守門岳へ向かう稜線から越後三山方面 |
だが、今年は気温が高く、雪が残っている山はアルプスか新潟・東北方面しか見当たらない。
諸事情により、二人の予定が合うのが、5月2日〜3日の1泊2日に限定される。
結局、前泊して早朝から狙える山ということで新潟県の守門岳(すもんだけ)に決定する。
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およそ240万年前~170万年前に活動した安山岩質の成層火山である。西側より、大岳、青雲岳(あおくもだけ)、袴岳の三つのピークで構成され、総称して守門岳と称する。雪消えが遅く、頂上付近の大雪庇で知られる。」Wikipedeaより
冬の守門岳の大雪庇 長岡観光協会HPより |
すでに大雪庇は崩落してしまった。との情報もある。
この時期に守門岳に入る人は余りいないのか、情報が少ない。
特に知りたいのは、利用可能な駐車場情報と積雪の状況である。
前日に魚沼市の観光協会に問い合わせるも、「まだ駐車場はオープンしていないので管理下にない。山道は無論整備されていない。雪は例年より少ない。」ということこの時期の登山情報は把握してない様子。
「この時期に昇る登山者は極めて少ないので、行くなら注意してくださいね。」とのことである。
現地に行って、コースは決定するしかなさそうだ。
加えて、天気予報も悪くなってきた。
このGWは、連日晴天が続くが、5月2日、3日だけは雨マークが付いてしまった。
天気図で確認すると、よりによって、2つ玉低気圧が列島を縦断する最悪の状況。
前日に決断。
まだ、天気のましな2日に守門岳をやってしまい、3日は天候により、他の山を狙う。
上り口は、現地で決定。装備は冬山用と夏山用の両方持参し、現地の状況で決定。
(ほとんど計画になっていない。得意のいきあたりばったり作戦である)
とはいえ、2日。
関越道を経由し、守門岳山麓に到着したのは、すでに朝9時を廻っていた。(アホかいな)
雪の残る林道 |
H君は、今日宿泊予定の宿に「到着が7時を過ぎると思いますが、そこんとこよろしく」と電話を入れる。
遅くなっても、「雨中をへッデンで降りてくるぞ!」という決意表明である。
守門岳登頂への意欲がみなぎるのであった。
現地に行くと、道路のあちこちが通行止めとなっており、一番登りコースタイムが短い大白川口はだめそうである。
もっともこのコース南面しているのでそもそも雪の状態は相当に悪そうなことは予想していた。
結局、二口登山口を選ぶ。
本来の駐車場より、2kmほど下に通行止めの柵がある。
ちょうど、地元のおじさんがいたので「この先は行かれませんか?」と聞くと、「もう少し上のほうまでは行けるよ~~」とおっしゃるので、通行止めの看板を避け、慎重に先に進む。
崖っぷちの林道を登るとほどなく雪で道は塞がれる。
3台駐車がギリギリの崖っぷち駐車スペース |
歩き出すとすぐに雪道 |
「今日、山に入っているのはこの車の人だけかも」と思いながら、装備開始。
足元は冬靴。アイゼンをザックに入れる。上は暑いので長袖を脱ぎTシャツ。
ワカン、ピッケル(主に撮影用)は置いていくことにする。
9時半。いよいよ出発である。予定行動時間は9時間限り。
雪の林道を行く |
ここからが、本当の登山道となる。
H君は歩き始めて5分も経つと「冬靴のインソール忘れたみたい。なんか、靴底が硬いんだよねえ。痛いかも~~」
とのこと。
結構やばいんじゃないのか。
猿倉橋脇の小屋は閉鎖中 |
インソールが無いH君 |
登山口の標識と雪で倒れた鳥居 |
雪も無いし、歩きやすい登山道だわい。と思ったら、しばらくすると雪道出現。
この後はほぼ雪の上を歩くことになる。
歩き出しはなんと夏道 |
すぐに山道は残雪 |
イワイチョウが群生していて見事である。
イワイチョウ |
イワイチョウ2 |
完全な雪道となる |
ブナ林の雪原を往く |
護人清水のあたりのブナ林の雪原を越えると、いよいよ稜線に入る。
かなり歩きにくい。時折ズボッといく |
稜線に出る |
虫がお出迎え (これはセッケイ虫かな) |
カタクリ |
カタクリ |
実際は暑いのである。
足元は雪道だが、気温は22度を超えている。汗が吹き出す。
そういえば観光協会のおじさんが「冬靴は必要だと思いますが、相当暑くなるので上着は冬着だと暑いですよ」とは言っていたが、これほど暑くちゃ夏山じゃん。
そして、最大の敵が「スモンシャチクバエ」の猛攻である。
雪解けの時期、雪渓虫とよばれるセッケイカゲロウは有名ですが、今日のメインの敵は小バエです。
