2010.9.5 【中央アルプス 木曽駒ヶ岳・宝剣岳山行】 再びカールへ

9月に入っても観測史上最悪の猛暑が続く。ひと息で涼しい2600mの高所まで昇れることを狙い、千畳敷カールから木曽駒ヶ岳という高所でありながら比較的楽なコースを選んだつもりであった。
しかし、今回も隊長のS君から提示されたコースは、宝剣岳を越え木曽駒ヶ岳まで。そこで帰らずに稜線を縦走し、濃ヶ池まで下降、そしてまた乗越浄土まで登り返す。という過酷なコース設定であった。コースタイムは6時間35分。

実は、私は仕事で中国から帰って来たばかりで下痢Pが治らず体調不良。強力な下痢止め飲んでの参加であった。まあ、最悪の場合、千畳敷カールで寝てるとか宝剣小屋で休憩しててもいいやって感じで今回の山行に臨んだのであった。
昨年も同じ季節にここを訪れており、風雨強く木曽駒ヶ岳までは行けなかったこともあり、この山は相性が悪いのかと思ってしまうが、果たしてリベンジはなるのか?

今回の山行も同行者はS君H君。
例によって、S君の車で都内を4時半に出発、中央道を爆走し、駒ヶ根高原菅の台バス停には午前7時半過ぎに到着した。
車で入れるのはここまで。駐車場は結構埋まっていて、観光客も多い。
人出が多いこともあり運行された臨時バスに乗ること30分。しらび平に到着。
ここでケーブルカーに乗り込むとあっという間に2612mの千畳敷カールに到着。
標高1662mのしらび平から7分半で1000mも上がってしまう。

バス代も含めて往復3800円也。これが安いか高いかは千畳敷カールの天候による。
晴れならばお安く感じますが、悪天候の場合は馬鹿馬鹿しいほど割高に感じることでしょう。


ケーブルカーは満員だ
千畳敷カールは、残雪の残る初夏、紅葉の秋、雪で覆われた真冬などは、素晴らしい光景が目の前に広がるはずです。ちなみにこのケーブルカーは通年営業です。

千畳敷カールはまことに良い天気
今回は9月初旬の山行でもあり、迫力のある風景は期待しなかったのですが、やはりこのカールは美しいですね。 これから登ろうとしている宝剣岳もくっきりと意外に間近に見えました。

とは言え、標高2612mの千畳敷カールにしてもけっして涼しくはなかったのです。
下界に比べ、15、6度は気温が低いはずなんですが、降り注ぐ日差しは強く、人も多いためか体感温度は30度近い感じでした。もっともこの日東京では36度の猛暑日であったわけで、それと比べれば涼しいんでしょうが。
カールの周遊散策路は、多くの観光客・登山客であふれていました。

観光客がドラクエ歩きの千畳敷カール
 しばらくの間、高度順化のための休憩を取り、9時前に人混みから離れ、宝剣岳への登山道へと入る。

宝剣岳の稜線上にある極楽平へは比較的楽に到着。
この辺りまで来るとようやく、吹く風が涼しく感じるようになりました。

極楽平から三沢岳を望む
稜線上で大発見。なんと全く期待していなかったウスユキソウが咲いていたのです。
エーデルワイスの御仲間です。日本でエーデルワイスに一番近いのは早池峰山に咲く、ハヤチネウスユキソウとされてますが、ここのウスユキソウ、正確にはコマウスユキソウもかなり近い感じでした。これはうれしい誤算でした。本当は7月に咲く花ではなかったかと。
体調不良のため、愛機の一眼レフでなく、軽量なコンデジを持って来たのをちょっと後悔した瞬間でした。

コマウスユキソウが咲いていた
宝剣岳は、千畳敷カールから見上げれば見事な岩山である。
そして登山道も見事な岩場である。
「山と高原地図」にも、危険を表わす記号が二つも並んでいます。
クサリ場を攀じ、ハシゴを越えて行く難路ですが、しっかりとしたしつらえで、結構快適に岩登りを楽しみながら、登っていくことができました。

宝剣頂上が間近に迫る
高度感のある鎖場を攀じる
10時半に宝剣岳2931mに到着。
頂上は岩の乱立という感じで、一番高い岩の上には一人しか立てない。
順番に一人づつ5mほどの岩峰の上に立つ。ここが宝剣岳の最高点です。

