2012.1.7~8 【南八ヶ岳縦走】(赤岳・横岳・硫黄岳) 本日も天気晴朗なり

2012年最初の山行は、正月明けの八ヶ岳と決まった。

八ヶ岳は、「赤岳を最高峰に横岳などで構成。その山容は、夏沢鉱泉と本沢温泉を結ぶ夏沢峠を境界として、北八ヶ岳と南八ヶ岳に大きく分けられる。南八ヶ岳は、主峰の赤岳をはじめ、横岳・硫黄岳・阿弥陀岳の鋭い峰々や、横岳西面の大同心・小同心に代表される岩峰群などがあり、急峻な地形となっている。このため、日本有数のロッククライミングの岩場があることとして知られ、また冬場は氷瀑のアイスクライミングでも知られる岩稜が中心となっている。」WIKIPEDIAより抜粋。
八ケ岳核心部の絶景
八ケ岳は、その昔、まだ私が元気な登山者だった頃、もっとも好きだった山塊である。
北の蓼科山から南の編笠山まで何回訪れたことであろう。

冬の高見石小屋、どしゃぶりの黒百合ヒュッテ、夏の赤岳、迷走した編笠山。
思い出の多い山である。
そして、今回いよいよ、冬山への復帰戦も八ケ岳となった。
写真は全てクリックで拡大します。
待望の冬山復帰であったが、一抹の不安は拭えなかった。
クリスマス連休の準備山行「北八ヶ岳雪上訓練山行」には、体調不良もあり参加できず。
また年末にひいた風邪が抜けず、かなりの体力ダウンを自覚。
また、技術面でも冬山装備を新調しながらも、それらを試す機会が無かったことも不安を増した。

ただ、メンバーはいつもの3人であり、いざとなれば「ごめんなさい。」しちゃえばいいや。という甘い気持ちがあったのも事実である。

結果は、

天気がこれ以上は望めないほど良かったこと。(2日ともほぼ快晴。風もこの季節にしては弱かった)
今回のコースには多くの登山者が入っており、トレースがきっちりできており、ラッセル等の消耗戦にならなかったこと。(これはこの時期の八ケ岳なので想定内ですが。ラッセル泥棒じゃないよ。)

冬山復帰戦としては、個人的には、100点満点で120点くらいは付けられる大満足の山行となったのでありました。
なお、同行メンバーの二人には、迷惑を掛けてしまった面もあり、申し訳ないとちゃんと反省しています。

・第1日目 1月7日 「目指すは天望荘」
1月7日未明 H君の新車で八ヶ岳へ向かって出発。中央高速をひた走る。
この時点で天気予報は上々。
富士山、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳などが早朝から晴天ですっきりと見える。
肝心の八ケ岳はというと、編笠や赤岳の頂上付近はかなり雲が掛っていて頂上は見えない。
冬型の気圧配置が強すぎたか?
まあ、我々が行く午後には晴れるだろうと相変わらずの根拠のない楽観主義でGO!
中央道から富士山が見えた
双葉SAで朝食。諏訪南ICで中央道を降り、美濃戸口に8時に到着。
このあたりは、すでに路面は雪に覆われ、ところどころ凍結の兆し。
美濃戸の駐車場で装備を整える
今日の予定ルートは、美濃戸口-赤岳山荘-行者小屋-(地蔵尾根)-赤岳天望荘(余裕があれば赤岳を空身ピストン)という計画である。

若干のトラブル(これは内緒)もあったものの、9:00に美濃戸口を出発。
出発地点ですでに積雪があるも、まずは赤岳山荘への林道を登る。
雪の林道を歩き始める
ここからはいよいよ山道に入り、行者小屋へ。
雪も深くはなるが、道はしっかり踏み固められておりアイゼンを履く必要を感じず、そのまま登り続ける。
まことにきれいな雪山であります
この上まで明日は行くんだ
だが、思いのほか、この行程は時間が掛ってしまい、行者小屋到着は13時。遅い昼食とする。
当初の予定より大分遅れてしまったため、この時点で天望荘到着後の赤岳往復のプランは消える。
昼食は「マルちゃん 正麺」をおいしく頂く。
天望荘からは事前に「到着が15:00を過ぎるのであれば、連絡を頂きたい」と連絡が来ていたので、「16:00頃に着きます」と電話を入れる。(でも、ほとんどの登山者は4時過ぎに着いてたんですが、皆さん連絡したんだろうか)
行者小屋には多くの登山者が
この先はアイゼンを装着し、地蔵尾根への道を急ぐ。

