2010.12.25 【両神山山行】 2010年最後の山行

クリスマスの25日。今年最後の山行に向かった。
メンバーはいつもの通り、S君とH君の3人である。
折しも今冬最大の寒波が襲来。快晴が予想されるのは関東地区の山ということで、秩父山塊の両神山(1,723m)を選択。
S君の事前情報では、付近の最高峰である雲取山は、まだ冠雪していないとのことでもあり、快適な晩秋の山歩きが期待された。

両神山は、古くからの信仰の山。今日のルートも東面の日向大谷から表登山道。表参道とも呼ぶらしい。
山名もイザナギ、イザナミを祀っていることからついたようである。
山麓の両神神社里宮には、通常の狛犬の位置に山犬すなわち狼の石像が置かれている。
狼を神の使いとする三峰神社の影響が窺われるとのこと。
我々が訪れた時は、もちろん狼はいなかったが犬が居た。
両神山荘で飼われている犬だろうか。やたら人懐っこく我々を登山道まで見送ってくれた。
精悍な顔立ちの両神犬
当初は両神山の西側にある八丁沢からのS君しか知らない?直登ルートで両神山へ登り、八丁峠へ下るというかなり、マニアックかつハードなルートを考えていたのだが、路面凍結の恐れと八丁尾根方面は凍結するとかなり危険度が増すということで、本日のルートは、表登山道に落ち着いた。
このルートは、日向大谷から会所、清滝小屋、鈴ケ坂を経て山頂に至る登山道であり、もっとも多く利用されている。鎖場が数箇所あるものの、特に困難な所はない。ということである。
帰路はバリエーションを持たせ、七滝沢コースを利用することとした。

両神山の標高は、1,723m。最近の山行の中では最も低い。
しかも、12月の末ではまだまだ雪は無さそう。
結構、楽ちんな山行であろうと予想された。
山行前には完全に両神山を舐めていたわけです。
落ち葉のラッセルが続く
8時前に日向大谷の登山口を出発。落葉樹の森林帯を登り始める。
表参道とのことで数多くの石仏や石碑を横目にしながら、山道を行く。
山道は枯れ葉に覆われ、フカフカだが結構歩きにくい。
しかも、結構な急登が続く。
2時間ほどで清滝小屋に到着。清滝小屋の標高は1280m。
日向大谷の登山口の標高が約630mなので、ここまで650mを登って来たことになる。
正直言って結構疲れました。
清滝小屋に到着
清滝小屋は結構大きい避難小屋である。今は無人小屋となっているが、2008年までは営業していたとのことで、まだまだきれいな小屋である。
ここでしばしの休憩を取り、登山再開。

清滝 凍結のため水量無し
裏にある清滝を覗いてみると完全凍結中であった。
気温は低く多分零下5度くらいか。

登山道に戻ると少しづつ積雪が増えてくる。
しかも、鈴ケ坂に入ったのか結構な急登となる。
下山者二人とすれ違う。

そのうちの一人が「この先はアイゼン必要ですよ。稜線は雪です。」と教えてくれる。
我々も「使うわけないじゃん」と思いながらも不思議と3人ともちゃんと持参した軽アイゼンを装着する。
アイゼン装着

こんな感じで雪は結構深い
稜線が近くなるにつれ、道は岩と雪の急登に変わっていく。
冠雪した部分は、気温が低いためか完全にクラストしており、アイゼンの食い込む音が心地よい。
鎖もしくはロープが張られた岩場はアイゼン装着のままではなかなか手ごわい。
ようやく稜線に出ると道は完全に雪道となる。

稜線は完全に雪道
両神神社を過ぎ、最後の岩場を乗り越えると1,723mの頂上に到着。
時刻は12:10である。登山口から約4時間を要したことになる。
両神山 山頂
両神山の山頂のそれほど広くはないが、眺望は良い。
天気は快晴だが、北に位置する峰々には雪雲が上がってきている。
我々のいる山頂にも風花が舞う。
快晴なるも風花が舞う 
強い冬型の気圧配置のため、雪雲が脊梁山脈を超えてくる。
そのため、残念ながら北アルプスや八ヶ岳、浅間山などの高山は雪雲に覆われ、山容を眺めることはできなかった。