あとで調べると、このハエは「メマトイ」というショウジョウバエの仲間でした。目のあたりにまといつくので「メマトイ」とのこと。
我々は、この悩ましいハエを、黒い服着て、集団で何も考えずに休むことも無く、時間外労働も厭わず、襲ってきてウザイ奴等なので、「スモンシャチクバエ」と名付けました。
このシャチクバエは雪のあるところではいたるところから沸いて出て来て、非常にいらいらするのでした。
快適な雪の稜線歩きが続く |
タムシバ |
タムシバ2 |
ヤマツツジ |
雪のリッジによろめく |
雪があるほうが歩行は楽である |
かなりの水量がある滝を見る。オカバミ滝という名前だそうな。
このあた間迄来ると、二人とも暑さと道の悪さと虫で相当まいってくる。
滝見台で滝を見る |
オカバミ沢にあるオカバミ滝 |
彼らは下山中。
頂上から降りてきたのであれば相当早出をしたのだろう。
H君がいろいろと情報を聞き出している。
彼らは長袖の上着を着用し、アイゼン装着である。正しい残雪期の登山装備であろう。
彼らは頂上には行かずに大岳分岐で引き返してきたとのことである。
我々はその言葉を聞いて、疲労が増し、一層萎えていくのであった。
雪解け水で川となった登山道 |
樹林帯を抜け、稜線に出る |
とりあえず、行けるところまで行くことにして、さらに登ると登山道は雪解け水で川となっている。そんな悪路を1時間ほど歩く。
ついに雪の稜線に出る。
標高1,250mほどの広い尾根である。
遠く、越後三山も見える。
青空も一部見えるが、天候がかなり怪しくなってきた。
H君に「どうする?」と聞く。
H君「そっだね〜。ここで終了ですね。時刻は13時。標高1,250m。ご臨終です。」
ひとまず、昼ごはんにしよう。
暗雲立ち込める藤平稜線と越後三山方面 |
今日のランチ |
とりあえず記念写真 |
とりあえず記念写真 |
下山に3時間は見ておく必要があるので、なんとか17時台にはゴールできそうではあるが、本日は勇気を持ってここまでにしておきましょう。
残雪歩きを十分に楽しめたし、天気も悪くなってきている。シャチクバエもうるさい。
ここで無理する必要はない。
へタレ撤退を決定。
まだ頂上は見えないがここで撤収! |
イワカガミ |
イワナシ |
ショウジョウバカマ |
ショウジョウバカマ2 |
下りも道が荒れているので、結構シビアな下山であった。
H君はアイゼンを装着し、インソールが無いのを何とかカバーしようと試みるも、すぐに外しちゃってんの。
下りのほうが神経を使う |
今年の雪解けは早い |
ブナ林まで降りてきた |
ここまではシャチクバエも追ってこない。
守門岳も倒れていた |
休憩ベンチは雪がなかった |
本来の二口登山口の駐車場 |
猿倉橋を渡り林道へ |
ふきのとう |
大岩が落ちている |
朝通った時にはこのような岩は無かったので、今日の気温上昇に伴い、落石したものであろう。
怖い怖い。
駐車場に着くと案の定、隣の車の姿はすでに無かった。
我々が車に乗り込んだ途端に雨が降ってくる。
「大正解!!」と撤退の理由付けを強化する二人であった。
一路、今日の宿「神湯温泉倶楽部」に向かうとしよう。
振り返ると守門岳 まだ雨降ってないんじゃない |
温泉に入って、夕食を頂く。
H君は、足が相当痛いようで「マッサージを呼べ~!」と命令してくる。
しか~~し、この辺鄙な山奥にはマッサージ師などいないのである。
仕方が無いので、館内をぶらつくと立派なマッサージマシンがあった。
「無重力モード付きデラックスマッサージ機1回200円」を2ターンも堪能してしまう二人であった。
夕飯(部分) |
<山行記録>
日程:2018年5月2日(水) 日帰り
同行者:Hさん
天候:曇り一時雨
当初計画:最終的に二口コース
二口登山口下の駐車場(9:30)-猿倉橋・二口登山口(9:50)-護人清水(10:50)-谷内平(11:50)-(昼食)-発(12:30)-大岳分岐(14:30)-守門岳(15:15)-(休憩)-発(15:30)-大岳分岐(16:10)-谷内平(17:30)-猿倉橋(18:30)-二口登山口下の駐車場(18:50)
コースレコード:二口登山口下の駐車場(9:30)-猿倉橋・二口登山口(9:50)-護人清水(10:28)-滝見台(11:05)-1,000m地点(11:50)-発(12:00)-1,250m地点(12:56)-(昼食)-発(13:35)-休憩(14:25)-発(13:30)-足攣り休憩(15:00)-発(15:05)-猿倉橋(15:30)-発(15:40)-二口登山口下の駐車場(15:58)
実歩行時間:5時間19分(フルコースタイム8時間45分)