2015.6.28【浅間山外輪山 黒斑山・蛇骨岳山行】梅雨とは思えぬ爽快山行。快適レベルはMAX!

白煙を上げる浅間山(蛇骨岳より写す)
梅雨時の山行計画は難しい。
晴れた日を見計らって平日に休んで行っちゃえばいいんだけど、骨折以来単独行は自重(実態は禁止)していることもあり、当面は同行してくれる人のいる土日を中心に考えるしかない。
しかも、あえて雨の中を突っ込む年齢でないこともあり、この3週間うまく天気と折り合いが付かない。
この6月27、28日の週末も、梅雨前線を大陸と太平洋側の高気圧が挟むという完全梅雨型の気圧配置で半ばあきらめ気分であった。
しかし、土曜日になり予報が突如好転する。
特に富士山から中央アルプス、奥秩父、八ヶ岳のあたりまでは時間毎の予報に「晴れ」マークが付き始める。
2015年6月28日9時の天気図
「晴れ」マークの多い、蓼科山や八ヶ岳、奥秩父の山々が候補地に上がるが、今回同行していただけるHT君の提案で、浅間連峰の外輪山「黒斑山(くろふやま)」に目標を定める。
写真は全てクリックで拡大します。
「信濃なる浅間の嶽にたつ煙 をちこち人の見やはとがめぬ」
伊勢物語にも詠われているように、浅間山は古来より絶えず噴煙を上げている山である。
噴煙程度であれば地元の人は驚きもしないのである。

浅間山の火口付近は、1972年から立入禁止である。
火口から4kmの範囲が立入禁止となっているが、登山ルートは例外とされ、火口か500mまでの登山が認められて、前掛山(2,525m)までは登山可能であった。

しかし、2015年6月11日15時30分、小噴火が確認され、噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた。
その結果、前掛山も登山禁止となり、浅間山第一外輪山の黒斑山(2,404m)が、浅間連峰で登山できる最高峰となった。

と、前置きは長くなったが、
いきなり朝7時30分。
なでしこJapanが、オーストラリアをやっつけた余韻も味あわず、我々2人は浅間山麓・高峰高原の駐車場で登山装備を整えていた。
登山口の登山ルート図
入山者を見張る監視員+ビデオ撮影のお姉さん
入山の監視が厳しい折でもあり、入山届けをちゃんと出し、HT君の指令でヘルメットまで持参して登山口に入る。
整備された樹林帯の山道を登りはじめる。
登山道で振り返る
トーミの頭(左)と浅間山
前日までの雨を考慮し、スパッツを付けるが、さしたるぬかるみもなく、種々の花々を写しながらの気持ちの良い登山となった。
登山者も少なく、風は爽やか、日差しは柔らか、湿度も低く、梅雨の最中とは思えない爽快さである。

あっという間に400mの標高差を詰めきり、第一の展望箇所である「トーミの頭」に到着。
トーミはもともと「遠見」が語源らしいが、たしかに南東方面の視界が開け、奥秩父連山の上に富士山、その横に中央アルプス、目を転じれば八ヶ岳がバッチリ!
浅間山全景
カモシカ平を覗く カモシカは見当たらず
秩父連山の向こうには富士山が顔を見せる
小諸の街と八ヶ岳
もちろん眼前に鎮座する浅間山は圧倒的である。
とくに説明はありません
この角度からは、本峰は前掛山に隠れているが、その大きな山体は立ち昇る白煙も含めて火山そのものである。
雲だか煙だか
いきなり「ヒューン」という音とともに何かが浅間山に向かい飛んでいく。
ドローンである。浅間火口の状況を調査しているのであろうか。それにしても4km近くも離れていて操縦可能なのだろうか、バッテリーは保つのであろうか。
山頂近くまで飛んでいくのは確認したが、その後、そのドローンがどうなったのかは不明。
今日の目的地。黒斑山
しばらく休憩し、今回の目的地である黒斑山山頂に10時過ぎに到着。
黒斑山に到着
北アルプス方面の天気の状況を調査するためにさらに足を伸ばし、北側の展望が良い蛇骨岳(じゃこつだけ 2,366m)へと向かう。

