2015.6.7 【北アルプス 乗鞍岳山行】 でも百名山。でも一万尺。

乗鞍岳である。
北アルプス最南端に位置し、坂上田村麻呂が飛騨平定の折に登山、開山したとされる。
日本に21座しかない3,000m峰のうち、第19番目標高3,026mを誇る山である。
山頂部のカルデラを構成する最高峰の剣ヶ峰、朝日岳などの8峰を含め、摩利支天岳、富士見岳など23の峰があり、広大な裾野が広がる。
乗鞍岳剣ヶ峰から北アルプス主稜線方面を望む
その一方、昭和48年に乗鞍スカイラインが開通した後は「日本で最も登りやすい3,000m超級の山」、「ハイヒールでも上れる山」とも称されてきた。実際にはハイヒールで剣ヶ峰に登るのはちょいと無理でしょうが。

しかし、なんといっても日本百名山。しかも、北アルプスに属する一峰である。
一度は登らずにはおけまい。
深田久弥も、著書「日本百名山」で「乗鞍信者は平和的で、浪漫的で、ウェットである。 その姿がいい。雄大で、しかも単調ではない。ゆったりと三つの頭を並べたその左端が主峰である。 前景の豊かな広がりがいい。胸の透くように伸びてコセコセしたところがない。 乗鞍にはさっそうとした感じがある。」と記述している。相変わらずの名文ですね。
写真はすべてクリックで拡大します。
我々は、前日。「鍬ノ峰山行」を終えると国道158号いわゆる野麦街道を通り抜け、乗鞍岳山麓の平湯温泉の旅館に到着。飛騨牛に舌鼓を打ったのであった。
早朝の平湯温泉は快晴
典型的な普通の日本旅館の朝食です。
そして、温泉で疲れを癒し、宿を未明に出発、乗鞍山頂でご来光を見るぞ!というストイックな山屋にありがちな山行は完全に放棄し、ゆっくりと旅館の朝ご飯を頂いていた。
平湯温泉の宿を出、ほおのき平バスターミナル(標高約1,200m)で乗鞍畳平(標高2,702m)行きのシャトルバスに乗り込んだのは、だめジャンと言われても8時半でありました。
ほおのき平バスターミナル
今年もこの乗鞍スカイラインは5月15日に開通。立山の雪の壁ほど有名ではないが、6月中旬までは畳平の手前に9mもの雪の壁が楽しめるとのことである。
展望のきく運手席のすぐ後ろの席をゲットする。
運転席の後ろに陣取る
畳平に到着です。
バスは、ぐんぐん標高を上げていく。登るにつれ、空は暗くなっていき2,000mくらいのところで雲に突入。畳平に近づき雲は晴れ、残雪が現れるが、肝心の雪の壁は、すでに消え失せていた。
あとで畳平の売店の婆さんが「今年はいつもの半分も雪ないね。このあたりも月末には全部溶けちゃうかもね」だと。
振り返ると畳平のバスターミナル
ようこそ乗鞍岳へ(後ろは鶴ヶ池)
鶴ヶ池の後方に見えるのは大黒岳(2,772m)
いずれにしろ、天気は恢復傾向にある。
我々は主峰剣ヶ峰3,026mを目指して出発。
畳平からは整備された広い登山道(本当は車道ですな)を歩く。
帰り道には立ち寄りたくなくなるであろう小ピークの富士見岳(2,817m)に立ち寄ったりしながら、肩の小屋までコースタイムを上回る快調なペースで到着。
富士見岳(2,817m)をさくっと通過
ときおりガスが湧いてくる
肩の小屋手前の雪の切り通し
肩の小屋が見えてきた

肩の小屋前で(これから登る剣ヶ峰も見えてきた)
心配された大雪渓上部のトラバースも難なく突破。一応、軽アイゼンは携行しているものの全く必要ない状態でした。
大雪渓も大分溶けてしまったのかそれほどの迫力でもない。
位ヶ原付近には、多くのスキーヤー(ボーダー?)がうろうろしていた。
この季節の乗鞍岳登山は、我々の選んだ畳平からのルートとこの位ヶ原(くらいがはら)から直登するルートがあるが、畳平からのルートを選択して正解。
登っている(降りている)傍らをスキーでピュ~~と滑られたらメゲちゃいますもん。
大雪渓をトラバース
上からスキーヤーが落ちてきた 
下を見るとテクテク登ってくる人もいます

