近の尾瀬事情についても聞かせてくれました。

今日の行程は23㎞とリハビリとしてはオーバーワーク気味でしたが、事前に立てた計画が、すべてうまくいったので、充実感のあるトレッキングとなりました。
最盛期でも、静かな尾瀬は味わえます。

ミッション・アコンプリッシュト。


<山行記録>
日程:2012年6月2日(土) 日帰り
同行者:HTさん
天候:晴れのち曇り一時小雨

当初計画:鳩待峠(9:00)-横田代(10:35)-アヤメ平(11:30)-富士見田代(12:20)-(昼食1)-竜宮十字路(14:10)-牛首分岐(14:50)-山の鼻(15:45)-鳩待峠(16:55)

コースレコード:鳩待峠(8:18)-横田代(9:45)-アヤメ平(10:30)-富士見田代(11:10)-(昼食1)-竜宮十字路(12:58)-竜宮小屋(13:08)-(昼食2)-ヨッピ吊り橋(14:05)-東電小屋(14:25)-ヨッピ吊り橋(14:47)-牛首分岐(15:28)-山の鼻(16:00)-鳩待峠(17:16)

実歩行時間:6時間40分