2011.8.20 【安達太良山山行】 前線を逃れ北へ

当初は、8月20日の週末に1日休暇を加えて、北ア表銀座をやるつもりだった。
この8月の猛暑と晴天はもう少し続くと思っていた。
しかし、8月第3週になり、長い間北方にあり、S君の北海道1周旅行を邪魔していた停滞前線がいきなり南下。(8月初旬から、S君は長期夏季休暇を利用し、北海道ほぼ1周旅行に出掛けている)
20日の週末は、しばらくぶりの荒天が予想された。

まず、小屋泊の山行を断念し、前線南下後の北側を狙う日帰り山行に切り替える。
一番天気の良さそうな日を狙う作戦だ。
次に長野方面の天気は思わしくないので、行き先を新潟方面に変更。
この時点での有力候補は同行のH君の提案で八海山とした。

19日になり、新潟方面の天候も悪化する。
これでもまだ週末の山行をあきらめきれず、天気の良さそうな地域を模索。
日程を比較的天候の良さそうな20日と決め、とりあえず、思い切って北上することとする。

ということで、高速道路からのアプローチがスムーズな安達太良山にターゲットを絞り込む。
しかしながら、表銀座、八海山の山行計画は作ってあったが、安達太良山については「山と高原地図11」は持っているものの、全く計画なし。地図すら見ていない。
ひさびさの無計画登山となったのである。
午前5時。低く雨雲の垂れこめる自宅をH君とともに出発。
とりあえずナビは「あだたら高原スキー場」にセット。
東北道をひたすら北へ向かう。
二人の期待通り、北へ向かうほど天候は回復し、前線から離れて行くことを実感する。

東北道あだたらSAから見上げると安達太良連峰の稜線がクリアに見える。雲は多いが稜線上の視界は良好と想定。
東京から270km余り北上してきて大正解。

9時前にあだたら高原スキー場の駐車場に着く。
予想に反し、多くの車が止まっている。大型バスも2台。いずれも安達太良山登山のようである。
大型バスはともかく、自家用車の人達は我々と同じような考えの人が多かったのであろうか?
あだたらエキスプレスで雲上に出るはず?
登山準備を整え、「あだたらエキスプレス」と名付けられたゴンドラリフトに乗る。片道900円なり。
麓の駅で貰った「安達太良連峰登山地図」を眺めながら、ゴンドラの中で初めて今日の登山コースを相談する。

今日のコース(予定)
山頂駅→安達太良山→牛の背→船明神山→鉄山→箕輪山→鉄山→牛の背→くろがね小屋→駐車場
コースタイムは6~7時間か?

ゴンドラリフトは雲の中をあっという間に標高1,350mの薬師岳山頂駅に到着。
山頂駅には、「夏の思い出。誰でも行ける絶景のあだたら山トレッキングツアー」参加者の団体さんでごった返していた。(ツアー名は適当です。)
この団体の後ろについてはいろいろと大変なので、休憩とか準備体操とかをはしょり、すぐさま登山開始。
雲は低いがまだ雨は降ってこない
樹林帯の中を整備された「ベタ貼り木道」を昇っていく。
樹林帯を抜けるとようやく普通の山道となり、勾配も急になっていく。
1,600mあたりで森林限界を超える。これは高度が上がったと言うよりも、火山灰しかないので植物も育たないということで森林が限界となったと推定。
安達太良山 山頂の乳首と呼ばれる岩峰
山頂の札は結構低い所にあります
と思っているうちに安達太良山山頂にあっけなく到着。
時刻は10:45分。1時間余りの登りであった。
乳首と呼ばれる岩を登り、標高1,700mの最高地点に到達。
ガスが掛かっており遠くまでの展望はのぞめないが、それなりの高度感を楽しめる。
岩峰には立派な「八紘一宇 紀元2600年」の石碑が。。。(解説省略)
山頂に立つ!
しばらく休んでいると地元高校生の団体が次々に昇ってきて、俄然にぎやかに。
我々は次の峰へ移るとしよう。

ゴンドラの中で知ったのだが、最高峰は安達太良山頂でなく箕輪山(1,728m)。
その最高峰箕輪山と、今しがたチラッと姿の見えた船明神山へ向かうことにした。
まずは船明神山へ。
船明神山への道は主稜線を離れ、爆裂火口の外輪山を廻る。
稜線上に人が見える
この行程は終始ガスっていて、絶壁以外は眺望なし。さらにクマの糞なども落ちていて、結構スリリング。
登山道の端は結構 キレキレ
おそらく小型のツキノワグマのかも
分岐から20分ほどで船明神山と思しきあたりに到着。周囲を探索するも明確な頂上を示す印がない。濃いガスのため視界もないので、勝手にここが頂上と決めて退散。(後でガスが晴れ、全景が見える。真の頂上は我々が頂上と決めた地点から50mほど北西だった模様。細かいことは気にしない。)
船明神山山頂付近を迷う登山者
主稜線に戻り、箕輪山方面へ向かう。
途中、1,673mのピークや鉄山を越していく。
鉄山(1,709m)でしばし休憩した後、下に見える避難小屋へ向かう途中で雨が降り出す。
♪求むる小屋の在りか♪  は あそこだ
稜線に立つ避難小屋
もう昼過ぎだし、この後の天候回復も望めそうにないこともあり、このあたりで引き返すことを検討。
ただし、H君の提案で避難小屋にて昼食を摂ることに決定。
後から考えれば、実はこれが大正解であった。
小屋の前に咲く ヤマハハコとハクサンフウロ
鉄山避難小屋に着いたのは1時ちょっと前。稜線上に立つきれいな小屋である。周りには種々の高山植物が咲いている。
冬は積雪のためドアが開かないとのこと。
小屋の中も避難小屋としては、文句のないレベルの清潔さである。
先客がいるが、雨が強くなって来たので雨具を着込むために寄ったとのこと。
彼が雨の中を出て行った後、雨脚は一段と強くなり、小屋の屋根を叩く音が激しくなってきた。
H君持参の新兵器SOTOのバーナーが文字通り火を噴く。噴きすぎてガソリン噴出。こわ~~!
なにはともあれ、暖かいコーヒー付き昼食が頂けた。感謝。
きれいな小屋の内部
昼食を済ませ、この後の行程を検討する。
雨が強くなってきたこと、展望が望めないことを踏まえ、箕輪山は断念。ここから引き返し、くろがね小屋経由で下山することとする。