このあたりで前掛山の奥にある浅間山本峰が白煙の中に見えてくる。
しばらくの間、快適な稜線歩きを続けるといきなり蛇骨岳の山頂に到着。10時40分。
HT君が「今日は腹が減りました」というので、ちょっと早いがお昼ご飯。
蛇骨岳に到着。草津白根は雲の中 
蛇骨岳頂上より
蛇骨岳頂上からは、北側が一望できる。
すぐ北にある草津白根山から志賀高原、その東側には谷川連峰や尾瀬。西側の奥には北アルプス。
ぜん~~ぶ雲の中でした。
すぐ北にある草津白根山も雲の中。
この浅間連峰までが本日の晴天の北限であります。
谷川岳方面は雲の中だった
今日の装備は重装備
今日の昼飯。スタバのコーヒー付き
涼しい風が吹く中、ゆっくりとコーヒーなどを飲んでいると、黒斑山からこちらに団体さんがドコドコと音を立てて向かってくる。
これまで静かだった山がにわかに騒然とする。
またまた出ましたクラブ○社主催の(推定仮称)「迫力の浅間山を間近に見られる、浅間山外輪山の最高峰「黒斑山」に楽々登山ツアー」(日帰り昼食付き12,800円也)のご一行様である。
総勢30名はいようか。どうやらここで昼食らしく「20分休憩で~~す。昼食を取ってください~~~!」と、最後尾がまだ登り途中でグダグダやってる最中にガイド?らしき人物が怒鳴り散らしている。
カモシカを探すもついに見つからず
当然、我々は速攻退散である。
来た道を折り返す。
帰り道も要所で、景色を楽しみ花を楽しみゆっくりと下山。
黒斑山へ続く稜線を征く
下りはルートを少し変えて樹林帯の中のショートカットを選んだが、熊にも出会わず無事下山。
登山届けに記載した「下山予定時刻13:00」を30分過ぎての車坂峠登山口到着となった。
登山口では、ちゃんと係員のおじさんが登山届けを確認していた。ご苦労様です。
本日の晴天タイムはちょうどここで終了。
我々が駐車場から車を出す頃には、厚い雲が黒斑山方面を覆い隠そうとしていたのであった。
登山口には係員が待っていた
今回残念だったのは2点。
カモシカに出会えなかったことと、ウスユキソウがまだ咲いてなかったことである。
それを補って余りある、爽快かつ健全な山行であり、警戒レベルは2でしたが、登山快適レベルはマックスであったことをご報告しておきます。
さて、次はどこに行こうかな。。。。

(付録)今日出会った花々
レンゲツツジ
シロバナノヘビイチゴ
マイズルソウ
イワカガミ
イワカガミ
ハクサンイチゲ
チョウジコメツツジ
キバナノコマノツメ
ゴゼンタチバナ
ミツバオウレン
ミツバオウレン
ハクサンシャクナゲ
ツマトリソウ 
登山道の真ん中の穴にヒカリゴケを発見
コケモモ HT写
ツガザクラ HT写
ミヤマイワニガナ HT写
キジムシロ HT写
ツバメオモト HT写

<山行記録>
日程:2015年6月28日(日) 日帰り
同行者:HTさん
天候:晴れ

当初計画:車坂峠(7:50)-トーミの頭(9:30)-黒斑山(9:50)-蛇骨岳(10:20)-(昼食)-発(11:00)-黒斑山(11:30)-トーミの頭(11:45)-分岐(11:55)-車坂峠(13:05)

コースレコード:高峰高原駐車場(7:50)-車坂峠登山口(7:55)-車坂山(8:15)-避難小屋・シェルター(9:15)-分岐(9:25)-トーミの頭(9:35)-発(9:50)-黒斑山(10:08)-発(10:15)-蛇骨岳(10:40)-(昼食)-発(11:30)-黒斑山(12:00)-トーミの頭(12:10)-発(12:25)-分岐(12:38)-車坂峠(13:28)

実歩行時間:4時間21分
トーミの頭からのパノラマ

2015.6.7 【北アルプス 乗鞍岳山行】 でも百名山。でも一万尺。

乗鞍岳である。
北アルプス最南端に位置し、坂上田村麻呂が飛騨平定の折に登山、開山したとされる。
日本に21座しかない3,000m峰のうち、第19番目標高3,026mを誇る山である。
山頂部のカルデラを構成する最高峰の剣ヶ峰、朝日岳などの8峰を含め、摩利支天岳、富士見岳など23の峰があり、広大な裾野が広がる。
乗鞍岳剣ヶ峰から北アルプス主稜線方面を望む
その一方、昭和48年に乗鞍スカイラインが開通した後は「日本で最も登りやすい3,000m超級の山」、「ハイヒールでも上れる山」とも称されてきた。実際にはハイヒールで剣ヶ峰に登るのはちょいと無理でしょうが。

