2016.3.20 【蓼科山山行】 プランB発動も大満足の雪山の一日

岳人はサミットを目指す。山頂直下のH君の勇姿
蓼科山。
「八ヶ岳連峰の北端に位置する標高2,531mの火山。 円錐形の美しい山容から諏訪富士とも呼ばれる。日本百名山のひとつ。」Wikipediaより
一応、北八ヶ岳に分類されていますが、完全な独立峰であり、山頂からの風景は360°のパノラマです。八ヶ岳連峰はもちろん、南アルプス・中央アルプス、北アルプスの北端まで展望できる。富士山は、残念ながら、赤岳の陰になり見えないのですが。
深田久弥先生が、八ヶ岳とは区別して百名山に選定した名峰である。
写真はすべてクリックで拡大します
実は、私にとって最初に登った日本百名山が、この蓼科山でありました。
残っているイメージは、でかい岩ゴロゴロ、最後の登りは地獄だった。くらいではありますが。
それから、30年以上経っての再訪となります。

今回は、雪山であること、眺望の良さ、適度な行程ということで蓼科山を目的地とした。
信州ビーナスライン・すずらん峠にある女神茶屋・蓼科山登山口から、蓼科山の南面を登ることとし、H君と中央高速を西行した。
午後からのほうが天気が良くなると予測し、「八ヶ岳ブルーと北アルプスが見れればいいや」ということで、午前9時から登山を開始することとした。
中央高速から八ヶ岳を見る。晴れてるぞ!
連休でもあり、中央高速は多少の混雑はあったが、予定通りに9時前にすずらん峠の駐車場に到着。
しかし、半ば予想はしていたことだが、30~40台は停められる駐車場は、既に完全に満車であった。
しばらくの間、付近に駐車場所を探すも、すぐにプランBを発動。

七合目登山口から将軍平を通るルート(プランB)に変更する。
この蓼科山の北面を登るルートは、蓼科牧場にある白樺高原国際スキー場のゴンドラリフトを利用できる。

車を回し、スキー場の駐車場に着く。多くのスキー客(ここはスキー場です)に混じり、2組ほど登山の準備をしている人がいた。
彼らもまた、すずらん峠の駐車場から転戦してきた模様である。

最近、我々が愛用するゴンドラリフトで、一気に1,830mまで上がる。

後から思い出したが、学生時代の夏、御泉水自然園に行く時に、ここのリフト(2人用)に乗車中ふざけていて、リフトを止められ、係員に引きずり降ろされたという記憶がうっすらと蘇る。
今日はそんなこともなく、すんなりと頂上駅で降り、登山開始である。
ゴンドラリフト頂上駅
山支度をするH君
登山開始である
 すでに10時を回っているが、ゴンドラリフトの最終時刻は16:30なので、全然平気なのである。
天候も良くなってきているし、元気に登山開始。

まずは、程よい積雪がある山道を無積雪期の登山口である七合目登山口まで行く。
夏場は、ここまでは車で入ることができる。

七合目登山口に到着
登山口から先は神域である
ここで、H君が「アイゼン履こうよ~」と言い出す。
私は「まだ早いんじゃないの」とは思ったが、同意。(実は右のアイゼンがどうも不調であまり履きたくなかった)
ところが、ここでアイゼンを履いたのが大正解。
ここからの登山道は、雪が一度解けて凍った箇所が多く、アイゼン無しではかなり危険。
H君もたまには良いことを言うのである。
アイゼンを履くのさ
将軍平への道は、踏み跡がしっかり付いており、そこを歩くぶんにはなんてことはないが、ちょっと踏み跡を外すと、ずぼずぼと潜ってしまう。
全体的には、ここ数日、気温が少し下がったこともあり、締まった雪道でさほどの苦労は無かった。
途中で少し、道を間違えたり、「天狗の露地」と呼ばれる展望台で必要以上に長く休んだりしながら、将軍平・蓼科山荘に、ほぼ夏時間どおりに到着。
登山道を振り返る
ルートファインディングをしている?
天狗の露地にて 北アルプス方面
蓼科山山頂が見える
 そういえば、他の登山者には、ここまで3パーティしか会っていない。
将軍平ルートに変更して正解であった。
この雪道では踏み跡を外すと歩けないので、もしすれ違うパーティが多ければ、かなりの時間を無駄にしなければならない。
将軍平から山頂を見る
将軍平にある蓼科山荘
最初に設定した登山ルートには、30パーティくらいは入っていそうなので、こんなにスンナリとは登山できなかったのは間違いない。