S君が八丁峠方面を偵察に行くが、雪道に踏み跡が無いとのこと。
やっぱ、当初計画したルートはかなりの難コースだったということで、今日のルート選択は正解。

八丁峠から延びる岩峰群
頂上の気温はグンと下がり、ペットボトルの水がシャリシャリと凍るほどである。
そんな中でS君とH君は、ビールなんて飲んでやんの。
かなりゆっくりと昼食を取り、コーヒーも飲んで下山に掛る。
雪の岩場は怖い怖い
下りの雪の付いた岩場はなかなか手強い。かなりの緊張感を味わえた。
帰りは途中でコースを変え、七滝沢コースを取る。
この下りの長いこと長いこと。
谷沿いの道をひたすら行く。
途中で見る滝は全て凍結している。

ツララがやたらと多い道だった
コースターム通りに行くと登山口に着くのは16:30前後か?
本日の日没は16:33。日没前に着くのかとちと不安になる。
膝まで埋もれるような落ち葉をかき分けかき分けひたすら降り続け、日向大谷の駐車場に予定通りの16:30に着いた時には、両足ともガクガクで、関節には痛みが走るという状態。

ようやく駐車場に到着
正直言って、今年の山行でトップクラスにハードな山行でありました。
今日の標高差は、上り下り合わせて2,200m。
登りが3時間50分、下りが3時間30分と実歩行時間は合計7時間20分となりました。
一番まずかったのは心構えができていなかったこと。
2,000m以下の山でも、まだまだいろいろな登山が出来るし、舐めてはいけないということを思い知った山行でした。

なにはともあれ、我々を乗せた車は「両神温泉 薬師の湯」を目指して、山道を下り始めたのでした。
奥多摩 雲取山方面を望む
<山行記録>
日程:2010年12月25日(土) 日帰り

同行者:Sさん、Hさん

天候:晴れ

当初計画:日向大谷口駐車場(8:30)-会所(9:10)-八海山(9:40)-清滝小屋(10:40)-鈴ヶ坂(11:10)-両神神社(11:40)-両神山(12:20)-両神神社(13:45)-鈴ヶ坂(14:05)-七滝橋木橋(15:05)-会所(15:45)-日向大谷口駐車場(16:10)

コースレコード:日向大谷口駐車場(7:53)-会所(8:29)-八海山(9:26)-清滝小屋(10:08)-両神神社(11:26)-両神山(12:10)-両神神社(13:28)-鈴ヶ坂(14:07)-七滝橋木橋(15:15)-会所(15:56)-日向大谷口駐車場(16:32)

実歩行時間:7時間19分

2010.11.23 【屋久島 宮之浦岳山行】 単独行でリベンジなる!

豪雨の縄文杉トレッキングから一夜明けた午前3時。
宮之浦港の宿の窓から外を見る。
満天の星空である。快晴だ!
急いでパッキングを開始し、午前4時に宿を出る。

宮之浦町を出て、安房の街、屋久杉資料館(バス停は今日も屋久杉行きの客でごった返している)、荒川別れ(右に行くと荒川登山口、左に行くと淀川登山口。見張りの人がこんな朝早くから一人立っている)を通り過ぎ、淀川登山口へひた走る。
ヤクスギランド、紀元杉を過ぎたあたりから道は狭くなり、鬱蒼と茂る屋久杉の中を走る。
林道自体は、きれいに舗装されており、非現実的な雰囲気を醸している。
運転するY君が「この道でいいの?」と聞く。
私は2年前に一度通っている道なので「大丈夫この道で合ってる」と言いながらも一抹の不安を覚える頃、ようやく淀川登山口に到着する。
淀川登山口駐車場はまだ暗い
午前5時の淀川登山口駐車場は、予想に反し、前夜から駐車しているのか夜露をかぶった車が1台駐車しているだけだった。
朝食を食べたり、次々と来る車を冷やかしたりしているうちに、駐車場はほぼ満車となる。
そして、最後にマイクロバスが2台到着。
驚くべきことにあのアミューズトラベルの仕立てた「宮之浦岳登山ツアー」である。
女性ガイド3人に率いられたオバさん約10人、男性ガイド2人に率いられたオジさん8人。
とにかく騒がしいこと甚だしい。準備体操やトイレや出発準備に大わらわ。
男性ガイドが「ロープもツェルトも非常食もあります!動けなくなった人は私が背負います」と大声で宣言。登山口を塞いで大騒ぎしている。他の登山者も遠巻きにして呆れ顔である。
不謹慎にも「いっそ、こいつらのところにダウンバースト。来ないかなあ」と、ふと思ってしまう。

