2010.8.8 【尾瀬 燧ケ岳山行】 今回も裏から攻める

この3年間で4回尾瀬には来ている。しかし、燧ケ岳は未登。

これまでは、尾瀬ヶ原、あやめ平、尾瀬沼、三条の滝、そして至仏山と尾瀬を巡って来た。
2008年6月に尾瀬沼を1周した時には、燧ケ岳がよく見えた。
その時は、まだ登山を再開したばかりだった。
白く残雪が残る燧ケ岳は、泰然と尾瀬沼を見下ろしていた。
尾瀬沼から燧ケ岳を望む 2008年6月1日
長蔵小屋の横に据えてある望遠鏡で燧ケ岳を見る。
頂上には多くの登山者がいた。
その時は、あの頂上には、到底登れないだろうなあと思った。


今回の山行もS君H君と3名のパーティで臨んだ。
今回の計画もS君のプランで、東北道を北上、会津高原を経由して御池に入り、御池登山口から一気に燧ケ岳を目指すというものだ。
尾瀬に入る方法は、鳩待峠や大清水から入るのが一般的だが、御池側から入山すると尾瀬沼や燧ケ岳への徒歩でのアプローチは短い。
ただし、御池自体は東京からはかなり遠い。
都内から車で300km弱の距離がある。前回尾瀬沼から三条ノ滝のコースを歩いた時も御池から入ったが、今回は8月の日曜日。ETC割引渋滞もまた懸念材料である。

燧ケ岳に登るには、長英新道、見晴新道、温泉小屋道、沼尻からの直登ルートなど、いろいろなルートがある。この御池からのルートは、尾瀬沼に寄らないためあまり人気のあるコースとは言えないが、樹林帯も短くコース全体に亘り景色が開け、高層湿原や池塘も多く、お花畑が広がるという素晴らしいルートである。

途中の湿原では、ミズバショウ、シャクナゲ、チングルマ、ワタスゲなどの花期の終わった群落が見られ、訪れる季節を合わせれば、また違った景色に出合える楽しみもあるコースでもある。

今はキンコウカが最盛期。
他にも多数の高山植物を楽しむことができ、まことに楽しいルートであった。
キンコウカが咲き誇る広沢田代
途中、広沢田代と熊沢田代という高層湿原を通過するが、その風景はまさに尾瀬ならではのものである。
それまでの急登を忘れさせてくれる別天地と言える。
広沢田代を行く
尾瀬には、数多くの田代が存在する。田代とは、湿原という意味だが、耕せば田んぼになるような土地なので、田の代わりになるというようなことらしい。
この田代に木道がある風景がまさに尾瀬の雰囲気であります。

また、熊沢湿原は、結構珍しい傾斜湿原(普通湿原は水平なのだが、ここは確かにかなりの勾配があります)であることでも有名で、また、名前が示す通り、本物の熊さんの通り道だそうです。

熊沢田代の池塘
燧ケ岳への登りは、登山口から入ると、いきなり急登(急なドロ道)→田代→急登(急なぬかるみ道)→田代→急登(急な岩礫道)そして、頂上という素晴らしい構成になっている。
もちろん、御池の標高1500mから頂上2356mまで標高差は800mもあり、決して楽な登山とはならない。
楽ではないんですが、急坂をあえぎあえぎ登って、もう駄目勘弁して!と思う頃にちょうど田代が現れ救われる。というなんとも素晴らしいルート構成になっております。また、既述の通り、あまり登山者も入らないコースなので、おすすめですよ。
東京を出るときは快晴だった空も、車で尾瀬に近づくにつれて、徐々に雲が増えてきた。
そして、御池に着いた頃は、天気は完全に曇りとなった。
こりゃあ頂上は、雲か霧の中?下手すりゃ降ってくるかも。と少々あきらめの気分。

しか~し、ドロ道の急登と闘い、ようやく広沢田代までたどりついた時、目指す燧ケ岳の稜線が見えてくる。
おお、なんと晴れているではないか。
頂上の稜線が見えてきた

これまで来た道を振り返る
快晴ではないもののくっきりと山容が見える。
雨男と呼ばれ、日本全国快晴でも私のいる所だけは雨が降る。と言われた私だが、最近は天気に恵まれて来たようだ。