しかし、なんといっても日本百名山。しかも、北アルプスに属する一峰である。
一度は登らずにはおけまい。
深田久弥も、著書「日本百名山」で「乗鞍信者は平和的で、浪漫的で、ウェットである。 その姿がいい。雄大で、しかも単調ではない。ゆったりと三つの頭を並べたその左端が主峰である。 前景の豊かな広がりがいい。胸の透くように伸びてコセコセしたところがない。 乗鞍にはさっそうとした感じがある。」と記述している。相変わらずの名文ですね。
写真はすべてクリックで拡大します。
我々は、前日。「鍬ノ峰山行」を終えると国道158号いわゆる野麦街道を通り抜け、乗鞍岳山麓の平湯温泉の旅館に到着。飛騨牛に舌鼓を打ったのであった。
早朝の平湯温泉は快晴
典型的な普通の日本旅館の朝食です。
そして、温泉で疲れを癒し、宿を未明に出発、乗鞍山頂でご来光を見るぞ!というストイックな山屋にありがちな山行は完全に放棄し、ゆっくりと旅館の朝ご飯を頂いていた。
平湯温泉の宿を出、ほおのき平バスターミナル(標高約1,200m)で乗鞍畳平(標高2,702m)行きのシャトルバスに乗り込んだのは、だめジャンと言われても8時半でありました。
ほおのき平バスターミナル
今年もこの乗鞍スカイラインは5月15日に開通。立山の雪の壁ほど有名ではないが、6月中旬までは畳平の手前に9mもの雪の壁が楽しめるとのことである。
展望のきく運手席のすぐ後ろの席をゲットする。
運転席の後ろに陣取る
畳平に到着です。
バスは、ぐんぐん標高を上げていく。登るにつれ、空は暗くなっていき2,000mくらいのところで雲に突入。畳平に近づき雲は晴れ、残雪が現れるが、肝心の雪の壁は、すでに消え失せていた。
あとで畳平の売店の婆さんが「今年はいつもの半分も雪ないね。このあたりも月末には全部溶けちゃうかもね」だと。
振り返ると畳平のバスターミナル
ようこそ乗鞍岳へ(後ろは鶴ヶ池)
鶴ヶ池の後方に見えるのは大黒岳(2,772m)
いずれにしろ、天気は恢復傾向にある。
我々は主峰剣ヶ峰3,026mを目指して出発。
畳平からは整備された広い登山道(本当は車道ですな)を歩く。
帰り道には立ち寄りたくなくなるであろう小ピークの富士見岳(2,817m)に立ち寄ったりしながら、肩の小屋までコースタイムを上回る快調なペースで到着。
富士見岳(2,817m)をさくっと通過
ときおりガスが湧いてくる
肩の小屋手前の雪の切り通し
肩の小屋が見えてきた

肩の小屋前で(これから登る剣ヶ峰も見えてきた)
心配された大雪渓上部のトラバースも難なく突破。一応、軽アイゼンは携行しているものの全く必要ない状態でした。
大雪渓も大分溶けてしまったのかそれほどの迫力でもない。
位ヶ原付近には、多くのスキーヤー(ボーダー?)がうろうろしていた。
この季節の乗鞍岳登山は、我々の選んだ畳平からのルートとこの位ヶ原(くらいがはら)から直登するルートがあるが、畳平からのルートを選択して正解。
登っている(降りている)傍らをスキーでピュ~~と滑られたらメゲちゃいますもん。
大雪渓をトラバース
上からスキーヤーが落ちてきた 
下を見るとテクテク登ってくる人もいます

最後の急登を登りきり、鳥居と社の立つ剣ヶ峰に到着。
雲は多いが、さすがは3,000m峰。絶景であります。
剣ヶ峰(3,026m)に到着 

笠ヶ岳の頂上がちらっと見えました。


古くからの信仰のお山なので山頂の飛騨側には乗鞍大権現、信州側には朝日権現神社が祀られておる訳ですが、朝日権現さん(たぶん)にお賽銭を上げ登山の無事を祈願した。
たぶんこっちが朝日権現
乗鞍大権現(たぶん)
今日は昨日より、雲低は上がり、約3,000mの付近で雲海を形成している。
残念なことにアルプスの主稜線方面は厚い雲に覆われていて、期待した槍穂高は全く姿を見せなかった。
その時、雲海のかなたに御嶽山の頂上が見える。威勢よく煙を上げており、火山活動は終わっていないことを実感する。いまだ6名の行方不明の人がいるとのことである。早期の発見をお祈りします。
白い煙を吹き上げる御嶽山
ちなみに乗鞍の美しい地形は多くの火口湖や堰止湖で作られているが、一応、有史後の火山活動は報告されていない。