このアミューズ隊が大騒ぎで行ってしまうのを待ち、我々も午前6時に出発する。
ヘッドランプを点灯して山道を登っていく。
昨日の荒川登山口と異なり、今日は出だしから山道である。ちょっとホッとする。

少し歩くとY君がついて来ない。待っていると先に行けと言う。足の調子が相当悪い様子。
昨日の縄文杉トレッキングのツケがついに回ってきたのだ。
一向にペースが上がらないので、いろいろ考えたが淀川小屋の手前でついに決断。
ここから引き返して貰うことにする。
Y君はこの先、宮之浦岳に登る機会はいくらもあるだろう。私には多分これが最後のチャンス。
午後3時に淀川登山口に迎えに来てもらうことにして、ここからは一人で宮之浦岳を目指すことにする。
淀川小屋手前でY君と別れる
淀川小屋でアミューズ隊が休憩している模様。姿は見えないが大声が暗闇に響いている。
私は淀川小屋での休憩を取りやめ、すみやかにパスする。
これで、本日淀川口から入った登山者の中では、ほぼトップグループに入った。
花之江河への途中で、先行者を抜き去る。
名古屋からのオジさん二人組、山ボーイ山ガールのカップル、韓国の若い女性二人組をかわし、
宮之浦登山組のトップに出る。

ちょうどその頃、ようやく夜が明ける。見事な快晴だ。
高盤台の展望台まで行って一休み。
この展望台は、大きな1枚岩でできていて、眺望も素晴らしいがスリルも満点。
高盤台展望台より
花之江河に、8時過ぎに到着。かなりいいペースだ。
前回はこの辺りには、鹿の群れがいたが、今回は晩秋のこととて高層湿原もただの水たまりとなっており、あまり綺麗とはいえない状況。鹿も見かけなかった。
山道も昨夜の雨でところどころ川となっている。
少し休憩し、先を急ぐ。
花之江河より黒味岳を見る
黒味岳分岐。
前回は、ここで宮之浦岳をあきらめ、黒味岳をピストンし、淀川口に下山した。
ここから先が勝負だ。
投石平で一休み
投石平、安房岳、翁岳を次々と通過していく。
大岩や奇岩が露出する山々を見ながらの稜線歩きは、全く疲れを感じない。
森林限界も1700m付近だろうか?本土よりも低いのは不思議だ。
稜線は基本的にはヤクザサが生い茂り、稜線上の見通しは最高である。
稜線はヤクザサで覆われている
時折、宮之浦岳の奥に聳える永田岳とその稜線が見え隠れし始める。
しかし、屋久島最高峰の宮之浦岳は未だその姿を見せない。
翁岳を過ぎるとそれらしき山容が見えてくるが、地図で確認するとそれは宮之浦岳の前衛峰の栗生岳であった。

実は、九州地方の高山ベスト8までが屋久島に存在する。
それを高い順に並べてみる。
1位:宮之浦岳(1936m) 今回の目的地
2 位:永田岳(1886m) 宮之浦岳のすぐ北に位置する山
3 位:栗生岳(1867m)今回通過・登頂
4 位:翁岳(1860m)今回通過
5 位:安房岳(1847m)今回通過
6 位:黒味岳(1831m)今回通過、前回登頂。
7 位:投石岳(1830m)今回通過
8 位:ネマチ(1814m)永田岳のすぐ北の山
となっている。
つまるところ、今回は屋久島連山の核心部の縦走であり、2位8位以外の山を堪能できた。
栗生岳直下の巨神兵
巨神兵が守る栗生岳を通過し、ようやく宮之浦岳の頂上が見えてくる。こちら側からはなだらかな山容でなんかほっとする山である。
縄文杉・永田岳側から見ると結構険しい山に見えるようであるが。昨日は全く見えませんでした。

いよいよ最後の昇りにかかる。いよいよ山頂だ。
午前10:25。淀川口から登った中では、1番で宮之浦岳山頂に到着。所要時間は4時間25分。
コースタイムでは5時間なので、まあこんなもんでしょ。
宮之浦岳への最後の登り
頂上は360度の視界が得られ、屋久島全体が一望できる。
今日登ってきた山々の連なり、永田岳方面、そして縄文杉方面と素晴らしい景色が広がる。
縄文杉もすぐそこじゃんって感じ。もっとも縄文杉の辺りは今日も濃い雲に覆われていますなあ。
昨日、荒川口から縄文杉。今日、淀川口から宮之浦岳を踏破。屋久島連山縦走コースで、抜けているのは、ここから縄文杉の間の5.4kmを残すだけか。惜しい!!