宝剣岳 頂上にて
山頂からは360度の展望が得られ、三沢岳の稜線、駒ケ岳、千畳敷カールが一望できた。
南ア方面の視界もあったが、北ア方面は雲の中でちょっと残念。

快適な縦走路
宝剣岳を後にし、中岳を越え、去年は途中であきらめた木曽駒ヶ岳まで快調に飛ばして行く。
乗越浄土の山小屋も近い

中岳の登りに入る手前の稜線で、今度はなんとコマクサの群落を発見。
高山植物の女王と呼ばれるコマクサが、ここで見られるとは感激である。
先ほど見たウスユキソウもそうだが、9月の初旬にコマクサが見られるとは。
異常気象の影響もあるのかもしれないが、今日ばかりはOKです。

高山植物の女王
このあたりから、あまり体調がよくないので、先行する二人に大分置いていかれるようになった。
挙句の果てには齢70歳は超えようかというジジ様にまで抜かれる体たらく。

これまで来た道を振り返る
駒ケ岳頂上
木曽駒ヶ岳に着いたのは12時。頂上は広く、多くの登山者が休憩中。我々も昼食とする。
2956mの頂上を吹く風はさすがに涼しいが、この時間帯は雲が上がってきており、展望は今一である。


お腹の具合も今一なので、ここから来た道を引き返し、宝剣山荘でS君、H君を待つという選択もあったが、予定コースの馬の背の稜線を見ると、なかなか気持ちのよい稜線である。
馬の背の稜線を行く
思い切って同行する。
快適な稜線縦走であった。
驚いたことに、この稜線上でニホンザルの群れに出会う。この夏の暑さに耐えきれず、どんどん上に登って来たというところか。
稜線の岩の上にはおサルの群れが
稜線から外れ、濃ヶ池に着く。木曽駒ヶ岳の頂上からちょうど1時間。14時に到着。
しばし休憩。雲間から覗く宝剣岳をしばし眺める。
ここからは登りとなるが、このあたりであまり調子がすぐれず、二人には先に行ってもらうことにする。
濃ヶ池から宝剣岳を望む


この沢も見事にカールしている
乗越浄土までの300mは見事なカールとなっている。
この登り返しは結構辛く、二人に遅れること15分。なんとか乗越浄土の稜線に15:30に到着。

ガスってきた千畳敷カールを下る
後はケーブルカーの駅に下るだけである。
途中でJRのバッジをつけた人々に何人も出会う。
軽装のおばさんに「上までどのくらいですか」と聞かれる。「20分くらいですよ」と答えると、おばさん達は「じゃあ行ってみようか」ですって。
まあ、いいんですけど。ガスって来たし、水も地図も持ってなかったけど大丈夫だったろうか?

剣ヶ池からの逆さ宝剣
剣ヶ池まで回り込み、雲の切れたのを見計らい、逆さ宝剣を撮影して、ケーブル駅に着いたのは16時30分を回っていた。
最終1本前のケーブルカーに乗り込み、猛暑の下界に戻って行く。
ケーブルカー駅までなんとか帰り着く
今回は体調のすぐれないままの山行となったが、遅れながらもなんとか最後まで歩き通せたこと。また、山行後の筋肉痛が皆無であったことが、個人的には大収穫の木曽駒ヶ岳山行であった。

<山行記録>
日程:2010年9月5日(日) 日帰り

同行者:Sさん、Hさん

天候:晴れのち曇り

当初計画:千畳敷(10:00)-極楽平(10:31)-三の沢岳分岐(10:52)-宝剣岳(11:18)-宝剣山荘(11:34)-木曽駒ヶ岳(昼食)(12:26)-濃ヶ池分岐(13:23)-濃ヶ池(13:41)-駒飼ノ池(14:22)-宝剣山荘(14:47)-剣ヶ池(15:18)-千畳敷(15:27)

コースレコード:千畳敷(9:12)-極楽平(9:43)-三の沢岳分岐(10:04)-宝剣岳(10:30)-宝剣山荘(11:05)-木曽駒ヶ岳(昼食)(11:57)-濃ヶ池分岐(13:41)-濃ヶ池(13:59)-駒飼ノ池(14:51)-宝剣山荘(15:25)-剣ヶ池(16:11)-千畳敷(16:33)

実歩行時間:5時間27分