かなりの登山者が入っており、難所では待ち時間も多かったが、ほぼコースタイム通りに稜線「地蔵の頭」に到着。
八ケ岳の稜線に飛び出す
稜線上の地蔵の頭に抜けたとたんにまたまたブロッケンに遭遇。
最近、見慣れて来た感も強いが、この現象は結構好き。
ブロッケンがお出迎え
稜線に出た途端、左右に絶景が広がる。
雪化粧した主峰赤岳の威容、雪煙を上げる横岳(日ノ岳)は圧巻の迫力である。
雪煙を上げる赤岳の雄姿
横岳方面も風強し
2年前に天狗と硫黄岳は残雪期に訪れたものの赤岳と横岳は硫黄岳山頂から、眺めただけであった。
その頃から、今度八ケ岳に行くときには、ぜひにも南八ケ岳に行きたいとは思っていたが、この冬の時期に実現できたことは感無量でありました。
2年前に見た赤岳と横岳(硫黄岳頂上から撮影)
あれやこれやで赤岳天望荘についたのは16時前になってしまった。
受付で手続きを済ませる。
我々には3名用の個室が割り当てられる。
夕食はバイキング。話に聞いてはいたがなかなかのもんでした。
また、コーヒーとお湯とお茶は無料という親切さ。(ただし、水はペットボトルでの提供で有料)
従業員の応対もとても良く、満足度の高い小屋泊まりとなりました。
天望荘名物 夕食バイキング
本日の宿泊客は50名ほどということで、この時期としてはかなり多いとのこと。
晴天の天気予報に誘われて、山好きが押し寄せたってことでしょうか。

参考までにこの冬は、年末年始は12月22日から1月10日までの営業であり、また、厳冬期の2月10日~3月11日まで営業しているとのこと。

日の入りを撮影しに山小屋の外に出る。
凄まじい寒さの中では、2,3枚の写真を撮るのがやっと。部屋着では30秒の滞在が限度というところか?

阿弥陀岳に日は暮れて
午後9時には消灯となりましたが、風の音が強まる中、昼間の疲労もあり、朝6時の起床時間までゆっくりと休むことができました。

・第2日目 1月8日 「本日も天気晴朗なり」
起床して、とりあえず外を覗きに行く。
稜線の両サイドともに雲ひとつない。まだ暗いが、快晴だ!
奥秩父金峰山のあたりが少し赤くなって来ている。
奥秩父金峰山が赤く色づいて来た
ただし、猛烈に寒い。零下20度くらいか?風も相当に強いが、「こんなもんならこの時期では弱いほうですよ」と小屋のお兄さんに言われる。

小屋に戻り朝食を食べ、日の出を拝みに再び外へ。
金峰山の五丈岩付近から日が昇る。
富士山もクッキリだ。
日の出を拝む人々
今日一日この天気が保ちます様にと、祈る。

本日の行程は、赤岳(空身往復)-横岳-硫黄岳-赤岳鉱泉-赤岳山荘-美濃戸口というコースだ。

まずは赤岳へ行こう。
パッキングを済ませたザックを小屋に預け、必要品だけをサブザックに詰めて、出発だ。
赤岳を空身で登る
風も思ったより強くなく、凍てつく雪道にアイゼンが良く効く。
ぐんぐん高度を稼いで、ほぼコースタイムどおりに八ヶ岳の主峰赤岳2,899mの絶頂に達する。
遂に赤岳を制覇
360度の大展望はまさに圧巻!
ひとまず、ここは説明なしで写真をご覧ください。
南アルプス白根三山
中央アルプス主要部
北アルプス 穂高岳から槍ヶ岳
雲に浮かぶ霊峰富士
北アルプスの北部の稜線(五竜や白馬の方)が厚い雲で覆われている他は、ほぼここから見える全山が見えた。

頂上での圧倒的な景色を十分に堪能し、再び天望荘へ下る。
この後は、いよいよ今回の山行の核心部である横岳から硫黄岳への縦走が待っている。
この山をまず登ります
横岳(日ノ岳)へのルートは、ほぼ直登。急峻な雪の斜面を登るルートとなっている。
今回のルートで最大の難所が始まる。
見た目より厳しくない
ところが、トレースの雪は固くしまっており、風は弱く、天気は快晴というまたとないコンディションのお陰でそれほど苦労せず難所を突破。
日ノ岳、三叉峰2,825mを超えて横岳奥の院2,829mに到着。
横岳奥の院に到着
横岳頂上にて赤岳を振り返る。美しい山だ。
まだまだ天気は快晴。快適な冬山稜線の縦走を楽しめた。
赤岳 中岳 阿弥陀岳の雄姿
と、ここまではまずまずの出来だったが、実は個人的にはこのあたりから靴が合わず、両足の外側が当たる他、右くるぶしに靴の上部が異様に当たり、一歩歩くたびに激痛が走る。
ぶっつけ本番でこの山行に臨んだ罰が当たったようだ。
一方、S君とH君は快調の模様で、やはり「北八ヶ岳雪上訓練山行」に参加できなかったのが響いたかと悔やむ。