風もなく、気温も快適な頂上で、今日もゆっくりとお昼ご飯。
おにぎり、大福にスタバのカフェ・ベローナ
雲海が晴れるのをまつこと1時間余。頂上に登ってくる人も増え、結構込んできた。
さすがに腰を上げる時が来たようだ。
一向に北アルプス方面の雲は晴れない
剣ヶ峰に立つ! S隊長の勇姿
頂上も大分混んできた
下りは、朝日岳(2,975m)に寄り道などはしたが、ガンガン降りる。
大雪渓トラバースも写真を撮ったりと余裕のよっちゃんである。
朝日岳直下の雪渓
大雪渓をトラバース 
この1枚だけ見るとすごい所に行っているみたいでしょ
剣ヶ峰を振り返る
さくさくと富士見岳登山口まで降り立つ。
ここでS君H君は、対面にある大黒岳を冷やかしに行く。
曇ってきた下山道 先を急ぐ
大黒山登山口
舗装道路で日本一の標高だそうだ
孤高の雷鳥君(H君写)
私は、剣ヶ峰に問題なく登ることができて満足していたこと、また無理して負傷でもして二人に迷惑かけちゃあいけないと思ったので、大事を取って荷物番をすることにした。
どうせ、曇ってて何も見えやしないし。
それでも乗鞍岳は3,000m超えてるし、百名山だし、文句はありません。
また、歩行時間を3時間に抑えたのが良かったのか、余計なことをしなかったのが良かったのか、筋肉痛も最小規模で済みました。

30分ほどして、S君H君が戻ってくる。
S君がうれしそうに雷鳥の写真を見せびらかしている。
「雷鳥もハクサンイチゲもシナノキンバイが見られたよ~~」とのこと。
くそ~~!と思ったが、ここに待っている間に私も雷鳥は見ましたよ。
午前中、この富士見岳登山口のあたりで、一声「ゲェ~~」と鳴いていたあいつがまた現れたのですよ。(雷鳥の鳴き声は基本的にゲェ~~しか聞いたことがない)
ちょっと遠くて写真は撮れなかったけどね。雷鳥でしたよ。
ハクサンイチゲとシナノキンバイは、畳平バス停の付近にも咲いていましたよ。
ハクサンイチゲ(畳平にて)
シナノキンバイ?(ちょいしょぼい。畳平にて)
畳平駐車場に2時半過ぎに無事到着。
当初の予定より2時間ほど遅くなってしまったけど、平湯温泉でしっかり汚れを落とし、あとはS君の運転で帰るだけなので、楽ちんなのである。

今回の山行は、天気はまずまず、展望はいまいち、雪景色もちょい駄目、そして高山植物に至ってはほぼ全滅。という結果ではありましたが、全体的にのんびりした山旅を楽しめた良い山行でした。

この後、小仏トンネル大渋滞で、あったまにきたS君が、高速を捨て一般道の山道を爆走するという事態となるが、それはまた別の話。
帰りの中央道で富士山が見えた。頂上まで晴れています。
<山行記録>
日程:2015年6月7日(日) 日帰り(前泊)
同行者:Sさん、Hさん
天候:晴れ時々曇り(3,000mくらいに雲海あり)
当初計画:畳平(8:40)-富士見岳分岐(9:20)-肩の小屋(9:45)-剣が峰(10:40)-(休憩)-発(11:10)-肩の小屋(12:00)-富士見岳分岐(12:25)-畳平(12:35)

コースレコード:畳平(9:25)-富士見岳(9:50)-肩の小屋(10:20)-発(10:30)-蚕玉岳(11:08)-剣が峰(11:15)-(休憩)-発(12:30)-朝日岳(12:45)-発(12:50)-肩の小屋(13:12)-発(13:18)-大黒岳登山口(13:50)-(大黒岳ピストンS君H君のみ)-発(14:25)-畳平(14:35)

実歩行時間:3時間
剣ヶ峰で観天望気を行う。