宮之浦岳頂上にて

永田岳方面

縄文杉方面 雲の中が縄文杉か

山頂の道標 縄文杉へ5.4kmとある

登って来た山々 これから帰る方面の山々
 宮之浦岳は、屋久島のどの町からも見えないそうで、逆に言えば、この頂上からは屋久島の山々しか見えないということになる。
幸いにもまだ雲は上って来ておらず、ほぼ快晴。
昨日の豪雨からすれば天と地の差がある。
次々と山頂に登山者が到着
新高塚小屋から昇って来たという人と話をしているうちに、淀川口からの登山者も次々と登ってくる。
遠くにアミューズの大騒ぎ隊の声も聞こえてくる。名残惜しいが降りる時が来たようだ。
Y君に電話(稜線上は携帯が通じます)し、午後2時半に淀川登山口に迎えに来てくれるよう頼み下降に移る。時刻は11:00。下りは3時間半で降りられるとの目算である。(コースタイムは5時間)

登って来た道であるので、危険度は分かるし、未だ天気は快晴。ぐんぐんと軽快に下る。
オバちゃんに突き落とされた怪我も幸い打撲で済んだ。古傷の右膝の痛みもなく、下りの一歩を踏み出す時の怖い感じもしない。
今回はトレッキングポールもY君に渡してしまった。
そう言えば今年に入り、念のためにポールと膝サポーターを持参してはいるが、一度も使っていない。槍ヶ岳でも白馬岳でも使わなかった。
今回の山行を機にもう持参するのはやめようと決めた。

また、今回の宮之浦岳山行は、日帰りながらほぼ単独行。
単独行の自由さを堪能した。休憩も食事も写真も自分の好きな時に取れる。これはなかなか良い気分だった。
長期山行の場合は安全面も考えるとなかなか単独行とは行かないだろうが、日帰りならば十分に単独行の楽しめそうである。
水清き屋久島 右は工事資材

この橋の橋桁がかなりヤバい状態
なんてことを考えながら歩いて行くと、もう淀川橋。
朝渡った時は、真っ暗でよく分からなかったが、大工事中である。
6月だか豪雨で橋桁がえぐられ、その補強工事を行っている。墜落したヘリが運んでいたのもこの工事の資材であった。合掌。
この11月25日からは、通行禁止となり本格的に工事を行うようである。
資材置き場と化した淀川小屋で最後の休憩を取り、淀川登山口に急ぐ。
淀川登山口には予告通りの14:30に到着。
朝6時にここを出てから掛った時間は8時間30分。まずまずのスピードではなかろうかと自己満足。

一番で到着をアピールしている
Y君と無事合流し、紀元杉、千尋の滝やモッチョム岳を観光して、宿に向かった。 

宮之浦岳は、一度は登りたい山であった。
前回屋久島に来た時も一応チャレンジをしたが、天候等もあり途中で退散した。
今回は季節を選び、その結果として、天気にも恵まれ、なんとか頂上に立つことができた。
疲労度も縄文杉トレッキングと比べれば、せいぜい半分くらいって感じ。

残念なのは、今から考えても、縄文杉トレッキング。
当初の予定では、まず宮之浦岳を日帰りでやり、その後、余裕があれば縄文杉に日帰りで行こうと考えていたが、宮之浦岳山行予定日が悪天候必至であったため、予定を入れ替えてしまったのが返す返すも残念であった。


今回の屋久島行きの二大目標であった 
1.宮之浦岳のピークを踏むこと。
2.縄文杉を見ること。
については達成できました。

また、荒川登山口から縄文杉往復が約22km、荒川登山口から宮之浦岳往復が約16kmの歩行距離であり、2日間で38kmものロングトレールを踏破できたことは、今後の山行への大きな自信となりました。