将軍平からは、最後の急登が待っている。意を決して出発。
しばらく歩くと森林限界を超え、夏ならば大きな岩がゴロンゴロンと並んでいる難所である。
蓼科山は、遠くから見ると天辺だけ剥げていて、よく「ザビエル」と呼ばれる。
そのザビエルの頭頂部に差し掛かった訳である。
北横岳から見たザビエル(後ろは北アルプス)2015年1月写
今は、ゴロゴロ岩が、雪に覆われているので、逆に登り易くなっている。
見た目より苦労もなく、山頂に到着。

最後の急登を登る


山頂に到着
ただし、不調だった右アイゼンが途中で脱げてしまい、片手にアイゼンぶらさげて、片アイゼンにての登頂は情けない次第。(あとでH君から、私は基本的にアイゼンの調整が間違っていると指摘を受ける。H君もたまには良いことを言うのである)
これが蓼科山山頂です
この頃はまだ登山者が散見される
今日はピッケル使いました
なにはともあれ、蓼科山山頂に到着。
山頂とは言え、広い広場になっているので、まずは山頂標識(2,531m)に。
今日は風も弱く、天気も良いので、山頂にて昼食とする。
広い山頂には思ったとおり、女神茶屋コースに下っていくのであろう多くのパーティが「ドラクエ歩き」(1列になって整列して歩くことを登山用語で「ドラクエ歩き」と呼ぶ。語源は不明。)を行っている。
例によって1時間ほど山頂にて休憩。

今日のお昼はこんなの
今日の目的であった、「八ヶ岳ブルーと北アルプス」はというと、1時間粘ったが、駄目であった。アルプスは、南も中央も北も稜線付近が雲に覆われ、すぐ近くにある八ヶ岳も雲の中。しかも、八ヶ岳の空はブルーではなかったのでした。
H君いわく、「ここだけは晴れてるので、蓼科山にして正解!」H君もたまには良いことを言うのである。
1時間も休んでいるうちに、辺りには人影が無くなってしまった。
山頂に取り残された我々も本日の最後であろう撤収を行う。
山頂にある蓼科神社奥社にお参りをして、下山することとしよう。
ここだけは晴れてます
蓼科神社奥社
八ヶ岳方面は雲の中
下りは早い。来た道を折り返す。
H君は、今日は調子が良いのか、久しぶりの下り特急券を発行しました。
走るように下る
霧ヶ峰・北アルプス方面だが。

下山途中で遊ぶ1
下山途中で遊ぶ2
私はなんとか遅れながら付いていくだけ。(言い訳;右アイゼンの不調とサングラスを忘れたために、雪道のギャップが良く見えないため)
将軍平から山頂を振り返る
将軍坂を通過し、途中の天狗の路地で、北アルプス・槍穂稜線から、雲が取れるのを20分ほど待つもついに断念。
北アルプス方面。晴れないかな~
その後は、ゴンドラリフト山頂駅まで一気に駆け下ったのであった。
七合目登山口まで降りてきた
本当はこんな景色が見えるはず
帰宅時の中央高速は、大渋滞が予想されたため、ビーナスラインの展望地で写真を撮ったり、温泉(塩壷の湯)にて体を休めたり、H君お薦めの「ハルピンラーメン」を頂いたりしながら、渋滞をかわす作戦を敢行。
夜になり中央高速に入る。
ビーナスラインから蓼科山
ビーナスラインから北横岳
蓼科山、また来るからね〜
中央高速は、「大月~小仏トンネル付近で20km渋滞」の表示が出ていたが、だんだんと短くなっていく。
H君いわく、「我々が大月に着くころには渋滞解消してるね」
ゆっくり作戦成功!と思われた矢先、前方で事故発生。
結局、大渋滞に巻き込まれ、家に着いたのは深夜12時前となってしまったのであった。
H君の発言も今日の最後は良くなかったのである。
H君おすすめのラーメン屋さん
ハルピンラーメンを食す

本日の総括;
360度展望は得られなかったが、天気はまずまず。日焼け止め忘れずに正解。
ルートの変更を余儀なくされたが、混んでいなかったので、返って正解。
2人とも体調もまずまずでしたが、右アイゼンだけは不調。
全体としては、満足できる雪山の一日となりました。

