西天狗岳より北アルプスを望む |
なんとこの日が、今年の初山行。
諸事情は色々とあったものの、前回の日光白根山から、4ヶ月も空いてしまった。
今回は八ヶ岳の天狗岳である。
なぜ、天狗岳を選んだのかというと、雪山で安全度が高い上に登るのが楽であろう。という判断からである。
同行するH君が、4年前に今回と同ルートを登っており、私も2010年にオーレン小屋から登っている。(2010.5.29~30 【八ヶ岳 硫黄岳・天狗岳山行】久々の幕営 参照)
ということもあり、後述するがはっきり言って舐めていたのである。
写真は全てクリックで拡大します。 |
Yamakei Onlineによると「天狗岳は東西二峰からなり、東天狗岳にある天狗岩と呼ぶ岩塔を天狗の鼻に見立てた山名と考えられる。東天狗岳は、長野県茅野市と同南佐久郡小海町の境に位置している。縦走路上にある東天狗岳は男性的にそびえ立っているが、縦走路から外れた西天狗岳は2646mの二等三角点をもつものの、その山容はずんぐりとしており、西尾根が唐沢鉱泉へと下っている。」とある。
今回の登山ルートは、唐沢鉱泉登山口から西尾根を登り、西天狗・東天狗を踏破し、黒百合平へ降りてくる周遊コースである。
H君曰く「1時間ほど登れば、稜線に出て、景色が良いルート」と云うことであった。
「雪山で楽チンで景色が良い」という願ってもないお気楽天狗岳登山である。
早暁、H君が愛車フリードで迎えに来てくれる。
夜明けが近いが、天気は快晴。いい1日になりそうだ。
快晴の八ヶ岳を目指す |
車窓から、今日登る天狗岳が見える。 |
中央道を諏訪南インターで降り、予定より30分ほど早く唐沢鉱泉の駐車場に着いた。
ガラガラ鉱泉駐車場 |
唐沢鉱泉は22日開業です。 |
唐沢鉱泉も二日後の22日土曜から、今年の営業が始まる。今は冬季休業中である。
今日は静かな山登りを楽しめそうだ。
天気は相変わらず晴天を保っている。
不要と考えた、ワカンとピッケルとアウターを車内に残し、アイゼンだけはザックに入れる。
山靴は、ちゃんと冬用を履いていくことにしよう。
唐沢鉱泉の正面玄関前のポストにちゃんと登山届けを入れ、8時35分、登山開始。
唐沢鉱泉登山口 |
踏み固められた雪道は、結構歩きやすいが、元気だったのは、はじめの1時間だけであった。
雪道を征くH君 |
1時間ほどで尾根の分岐に着く |
歩き出してちょうど1時間。
尾根道との分岐に到着。普通ならここで休憩なのだが、「もう、10分も歩けば視界が開けるよ」とH君。
地図すらも見てない私は「そうかそうか、疲れたが10分なら、なんとかなるのう。」
前に天狗岳に来た時の話や那須高原の雪崩遭難の話などをしながら、登っていく。
「白樺やダケカンバだけしかない斜面は、雪崩の危険がある。樺類はしなるので、雪崩に強いんだよ」とか、うんちくを傾けるH君であった。
だが、そのうちに双方とも口数が少なくなる。
おまけに私は遅れはじめ、H君に付いていけない。ヘタレである。
10分どころか、30分経っても、樹林帯は終わらず、展望はない。
もう、いい加減にしてくれぃ |
ここまで、約2時間を要す。H君勘違いかボケたか。
南ア・北岳と千丈岳 |
御嶽山 |
北アルプス |
南八ヶ岳・赤岳方面 |
北八ヶ岳・蓼科山方面 |
第一展望台からのパノラマ |
第一展望台の標高は2,400m程度。唐沢鉱泉が1,880mなので、2時間かけて500mしか登っていない。
先行したH君は、もうザックを降ろして写真を撮りまくっている。
ヘタレは俺だけかい?と思い、H君に「もうダメポ。」と申告する。
すると、H君も「おいらも、もうだめかも。帰ろうか」ですって。
まだ、行程の半分も来ていないのに、二人とももう既にヘロヘロである。
しかし、薄く絹雲はあるものの展望は抜群。
八ヶ岳の主稜はもとより、北岳を擁する南アルプス、木曽駒ケ岳の中央アルプス、御嶽山、そして乗鞍岳から始まる北アルプスは穂高・槍は元より、白馬三山までくっきりと見えるのである。
「上に行けば、360度だね」と言うH君の励ましもあり、登山続行。
樹林帯は続くが、ここまで来ると時おり垣間見える八ヶ岳の主稜線が絶景である。
第二展望台も絶景 |
今日のターゲットの天狗岳も目前に迫る。
しかし、一度鞍部に降りてから、山頂への急登が待っている。
ここで、本日最初にして最後のソロ登山者とすれ違う。
我々とは逆コースを歩いて来たようだ。元気そうだ。
我々のヨレヨレ姿を見て、心配したのか?声を掛けて来る。
「今日はどこまで行くのですか?」私「天狗登って黒百合平へ降ります」
「もうすぐ頂上ですよ。頑張って下さい。」
(どう考えても、もうちょっとの訳ないだろ、本当かよ?)とは思ったが、「ありがとうございます。お気をつけて」と大人の返答をして別れる。