<山行記録>
日程:2010年11月23日(火) 日帰り

同行者:なし

天候:晴れ

当初計画:淀川登山口(5:10)-淀川小屋(5:50)-花之江河(7:45)-黒味岳分岐(8:15)-投石岩屋(8:45)-翁岳(9:55)-宮之浦岳(昼食)(10:45)-翁岳(12:00)-投石岩屋(13:05)-黒味岳分岐(13:45)-花之江河(14:05)-淀川小屋(15:35)-淀川登山口(16:25)

コースレコード:淀川登山口(6:00)-淀川小屋(6:50)-花之江河(8:10)-黒味岳分岐(8:30)-投石岩屋(8:50)-翁岳(9:45)-宮之浦岳(10:25)-翁岳(11:30)-投石岩屋(昼食)(12:00)-黒味岳分岐(12:35)-花之江河(12:45)-淀川小屋(13:50)-淀川登山口(14:30)

実歩行時間:7時間15分

2010.11.22 【屋久島 縄文杉トレッキング】 ずばり観光地認定

屋久杉自然館でシャトルバスに乗り込んだのが午前4:40。
屋久杉自然館でシャトルバスに乗る
満員のシャトルバスが荒川登山口バス停には5:10に到着。

以前は、荒川登山口まで自家用車で入れたのだが、近年の屋久島人気で道が荒れ自家用車規制が掛ってしまった。
それにしても本日の入山者(シャトルバス乗車人数)は273人とのこと。11月の末でこの数字である。トップシーズンはどんな混雑なのであろうか。

荒川登山口バス停には真新しい休憩所、トイレも完備されており、雨でも快適である。
大混雑の中で朝食を取る。
周りを見るとガイド付きの団体さんが多い。
また、揃いの雨具を着こんでいる人が多い。レンタルか??
こりゃあ、ちょっと場違い。の感じが否めない。ここって観光地って疑いが湧いてくる。

次々と出発して行く大騒ぎのおばちゃん団体をやり過ごし、Y君と私は5:30過ぎに荒川登山口を出発。
ヘッドランプを点けて出発だ

豪雨の中をヘッドランプを付けての出発である。
歩き始めから、トロッコ軌道の上を約2時間ほどひたすら歩く。
歩幅の合わない枕木を踏みながら歩くので、これは結構ストレスを感じる。
天気は快方に向かっていると思っていたが、一向に良くなる気配すらないのもストレスを倍加する。

暗闇の中をいくつか橋を渡るが、踏み外す恐れはあまりないもののかなり緊張する。

小杉谷小・中学校跡を通過。立派な門だけ残っている。小杉谷集落跡である。
その昔、林業(屋久杉切り出してたってことでしょ?)のために相当の人が住んでいたそうである。
1923年集落が誕生し、1960年には133世帯540人の大集落であったとのこと。
10年後の1970年には、林業の衰退でこの集落も放棄されたようです。
トロッコ軌道だけは今も立派に使われているってことです。山道として。

と思ったら、今でも時折トロッコが走っているようです。途中にあるトイレの屎尿回収用に利用しているとのこと。  なんたるこっちゃ。観光地の疑惑はさらに膨らむ。
楠川別れ ここで白谷雲水峡に降りちゃえば良かった
楠川分かれもスルーして歩き続ける。
ここは、もののけの観光地白谷雲水峡との分岐点。
ここから1時間ほどで太鼓岩に着きます。
そっちに転進しちゃえば良かったと後で思うもこの時は、とにかく縄文杉、目指せウィルソン株だったのであとの祭り。

ようやく大株歩道入口(標高約900m)に到着。ここまで約2時間。標高差300mを登って来たことになる。
ここまでに、三代杉とか仁王杉とかいう屋久杉スポットがあったらしいが、よく分からん。
辺りはようやく明るくなって来たが、雨は降り続いている。
これだけ降られると、さすがのストームクルーザーも内側が結露で湿って来る。
チョロコースとなめてスパッツも付けてないので、山靴の中も濡れてくる。
雨具も靴もゴアテックスでも開口部があれば、雨が入るのは当たり前かああ。
しかも、デジ一のケースに浸水。愛機が濡れてしまった。
仕方ないので、デジ一撮影は諦め、ザックにしまう。
よってこれ以降はiPhone付属カメラによる撮影となる。もちろん、ろくに撮れやしないが。