最後の急登を登りきり、鳥居と社の立つ剣ヶ峰に到着。
雲は多いが、さすがは3,000m峰。絶景であります。
剣ヶ峰(3,026m)に到着 

笠ヶ岳の頂上がちらっと見えました。


古くからの信仰のお山なので山頂の飛騨側には乗鞍大権現、信州側には朝日権現神社が祀られておる訳ですが、朝日権現さん(たぶん)にお賽銭を上げ登山の無事を祈願した。
たぶんこっちが朝日権現
乗鞍大権現(たぶん)
今日は昨日より、雲低は上がり、約3,000mの付近で雲海を形成している。
残念なことにアルプスの主稜線方面は厚い雲に覆われていて、期待した槍穂高は全く姿を見せなかった。
その時、雲海のかなたに御嶽山の頂上が見える。威勢よく煙を上げており、火山活動は終わっていないことを実感する。いまだ6名の行方不明の人がいるとのことである。早期の発見をお祈りします。
白い煙を吹き上げる御嶽山
ちなみに乗鞍の美しい地形は多くの火口湖や堰止湖で作られているが、一応、有史後の火山活動は報告されていない。

風もなく、気温も快適な頂上で、今日もゆっくりとお昼ご飯。
おにぎり、大福にスタバのカフェ・ベローナ
雲海が晴れるのをまつこと1時間余。頂上に登ってくる人も増え、結構込んできた。
さすがに腰を上げる時が来たようだ。
一向に北アルプス方面の雲は晴れない
剣ヶ峰に立つ! S隊長の勇姿
頂上も大分混んできた
下りは、朝日岳(2,975m)に寄り道などはしたが、ガンガン降りる。
大雪渓トラバースも写真を撮ったりと余裕のよっちゃんである。
朝日岳直下の雪渓
大雪渓をトラバース 
この1枚だけ見るとすごい所に行っているみたいでしょ
剣ヶ峰を振り返る
さくさくと富士見岳登山口まで降り立つ。
ここでS君H君は、対面にある大黒岳を冷やかしに行く。
曇ってきた下山道 先を急ぐ
大黒山登山口
舗装道路で日本一の標高だそうだ
孤高の雷鳥君(H君写)
私は、剣ヶ峰に問題なく登ることができて満足していたこと、また無理して負傷でもして二人に迷惑かけちゃあいけないと思ったので、大事を取って荷物番をすることにした。
どうせ、曇ってて何も見えやしないし。
それでも乗鞍岳は3,000m超えてるし、百名山だし、文句はありません。
また、歩行時間を3時間に抑えたのが良かったのか、余計なことをしなかったのが良かったのか、筋肉痛も最小規模で済みました。

30分ほどして、S君H君が戻ってくる。
S君がうれしそうに雷鳥の写真を見せびらかしている。
「雷鳥もハクサンイチゲもシナノキンバイが見られたよ~~」とのこと。
くそ~~!と思ったが、ここに待っている間に私も雷鳥は見ましたよ。
午前中、この富士見岳登山口のあたりで、一声「ゲェ~~」と鳴いていたあいつがまた現れたのですよ。(雷鳥の鳴き声は基本的にゲェ~~しか聞いたことがない)
ちょっと遠くて写真は撮れなかったけどね。雷鳥でしたよ。
ハクサンイチゲとシナノキンバイは、畳平バス停の付近にも咲いていましたよ。
ハクサンイチゲ(畳平にて)
シナノキンバイ?(ちょいしょぼい。畳平にて)
畳平駐車場に2時半過ぎに無事到着。
当初の予定より2時間ほど遅くなってしまったけど、平湯温泉でしっかり汚れを落とし、あとはS君の運転で帰るだけなので、楽ちんなのである。

今回の山行は、天気はまずまず、展望はいまいち、雪景色もちょい駄目、そして高山植物に至ってはほぼ全滅。という結果ではありましたが、全体的にのんびりした山旅を楽しめた良い山行でした。

この後、小仏トンネル大渋滞で、あったまにきたS君が、高速を捨て一般道の山道を爆走するという事態となるが、それはまた別の話。
帰りの中央道で富士山が見えた。頂上まで晴れています。
<山行記録>
日程:2015年6月7日(日) 日帰り(前泊)
同行者:Sさん、Hさん
天候:晴れ時々曇り(3,000mくらいに雲海あり)
当初計画:畳平(8:40)-富士見岳分岐(9:20)-肩の小屋(9:45)-剣が峰(10:40)-(休憩)-発(11:10)-肩の小屋(12:00)-富士見岳分岐(12:25)-畳平(12:35)

コースレコード:畳平(9:25)-富士見岳(9:50)-肩の小屋(10:20)-発(10:30)-蚕玉岳(11:08)-剣が峰(11:15)-(休憩)-発(12:30)-朝日岳(12:45)-発(12:50)-肩の小屋(13:12)-発(13:18)-大黒岳登山口(13:50)-(大黒岳ピストンS君H君のみ)-発(14:25)-畳平(14:35)

実歩行時間:3時間
剣ヶ峰で観天望気を行う。