これから登る西天狗岳 |
彩雲が出た |
こんなとこを登って来たのよ |
ここを登っている。 |
H君には置いて行かれ、ヘタレもピークを迎えながらも西天狗岳のピークに着いたのは12時半。
もう、ヘロヘロと徘徊するボケ老人のような様相で頂上を踏んだが、我々の他には誰もいないので恥ずかしくないのである。
西天狗岳。標高2,464mは、まさに360度の大パノラマであった。
空気も澄んでおり、久々の大展望である。過去に何度か天狗岳には来たが、これほどの展望は初めてである。
西天狗岳から、八ヶ岳・南ア・中ア・御嶽・北アルプスまで一望 |
南八ヶ岳核心部 |
遠く志賀高原方面も望める |
頂上標識は雪の中 |
「昼飯を食べたら、来た道をこのまま帰ろうか」とH君。弱気である。
私もそれでもいいかなあ。こっちのがさらに弱ってるしなあ。と同調しそうになるが、ここが頂上なので、戻っても行っても大差はないのである。
隣の東天狗岳に登れさえ登っちまえば、あとは下りしかないのである。
しかも、登って来た道より、ゆるやかなそうである。
これから行く東天狗岳 |
これから行く北八ヶ岳方面 |
コーヒーを沸かして、今回も1時間近くも休憩すると、ようやく先に進む元気が戻って来た。
今日のランチ |
雪上ランチはウマ〜〜 |
頂上を散策する。ホントはおしっこ? |
まずは西天狗からの急勾配を降りる。
あとで黒百合ヒュッテの人に聞くと、ここは雪崩れるそうである。
確かになかなか良い斜面であった。
西天狗岳から下山開始 |
雪の斜面を降る |
前方が東天狗岳 |
しばらく、休んで下降に入る。
東天狗岳山頂 |
下山開始直後に座り込む人がいた |
下山路から東天狗と西天狗を見る |
中山峠まで下る。黒百合平はもうすぐだ |
ほとんどが大岩で間に雪が挟まるという、嫌な斜面が続くが、下りは結構快調で45分ほどで黒百合平に到着。
黒百合ヒュッテに入り、コーヒーをいただくことにする。
黒百合ヒュッテが見えて来た |
黒百合ヒュッテの内部 植村直己さんのサインがある |
コーヒーをいただく |
前に来た時は、ヒュッテ前でテン張ったのだが、豪雨に見舞われ、シュラフに入ったまま溺れるかと思った。ことを思い出す。
平日ではあるが、香港から来た登山者も含めて、7、8人の宿泊者もおり、さすがは通年営業の黒百合ヒュッテではあった。
黒百合ヒュッテ正面入り口 |
ソーラー発電完備である |
するとH君、なぜかアイゼンを履きはじめた。
ここまで、ノーアイゼンで来たのに最後の下りの1本だけアイゼン装着である。
「せっかく持って来たので履くのじゃ 」とのこと。
アイゼンを装着する人がいる |
アイゼン装着は正解だったようで、「うひゃ〜」「ギョエ〜」と叫ぶのはもっぱら私の方であった。ちょっと踏み固められた雪を踏み外すと、モモまで潜る無数の踏み抜き地獄が待っていたのである。
今更、アイゼンつけるのも悔しいので、踏み抜き地獄に耐えながらフラフラ、ズボズボとH君のあとを追うのであった。
16時22分。
唐沢鉱泉に無事到着。鉱泉は22日の開業準備をしていた。
いよいよ、八ヶ岳もシーズンインである。
唐沢鉱泉まで降りて来ました |
車上の人となる。帰りの高速は空いていたが、二人とも非常に疲れていたので、休憩を多く取りのんびりと帰る。(運転はH君なので、私は寝ないように頑張ってただけ)
来るときには、「GWの山行計画は、表銀座か木曽駒か」とか盛り上がっていたのだが、帰りの車中では、もはや、気力も薄れ、「もう高尾山から出直すしかないかなあ」としんみりと語る二人であった。
(追伸)この山行の3日後。H君は本当に高尾山に登って、出直しを決意した模様である。わたしゃ、どうしようかなあ。。
西天狗岳山頂にて |
日程:2017年4月20日(木) 日帰り
同行者:Hさん
天候:まあ晴れ(高曇りではあるが視界良好)
当初計画:唐沢鉱泉登山口(9:00)-分岐(10:05)-発(10:15)-第一展望台(11:00)-発(11:10)-西天狗岳(12:10)-(昼食)-発(13:00)-東天狗岳(13:20)-発(13:30)-中山峠(14:20)-黒百合平(14:25)-(お茶@黒百合ヒュッテ)-発(15:00)-分岐(15:40)-発(15:50)-唐沢鉱泉(16:30)
<無積雪期コースタイム 歩行時間;5時間10分>
コースレコード:唐沢鉱泉登山口(8:35)-分岐(9:35)-第一展望台(10:30)-発(10:40)-第二展望台(11:27)-発(11:37)-西天狗岳(12:27)-(昼食)-発(13:20)-東天狗岳(13:42)-発(13:55)-中山峠(14:35)-黒百合平(14:40)-(お茶@黒百合ヒュッテ)-発(15:05)-分岐(15:27)-唐沢鉱泉(16:22)