大株歩道入口にあった警告文。
1.ここを遅くとも10時までには縄文杉に向けて出発すること
2.縄文杉から遅くとも13時には戻ること
 とある。ふ~~~んって感じ。

トロッコ軌道に別れを告げ、いよいよ本格的登山道が始まる。
と思ったら、白谷雲水峡と同様、木道とハシゴでとても歩きやすい。
このあたりから、宮之浦岳を縦走して来た登山者と出合い始める。
新高塚小屋に泊っていたようだ。
昨日は1500m以上は晴れで宮之浦岳も快適であったとのこと。
飛び石連休中でもあり、30人ほどの登山者とすれ違う。この人たちは基本的にマナーは良かった。

翁杉という屋久杉スポットも、見過ごし通過。
とうとう、ウィルソン株に到着。休憩とする。
カメラがだめなので株の中には入ったがすぐに出発。
余裕があれば、帰りにハート型切り株撮影に挑戦してみよう。

大王杉とか夫婦杉とかも、スカッとやり過ごし、ついに今日の目的地・縄文杉に10時ちょうどに到着。
縄文杉に罪はない
確かに凄い。でかい。だが、だが、この階段は何?展望台は何?柵は何?
これで完全に観光地認定。
ここまで雨の中を4時間半。標高差700m。う~~~~む。
「縄文杉に行きました」とは言える。言えるが、この満足感の無さは一体何だ?

取りあえず縄文杉の解説。
標高1280mにある屋久杉の大木。樹高25.3m、周囲16.4m。推定樹齢は2,000年から7,200年。
この5,000年前の差は何なんだ?

取りあえず2、3枚、写真写してみましょうか?
立派な展望台が縄文杉を守る?
昼飯を食べようと休憩所に行くも観光客の混雑でストーブ焚けず。(エコガイド達は平気で焚いていた)
行動食を食べて、速攻で下山に移る。

雨は降りやまず、辛い下山になりそうだ。

しかも、下からどんどん観光客が上がって来る。
エコガイドに連れられ、どんどん上がって来る。どんどんどんどん。
その傍若無人な振る舞いは、もう全く観光地と同じ。
ちょうど昼時ということで自然を守るべきガイドが、登山道を外れ、屋久杉を踏み荒らしタープを張って、観光客に昼飯の場所を作ってやっている。
ガイドに案内される客も客。
山でのルールや礼儀なのでどこ吹く風。
ガイドに金払ってんだから、何してもいいんだといった風情。
縄文杉およびこの一帯を荒らしたのは、ここのドグサレエコガイドに最大の責任があると指摘しておこう。
尾瀬の自然の守り方とは、全く異なるエコガイド達よ。猛省せい!!
縄文杉を、屋久島を食い物にした、天罰はいずれ下るぞ!
帰り道も雨の中
我々は、昇り優先を守る。それが山でのルールだから。
そのため、この観光客団体とすれ違うのに、相当な時間が掛った。
待ってやっても先導するガイドはろくに挨拶もしない。当然なのだろう。我々は客ではないのだから。
ここは観光地だった。山ではなかった。
当然、観光客も挨拶すらろくにできず、挙句は自分が歩くためなら人を突き飛ばす。
エコガイドに引き連れられたオバさんとすれ違う際、私は道を譲ろうとしたが、場所が無いので木道から降りようとしたところを傍若無人なババアに突き落とされ、左膝を木道の柱にぶつけ、そのまま落下。筋を痛め、結構な打撲を負った。
ババアはこちらを睨み「ケッ!」というような顔をして、行ってしまった。エコガイドなぞは振り向きもしない。
繰り返す。ここは観光地だったのだ。

雨が降り止まない単調な道を歩く。
Y君も私も無言で歩く。
雨にぬれ、足を引きずりトボトボ歩く。

荒川登山口へは14:00に到着。
とてもむなしい思いが残った縄文杉トレッキングであった。

同行のY君も私もずぶ濡れの上、靴にも水が入り足の裏の皮がふやけ、そのため大きな豆をいくつも作るというアクシデント。さらにY君は膝を痛め、私はババアに突き落とされた怪我が痛い。

天気が良ければ、多少はましな印象も残ったんだろうが、それにしてもこのコースは、アルバイト量に対し、報いは少ない。
また、観光地化した場所には観光地に行くという心構えで臨まないと疲労困憊するということも分かった。