とはいえ、午後には曇って来ることが予想されたので、山頂へ急ぐ。
なんとか晴天の間に頂上に到着。

燧ケ岳。
ウィキペディアによれば、
火口付近には柴安嵓(しばやすぐら2,356m)、俎嵓(まないたぐら2,346.0m)、ミノブチ岳、赤ナグレ岳、御池岳の5つのピークがある。
尾瀬ヶ原から見ると、左から柴安嵓、御池岳、赤ナグレ岳がよく見える。
登山道があって行くことのできるのは、柴安嵓、俎嵓、ミノブチ岳の3つである。
俎嵓には二等三角点「燧岳」がある。燧ヶ岳は、2,300m以上の山として日本で最も北に位置する。日本国内では、燧ヶ岳より北にそれより高い地点はない。

となっている。ちなみに嵓(くら)とは大きな岩のことであるらしい。

けどね。登ってみればわかるんですが、ピークは5つではなく、柴安嵓と俎嵓の双耳峰だと思いますよ。ツインピークスですよ。
加えて、正式な頂上は、ニ等三角点のある俎嵓ということになっていますが、それより10m高い柴安嵓が、もちろん我々の目標地点です。

俎嵓で小休止。眼下に尾瀬沼が広がる。ここから見ると意外に大きい湖である。
目を転じれば、柴安嵓の向こうには尾瀬ヶ原と至仏山が見える。
至仏もこの季節。ちょうど花が凄いだろうなあ。日本屈指の高山植物の宝庫。5月6月は高山植物保護のため登山禁止って山も他にはあまりないし。
ぜひ、花の最盛期の時期の至仏山にも登ってみたいものだ。

俎嵓から柴安嵓を望む 遠く至仏山も見える
俎嵓から尾瀬沼を望む
燧ヶ岳の最高点柴安嵓に向かう。
5分前に先行したジジババの団体がスタックしている。
下りも登りも結構急な岩場。お先にどうぞと言われてもそりゃ無理でしょ。おしゃべりしてないで早く登ってよ。
ともあれ、コースタイム通り20分で柴安嵓に到着。

結構急坂でしかもスタック
ガスが大分上がってきており、さっきまで見えた尾瀬ヶ原、至仏山は雲の中に。
昼食を取り、そろそろ下山という頃合いになり、やっと箱庭のような尾瀬ヶ原が見えてきた。

尾瀬ヶ原と至仏山
十分に休憩を取った後は、来た道を降りるだけ。
さあ、御池で冷えたコーラが待ってるぞ。
ガレ場をひたすら降る
往復で標高差1700mを日帰りで登り降りしたわけだが、前回の槍ヶ岳山行に比較し、より足には負担がかかったように感じた山行であった。 無事に御池に着いた時には結構ヘロヘロで疲労困憊。
疲れた顔も見せずに「下りはコースタイムより、大分早く着いたよ。」というS君の言葉がとてもうれしかった。

今回の山行を終わり、個人的には、尾瀬の大部分(登山禁止で道のない景鶴山もいつか行ってやる)を廻ったことになる訳だが、尾瀬はどのコースでも、どの季節でも、どんな天候でも、誰と行っても素晴らしいところであると再確認。

これからも、何度でも尾瀬には来たい。この次は、雪の季節か初夏に来たいなあ。

<山行記録>
日程:2010年8月8日(日) 日帰り

同行者:Sさん、Hさん

天候:晴れ時々薄曇り

当初計画:御池(9:30)-広沢田代(10:30)-熊沢田代(11:20)-俎ぐら(13:10)-燧ヶ岳(昼食)(13:30)-俎ぐら(14:40)-熊沢田代(15:50)-広沢田代(16:25)-御池(17:10)

コースレコード:御池(9:12)-広沢田代(9:57)-熊沢田代(10:49)-俎ぐら(12:02)-燧ヶ岳(昼食)(12:41)-俎ぐら(13:45)-熊沢田代(14:37)-広沢田代(15:18)-御池(15:57)

実歩行時間:5時間44分