追記;
今回、試しにiPhoneアプリの「山と渓谷地図」を導入してみる。
多少の修正(休憩時間とかが上手くログできない)は必要であるものの、GPSを使って、コースレコードをきちんとログしてくれる。地図上での足跡もログしてくれるので、とても便利な代物である。
一時、ガーミン(一番有名なGPSロガー)を購入することを考えたこともあるが、このiPhoneアプリで、当面は不自由はなさそうである。
もっとも、手書きでコースレコードを記録していくのが、老いぼれ山屋にはお似合いなのではあるが。

<山行記録>
日程:2016年3月20日(日) 日帰り
同行者:Hさん
天候:晴れ時々曇り

当初計画:プランA<無積雪期標準コースタイム>
女神茶屋・蓼科山登山口(9:00)-蓼科山山頂(12:00)-(昼食)-発(13:00)-登山口(15:00)

変更計画:プランB<無積雪期標準コースタイム>
ゴンドラリフト頂上駅(10:00)-七合目登山口(10:20)-馬返し(10:40)-将軍平(11:50)-蓼科山山頂(12:30)-(昼食)-発(13:30)-将軍平(14:00)-馬返し(14:50)-七合目登山口(15:15)-ゴンドラリフト頂上駅(15:30)

コースレコード:ゴンドラリフト頂上駅(10:16)-七合目登山口(10:35)-(アイゼン装着)-発(10:41)-馬返し(10:57)-天狗の露地(11:33)-発(11:45)-将軍平(12:27)-発(12:32)-蓼科山山頂(13:12)-(昼食)-発(14:08)-将軍平(14:33)-天狗の露地(14:45)-発(15:05)-馬返し(15:16)-七合目登山口(15:24)-ゴンドラリフト頂上駅(15:39)

実歩行時間:3時間44分

写真はこちらから「20160320 蓼科山」

山頂から八ヶ岳核心部を見る


2016.3.13 【平標山山行 雪中のろのろ登山】思いのほか苦戦も雪山デイ満喫

たまたま、HT君と一緒に休みが取れたので、北アルプス方面を狙うことにし、宿泊先も確保していた。
しかし、今年に入ってからは比較的天気は順調であったが、この肝心な時に崩れた。
北アルプス方面は、全く回復の見込みがなく、八方尾根の旅館はキャンセルした。
晴れる可能性のある上越方面か八ヶ岳方面に目的地を絞る。
その中で、一番天候が良さそうな雪山が、上越の平標山であった。
平標山の稜線から苗場山方面を望む
もっとも、目的地の選択およびルート研究は、専らHT君におまかせ、車の運転もHT君におまかせという、お気楽な山行となったのである。

平標山(1,984m)は、谷川連峰の西端に位置する山である。
すぐ東側にある仙ノ倉山へ続く稜線は、初夏に高山植物の群落がある人気の山である。
「平標」山という山名は、山頂が広く平らであり、目標の柱などの標識を建てたということであるが、そのまんまじゃないかい。

登山ルートは、林道を通る「平元ルート」、稜線を行く「松手山ルート」の2ルートがあるが、通常は、平元ルートで登るのがポピュラーなコースである。
無積雪期であれば、どちらのルートを取っても3時間強の登りである。
写真はすべてクリックで拡大します
早朝、都内を出て、関越自動車道月夜野インター経由で国道17号を北上、空いている苗場スキー場を横目に、平標山駐車場に9時前に到着。
駐車場に到着
ここも熊さんが出るらしい
すでに5〜6台が駐車しており、雪山ではあるが人気の高さが伺える。
天気は、高曇りで視界は良い。
昨晩、弱冠の積雪があったようなので。一応、装備にワカンを加える。
登山開始である
まずはあの鉄塔を目指す 
雲は厚いが、降雪はなさそう
苗場山方面
天気がいつまで保つか分からないので、林道&樹林帯の「平元コース」は避け、稜線を行く「松手山コース」を登ることにする。
まずは、稜線に聳える大きな鉄塔を目指すが、登り始めから雪道の急登となる。
しかも、予想に反し、本日このルートの先行者はいないようである。
踏み跡はあるものの、昨夜の降雪が踏み跡を埋めている。
先行するHT君が軽いラッセルをしながら進んで行く。
私はHT君の作った踏み跡を辿っていくという、安直な方法を選択。
ようやく鉄塔に到着 
大きな鉄塔だ
登りが続く
 第一目標であった送電線の鉄塔に到着したのは、コースタイムを大幅に上回る10時45分。
夏のコースタイムは50分であるが、倍近い時間が掛かってしまっている。
まだ、行程の1/3程度しか登っていない。先が思いやられるのである。
次の目的地は松手山 
HT君が踏み跡を作ってくれます
ここで今日はじめて、後続の登山者に追い越される。
単独行のインド人であった。
今日このルートを登るのは我々とインド人だけである。
インド人は最初からアイゼンを装着しており、「ナマステ」と言いながら我々を捨てていったのである。日本人もびっくりである。
平標の稜線を目指す
来た道を振り返る
積雪が多くなってくる
まだまだ遠い平標
ようやく松手山を越え、稜線に出る。
雪面にクラストが混じり始めるのと風が時折強くなるので、我々もアイゼンを装着。