やはり、屋久島連山を縦走し、そのついでに立ち寄るのが正しい縄文杉への接し方であろう。
晴れてればそれなりに面白い道かも
明日の天気は晴れの予報。
いよいよ、宮之浦岳に再挑戦だ。
今日は、全く余計なことをしてしまった。この後遺症が残らなければいいのであるが。

[今日の教訓]
観光地化してしまったコースを避けよ!そこに求める物はない。
ガイドのガイドによるガイドのための縄文杉

ウィルソン株でハートの写真が撮れたのが唯一の収穫か

<山行記録>
日程:2010年11月22日(月) 日帰り

同行者:Yさん

天候:晴れ

当初計画:荒川口(5:10)-小杉谷集落跡(6:24)-楠川別れ(6:51)-新設トイレ(6:55)-大株歩道入口(7:55)-ウィルソン株(8:30)-大王杉(9:10)-縄文杉(10:00)-大王杉(11:05)-ウィルソン株(11:30)-大株歩道入口(12:00)-楠川別れ(12:50)-小杉谷集落跡(12:50)-荒川口(14:00)

コースレコード:荒川口(7:00)-小杉谷集落跡(7:55)-楠川別れ(8:40)-大株歩道入口(10:00)-ウィルソン株(10:50)-大王杉(12:10)-縄文杉(12:50)-大王杉(13:50)-ウィルソン株(14:20)-大株歩道入口(15:00)-楠川別れ(16:20)-小杉谷集落跡(17:00)-荒川口(17:45)

実歩行時間:6時間39分

2010.10.24 【皇海山・鋸山山行】 360° 山ばっか

10月24日早朝。山深い栗原林道をS君の運転する車はH君と私を乗せ、ひた走る。

栗原林道 爆走中
下調べで分かっていたことだが、今時珍しく悪路の続く林道であった。
目的の皇海橋まで22km、ほぼ1時間の間、未舗装のダートが続く。
皇海橋までは、本来ならば2本の林道が通じているが、そのうち1本は閉鎖中。
この道も、ガードレールもない崖が続き、岩が落ちていたり、大きな水たまりを突破したりと気が抜けない悪路であった。
私は、こういう道は結構好きなので、深山の秋を堪能しながらの走行であったものの、いや~~長い長い。
栗原林道から皇海山を望む
8時過ぎに皇海橋に到着したが、この林道を走破した時点ですっかり疲れてしまった。
運転してくれたS君はさらに大変であったでしょう。ご苦労様でした。
皇海橋の駐車場はほぼ満車
驚いたことに皇海橋の駐車場は、中型バスが2台も横付けており、ほぼ満車。
我々が一番遅い到着という印象であった。あんな林道をこんなに来てるのか~~?
駐車場を出て、登山口に入る。立派な日本百名山記念塔などもあり、人気がある山なんだなあと感じる。というか、百名山の神通力って未だ衰えずですなあ。

皇海山は、深田久弥著「日本百名山」によれば、江戸時代は「サク山」、別名「笄(こうがい)山」と呼ばれていて、この「こうがいさん」が後に「皇開山」と当て字され、開が海に置き換えられ、皇の字がスメと読まれることから『すかいさん』と誤読されるようになったとされているんですが。
はっきり言って全然分かりません。本当ですか~~っ!て感じの山名であります。

昨今、クマの出没が世間をにぎわしているが、このあたりはいかにもクマさんの巣窟って感じの雰囲気であちこちに「熊に注意!」「単独登山禁止」の立て札がある。
まあ、この人出ならさほど心配することもないでしょうが。

8時半過ぎに皇海橋を出発。よく踏み慣らされた登山道を登る。
最初のうちは不動沢に沿ったクマザサに覆われた林の中の山道で、まあなんてこたぁない普通の山道。

しかし、二股という谷の合流地点を過ぎると一気に山道の様相は変わり、谷筋に道は変わる。
沢登りの最後の源流を詰めるという雰囲気。となれば最後に待っているのは、藪こぎであります。
実は、本来の登山道は、途中から谷から離れたのですが、我々は面倒くさいのと踏み跡もあったことから、反則で谷詰めをしてしまったのでした。
不動沢 源流部を行く
しばらくクマザサと藪をこいで行くと不動沢のコル。
右にルートを取れば鋸山を経て庚申山へ続く道。左側のルートが今日の目的地、皇海山への登山道である。
不動沢のコルは大混雑
そしてここで、ついに現れたのが、数十名のオジオバ団体です。2台のバスに分乗し、ガイドまで付けた団体さんのうるさいこと。ガイドはザイルまで肩に掛けてました。ガイドさんも大変です。
幸いにも、もうすでに皇海山の登頂を終えたようで、すぐに下山して行きました。
これじゃあ、クマさんも近寄れません。