二人からかなり遅れてしまい、何度も待たせてしまう。申し訳ない限りである。
幸い、持病の膝痛は出なかったので、痛む足を引きずりながらもなんとか歩を進めることができた。
これから行く硫黄岳と北八つ方面
横岳から降下する地点の最後の難所を超え、硫黄岳山荘のある鞍部へ降りる。
ここから硫黄岳山頂までは夏のコースタイムは20分。9つの大ケルンを目印のゆるやかな坂を登って行く。
なんとここが辛かった。夏時間の倍ほどの時間を掛けながらあえぎあえぎ登る。
なんとか硫黄岳山頂に到着。二人ともお待たせ。
早くおいでよ!と呼ぶS隊長と写真撮りまくるH君
しかし、登りはこれにて終了。
頂上に着いたのは12:30であった。
快晴なれど烈風の吹き抜ける硫黄岳山頂にて、周囲の景色をしばし楽しむ。
硫黄岳山頂にて Can I fry?
当初の予定はここで昼食であったが、寒さも厳しく風も強いので予定を変更し、赤岩の頭の広場まで降りて昼食とした。
赤岩の頭方面の美しい雪原
昼食を摂り、あとは一気に赤岳鉱泉まで樹林帯を急ぐ。
コースタイムより早かったものの、ここでも遅れ目の私が原因で、快調に飛ばしたとは贔屓目にみても言えない。
赤岳鉱泉に着いたのは15:00。設定したコースタイムより約1時間の遅れである。
でも、あとは樹林帯を下るだけなので、有名なアイスキャンデーをしばし見学。
アイスクライミングの体験ができるスポットだ。
クライミングを見学したS隊長が出した結論は、「これはやめておこう。」「同意」
赤岳鉱泉のアイスキャンデー
赤岳鉱泉からはひたすら樹林帯の中の雪道を下り続ける。
車を駐車しておいた赤岳山荘を過ぎる頃には日もとっぷりと暮れ、満月の照らす夜道を駐車場に向かって歩き続けたのであった。
雪の樹林帯を下る
今回の山行を振り返ると、反省すべき点も多くありながらも、なんとか冬山に復帰できた。
4年前に山に戻ってから、徐々に冬山への憧憬が増していったのだが、また、この清冽な雪山を堪能できたことは、本当に嬉しかった。

もちろん、冬山としては人が多く入っておりルートが整備されていること、天候に最高に恵まれたこと、一緒に行ってくれる仲間が居たこと。
これらのひとつが欠けても今回の復帰はままならなかったのは間違いない。

今回の山行で、新たな課題(自分自身の)もいくつか見つかった。少しづつこれらを克服し、今度来る時は余裕を持って挑みたいと痛切に感じた次第です。

最後に、私は軽さに負けて今回の山行のために新しいピッケルを買ってしまったが、その昔、お揃いで買ったS隊長のシャルレ・スーパーコンタ2は、素晴らしくかっこよかったです。

雪山最高です!! 
また、山に行こうよ!!

<山行記録>
日程:2012年1月7日(土)~8日(日) 1泊2日

同行者:Sさん、Hさん

天候:
 7日:快晴
 8日:快晴

当初計画:
 7日:美濃戸赤岳山荘(8:50)-行者小屋(11:30)(昼食)-(地蔵尾根)-赤岳天望荘(14:15)-赤岳(15:30)-赤岳天望荘(16:15)
 8日:赤岳天望荘(7:30)-赤岳(8:25)-赤岳天望荘(9:10)-横岳三叉峰(10:25)-横岳奥の院(10:40)-硫黄岳(11:35)(昼食)-赤岩の頭(12:30)-赤岳鉱泉(14:00)-堰堤広場(15:35)-美濃戸赤岳山荘(16:10)

コースレコード:
 7日:美濃戸P(9:00)-赤岳山荘(10:01)-行者小屋(12:57)(昼食)-(地蔵尾根)-地蔵の頭(15:33)-赤岳天望荘(15:49)
 8日:赤岳天望荘(7:39)-赤岳(8:19)-赤岳天望荘(9:00)-地蔵の頭(9:25)-横岳三叉峰(10:39)-横岳奥の院(11:04)-硫黄岳山荘-(12:00)-硫黄岳(12:33)-赤岩の頭(13:15)(昼食)-赤岳鉱泉(14:56)-堰堤広場(15:48)-赤岳山荘(16:31)-美濃戸P(17:27)


実歩行時間:
 7日:5時間28分
 8日:7時間5分
また来るぞ!愛する八ケ岳