乗鞍岳である。
北アルプス最南端に位置し、坂上田村麻呂が飛騨平定の折に登山、開山したとされる。
日本に21座しかない3,000m峰のうち、第19番目標高3,026mを誇る山である。山頂部のカルデラを構成する最高峰の剣ヶ峰、朝日岳などの8峰を含め、摩利支天岳、富士見岳など23の峰があり、広大な裾野が広がる。
乗鞍岳剣ヶ峰から北アルプス主稜線方面を望む |
しかし、なんといっても日本百名山。しかも、北アルプスに属する一峰である。
一度は登らずにはおけまい。
深田久弥も、著書「日本百名山」で「乗鞍信者は平和的で、浪漫的で、ウェットである。 その姿がいい。雄大で、しかも単調ではない。ゆったりと三つの頭を並べたその左端が主峰である。 前景の豊かな広がりがいい。胸の透くように伸びてコセコセしたところがない。 乗鞍にはさっそうとした感じがある。」と記述している。相変わらずの名文ですね。
写真はすべてクリックで拡大します。 |
早朝の平湯温泉は快晴 |
典型的な普通の日本旅館の朝食です。 |
平湯温泉の宿を出、ほおのき平バスターミナル(標高約1,200m)で乗鞍畳平(標高2,702m)行きのシャトルバスに乗り込んだのは、だめジャンと言われても8時半でありました。
ほおのき平バスターミナル |
展望のきく運手席のすぐ後ろの席をゲットする。
運転席の後ろに陣取る |
畳平に到着です。 |
あとで畳平の売店の婆さんが「今年はいつもの半分も雪ないね。このあたりも月末には全部溶けちゃうかもね」だと。
振り返ると畳平のバスターミナル |
ようこそ乗鞍岳へ(後ろは鶴ヶ池) |
鶴ヶ池の後方に見えるのは大黒岳(2,772m) |
我々は主峰剣ヶ峰3,026mを目指して出発。
畳平からは整備された広い登山道(本当は車道ですな)を歩く。
帰り道には立ち寄りたくなくなるであろう小ピークの富士見岳(2,817m)に立ち寄ったりしながら、肩の小屋までコースタイムを上回る快調なペースで到着。
富士見岳(2,817m)をさくっと通過 |
ときおりガスが湧いてくる |
肩の小屋手前の雪の切り通し |
肩の小屋が見えてきた |
肩の小屋前で(これから登る剣ヶ峰も見えてきた) |
大雪渓も大分溶けてしまったのかそれほどの迫力でもない。
位ヶ原付近には、多くのスキーヤー(ボーダー?)がうろうろしていた。
この季節の乗鞍岳登山は、我々の選んだ畳平からのルートとこの位ヶ原(くらいがはら)から直登するルートがあるが、畳平からのルートを選択して正解。
登っている(降りている)傍らをスキーでピュ~~と滑られたらメゲちゃいますもん。
大雪渓をトラバース |
上からスキーヤーが落ちてきた |
下を見るとテクテク登ってくる人もいます |
雲は多いが、さすがは3,000m峰。絶景であります。
剣ヶ峰(3,026m)に到着 |
笠ヶ岳の頂上がちらっと見えました。 |
たぶんこっちが朝日権現 |
乗鞍大権現(たぶん) |
残念なことにアルプスの主稜線方面は厚い雲に覆われていて、期待した槍穂高は全く姿を見せなかった。
その時、雲海のかなたに御嶽山の頂上が見える。威勢よく煙を上げており、火山活動は終わっていないことを実感する。いまだ6名の行方不明の人がいるとのことである。早期の発見をお祈りします。
白い煙を吹き上げる御嶽山 |
風もなく、気温も快適な頂上で、今日もゆっくりとお昼ご飯。
おにぎり、大福にスタバのカフェ・ベローナ |
さすがに腰を上げる時が来たようだ。
一向に北アルプス方面の雲は晴れない |
剣ヶ峰に立つ! S隊長の勇姿 |
頂上も大分混んできた |
大雪渓トラバースも写真を撮ったりと余裕のよっちゃんである。
朝日岳直下の雪渓 |
大雪渓をトラバース この1枚だけ見るとすごい所に行っているみたいでしょ |
剣ヶ峰を振り返る |
ここでS君H君は、対面にある大黒岳を冷やかしに行く。
曇ってきた下山道 先を急ぐ |
大黒山登山口
舗装道路で日本一の標高だそうだ
|
孤高の雷鳥君(H君写) |
どうせ、曇ってて何も見えやしないし。
それでも乗鞍岳は3,000m超えてるし、百名山だし、文句はありません。
また、歩行時間を3時間に抑えたのが良かったのか、余計なことをしなかったのが良かったのか、筋肉痛も最小規模で済みました。
30分ほどして、S君H君が戻ってくる。
S君がうれしそうに雷鳥の写真を見せびらかしている。
「雷鳥もハクサンイチゲもシナノキンバイが見られたよ~~」とのこと。
くそ~~!と思ったが、ここに待っている間に私も雷鳥は見ましたよ。
午前中、この富士見岳登山口のあたりで、一声「ゲェ~~」と鳴いていたあいつがまた現れたのですよ。(雷鳥の鳴き声は基本的にゲェ~~しか聞いたことがない)
ちょっと遠くて写真は撮れなかったけどね。雷鳥でしたよ。
ハクサンイチゲとシナノキンバイは、畳平バス停の付近にも咲いていましたよ。
ハクサンイチゲ(畳平にて) |
シナノキンバイ?(ちょいしょぼい。畳平にて) |
当初の予定より2時間ほど遅くなってしまったけど、平湯温泉でしっかり汚れを落とし、あとはS君の運転で帰るだけなので、楽ちんなのである。
今回の山行は、天気はまずまず、展望はいまいち、雪景色もちょい駄目、そして高山植物に至ってはほぼ全滅。という結果ではありましたが、全体的にのんびりした山旅を楽しめた良い山行でした。
この後、小仏トンネル大渋滞で、あったまにきたS君が、高速を捨て一般道の山道を爆走するという事態となるが、それはまた別の話。
帰りの中央道で富士山が見えた。頂上まで晴れています。 |
日程:2015年6月7日(日) 日帰り(前泊)
同行者:Sさん、Hさん
天候:晴れ時々曇り(3,000mくらいに雲海あり)
当初計画:畳平(8:40)-富士見岳分岐(9:20)-肩の小屋(9:45)-剣が峰(10:40)-(休憩)-発(11:10)-肩の小屋(12:00)-富士見岳分岐(12:25)-畳平(12:35)
コースレコード:畳平(9:25)-富士見岳(9:50)-肩の小屋(10:20)-発(10:30)-蚕玉岳(11:08)-剣が峰(11:15)-(休憩)-発(12:30)-朝日岳(12:45)-発(12:50)-肩の小屋(13:12)-発(13:18)-大黒岳登山口(13:50)-(大黒岳ピストンS君H君のみ)-発(14:25)-畳平(14:35)
実歩行時間:3時間
剣ヶ峰で観天望気を行う。 |