ここからは、静かな山旅を堪能でき、山頂直下の展望台とも言うべき場所に着いた時は、西側に広がる山並みに圧倒されたのでした。
遠景には、北アルプスから富士山まで一列に連なった高山の山並み。中景には苗場山、浅間山をはじめ奥秩父連峰が配され、近景には赤城山榛名山などの上州の山々が一望できるというまさにこれぞ「山デイ」。これぞ日本の風景という絶景でした。
曇り空だが視界はばっちり

遠くに富士山も見えました
皇海山頂上には11時前に到着。頂上はあまり広くないうえに木々に囲まれ展望は今一であった。
そこで、展望の良い、少し山頂を外れたところに移動し、昼食とする。
そこからは、東から北側に位置する男体山、日光白根山、燧ケ岳、至仏山、武尊山、巻機山、谷川岳が一望できるという快挙。
尾瀬 至仏山のきれいな山容
昼食を食べ終わり、皇海山からは下山。
不動沢のコルにはあっという間に着いてしまい、まだ12時半。
鋸山 ちょっと見 槍ヶ岳っぽいですな
さて、鋸山に登ることにしようか。
鋸山は、庚申山と皇海山に挟まれたピークだが、その名前の通り、鋸のような11のピークが連なる尾根の最北端に位置する山である。
難所にはロープが張ってあります
不動沢のコルから鋸山へは直登ルートしかない。
しかも、大半は岩場である。ところどころにロープが張ってあり、それを利用して登る。
結構スリルがあるもののそれほどの難易度はなく、30分弱で頂上に到着。
正面に男体山がどーんと見えた
頂上からの眺めは素晴らしく、北側の視界が皇海山に遮られるものの、ほぼ360度が見渡せる大絶景。
山容から言っても、こちらの方が皇海山より勇壮である。
深田久弥さんは、なぜ皇海山を日本百名山に入れたのだろう。たぶん、栃木県側から庚申山・鋸山を経て皇海山にいたるルート全般を皇海山に代表させて、日本百名山に加えたのだろうと我々3人の意見は一致。

もともとの計画では、鋸山には登る計画は無かったものの、登ってみれば大正解であった
日光白根の岩峰が間近に見える
ここまで、先日行った白馬山麓に比べ、あまり素晴らしい紅葉にはお目に掛っていなかった。
ようやくこの頂上まで来て、ノリ玉紅葉に出会う。
植生にもよるものだろうが比較的淡い色合いの紅葉である。
これもまた風情があり、なかなか良い景色であった。
奥山にはノリタマが現れた

鋸山山頂から見た皇海山
あとは皇海橋まで降りるだけ。あの栗原林道ダート走破が待っているだけである。


出発前は、危ぶまれた天候もなんとか保ち続け、山上の視界はクリアで素晴らしい景色を堪能できた山行となった。
また、日帰り登山としては、比較的ハードなコースでなり、クマザサ藪こぎ中に転倒負傷したこともあり、下山後にあちこちが痛むというになったが、北アルプスから筑波山まで、数多くの山々を望むことができ、「また、すぐに山に行こう!」という気にさせてくれた山行でありました。

大キレットが見えますか
<山行記録>
日程:2010年10月24日(日) 日帰り

同行者:Sさん、Hさん

天候:曇り

当初計画:皇海橋P(9:10)-二俣(10:00)-不動沢のコル(11:30)-皇海山(昼食)(12:30)-不動沢のコル(14:10)-二俣(15:20)-皇海橋P(15:40)

コースレコード:皇海橋P(8:22)-二俣(9:01)-不動沢のコル(10:00)-皇海山(昼食)(10:57)-不動沢のコル(12:32)-鋸山(13:10)-不動沢のコル(14:05)-二俣(14:49)-皇海橋P(15:17)

実歩行時間:5時間50分