天候はなんとか保っており、正面にある苗場スキー場が良く見える。
苗場山もなんとかその姿を見せてくれている。
風が吹くと刺すような寒さであるが、風が凪ぐと暑く、汗が噴く。
これの繰り返しで、なんとも体に良くない、風邪引き確定登山である。
苗場スキー場
苗場山が顔を出す
ようやく視界の良い稜線に出ると逆コースから来たカップルパーティとすれ違う。
かなりのベテレンのようで、急な下りを駆け下っていった。
この二人とさっきのインド人が本日出会った登山者のすべてであった。
この後、登山口に降りるまで、一人の登山者にも出会うことはなかった。
右のピークが平標山
雪の稜線を行く
雪が深くなってきた
おまけにガスってきた
もう、苗場山は見えません
一の肩を抜け、頂上への最後の急登に挑む。
夏であれば階段が整備されているルートであるが、ここもかなりの積雪。
なんとか登り終え、ついに14時15分、平標山頂上(1,984m)に到着。
この頃には、天候は悪化、強風が吹き、気温も低下している。
とりあえず登頂記念撮影を行い、すぐに下山開始。

寒いし腹減ったし、疲れた
頂上は風が強い
寒いのですぐに下山
ここまで、まだ昼食を摂っていないが、風が強く適当な場所がないので、平標山の家(冬季は無人避難小屋)まで下ることにする。
山の家の内部は非常に綺麗で、夏場は山小屋として営業もしているようだ。
こちらのルートは人が入っているようだ 
ようやく前方に小屋が見えてきた 
昼飯が待っている
結構大きな山小屋だ

昼食を摂り、小屋を出たのがもう4時前である。
かなり予定より遅くなってしまったが、もうこの時期、6時前までは明るいので問題無し。
小屋からすぐに始まる、雪深い急坂を転がり下り、その後長〜〜い林道をひた歩き、駐車場に戻ったのは、5時半過ぎ。どうにか日没直前に到着。
思いのほか長い山行は終了した。
急な斜面を下る
下りは雪が深い
ようやく登山口に到着
林道も冠雪している
我々の車だけ残っていた
今日の山行を振り返ると、天候がいつまで保つか不明だったので、景色の良い松手山ルートを選んだが、思いのほか苦戦し、長時間の歩行となってしまったが、そこそこの景色を得られたので正解であろう。
また、のろのろ亀さん登山で、HT君には迷惑を掛けてしまったが、7時間を超える雪道の登山を完遂できたのは、成果であった。

昨年のこの時期に、西吾妻山山行にて右足首を骨折してから1年。
長時間の山行には、躊躇があったが、今日のルート(標高差約1,000m、歩行距離19km)を完踏できたことは、大きな自信となったのである。
結構へばっているが、なんとか完踏。
<山行記録>
日程:2016年月13日(日) 日帰り
同行者:HTさん
天候:曇り

当初計画:<無積雪期標準コースタイム>
平標登山口駐車場(9:00)-1411m鉄塔(9:50)-松手山(10:30)-平標山(11:15)-(昼食)-発(12:00)-平標山の家(12:40)-平元新道登山口(13:25)-(林道)-駐車場(14:25)

コースレコード:平標登山口駐車場(9:08)-1411m鉄塔(10:45)-発(10:55)-松手山(11:38)-発(11:43)-アイゼン装着(12:18)-発(12:26)-休憩(13:00)- 発(13:05)-一の肩(13:22)-休憩(13:50)-発(14:00)-平標山(14:15)-発(14:20)-平標山の家(14:55)-(昼食)-発(15:43)-平元新道登山口(16:25)-(林道)-駐車場(17:33)

実歩行時間:7時間4分

写真はこちらから「20160313 平標山」

平標稜線より苗場山方面を望む