1時半過ぎに雨具を着込み完全装備で小屋を出る。
私が「大体、雨具着ると止むんだよな~」と言うとH君も同意。
予想通り、しばらく歩くと雨は小降りになり視界も明るくなってくる。
安達太良山 爆裂火口全景

雨もやみ 鉄山もきれいに見える

くろがね小屋方面 福島市も遠くに見える

安達太良山を背景に
鉄山、1,673mのピークなどで景色を楽しみながら、牛の背分岐まで戻る。
この頃には、ガスもかなり晴れてきて、雨も止む。
昼食休憩を鉄山避難小屋で1時間近く取ったため、その間に天候が回復。あのまま歩き続けなくて大正解。

雨具を脱いで、登山口までの下りに突入。
安達太良山に別れを告げ 下降に

こっちに行くと「岳」が居るんだよ きっと
往復ともゴンドラ利用という手段もあったのだが、下りくらいは自分の足でと考えたのがいけなかったか。標高差にして700m程度の下山であるがこの下りは結構シビアであった。
後で「山と高原地図」で確認すると「このコースは雨天時は滑りやすいので林道を歩いたほうがよい」と記載されていた。
コバキボウシの大群落がそこここに

どろどろの山道からようやく林道に入る
火山灰が粘土化した下り道は、ひとたび雨が降れば完全に川となり、どろどろで極めて滑りやすく、下山は難航苦行であった。
時間を稼ぐために、くろがね小屋を経由しない山道を選択したのも苦戦の要因であった。
この下山道は結構時間を取られ、結局、麓の駐車場にたどり着いたの16時を過ぎてしまった。
ようやくあだたら高原スキー場に到着


ゴンドラ駅に到着 これにて本日の登山終了
今回は恒例となっている帰りの温泉もパスし、東北自動車道に乗り、帰りを急ぐ。
あだたらSA付近で見上げると安達太良連峰に雲は掛かっておらず、くっきりと稜線が見えていたのであった。
SAから見ると晴れてるぞ 安達太良山
今回の山行は、当初の計画をあきらめての無計画な山行となってしまったが、山容がアルプス的だったこと、また風景が特殊だったこと、ガスの中の歩行もなかなか面白かったこともあり、まずは成功と言えるであろう。
連峰の最高峰を逃したことだけが、ちょっとだけ残念ではあるが・・・

帰りの車の中でH君と「次は西穂からジャンか、雲の平か、剱の早月尾根じゃねえの?」とまあ勝手な話で盛り上がりながら、渋滞もなくスムーズな東北道を南下したのであった。

<山行記録>
日程:2011年8月20日(日) 日帰り

同行者:Hさん

天候:曇り時々雨と霧

当初計画:なし

コースレコード:あだたら高原スキー場P(9:10)-安達太良高原駅(9:13)-あだたらエキスプレス(9:16)-薬師岳山頂駅(9:24)-表登山口分岐(9:59)-安達太良山山頂(10:45)-船明神山分岐(11:12)-船明神山ニセピーク(10:10)-船明神山分岐(10:20)-鉄山(11:50)-鉄山避難小屋-昼食(12:00)-1,673mのピーク(12:10)-牛の背分岐-(12:40)-峰の辻(12:00)-馬車道分岐(12:10)-あだたら高原スキー場P(12:40)

実歩行時間:5時間5分

2011.8.10~11 【鬼怒沼トレッキング】 ゆっくりのんびり静かなトレック

難航苦行の南アルプス山行から3週間経過。
結構、フィジカルなダメージが大きかったこともあり、今回はリハビリトレッキング。
目指すは、奥鬼怒温泉郷にある鬼怒沼。
今回の同行者は古くからの友人のSS君。彼は登山経験はないが、なぜか奥鬼怒温泉郷には何度も訪れており、鬼怒沼までトレッキングをしたいとの要望があり、同行することとした。
クリックで拡大します。
8月10日。トレッキングのベースとなる加仁湯温泉まで入る。
川俣湖の奥にある女夫淵の駐車場に車を止め、加仁湯温泉までは送迎バスを利用するか、1時間余り歩くしかアクセス方法がない。
女夫淵駐車場 ここでバスに乗り換え
我々は当然、送迎バスの利用を選択。一般車は通行禁止の奥鬼怒スーパー林道を走る。
約20分の乗車だが、その道の凄いこと凄いこと。結構なスピードで登って行くが、未舗装の悪路でお尻がバウンドを繰り返す。
もう勘弁してと思う頃にちょっと見「千と千尋の神隠し」に出てくるような外観の加仁湯温泉に到着。
加仁湯温泉ホテル
加仁湯温泉は、源泉かけ流しの混浴を中心とした秘湯であった。湯温はかなり熱いが白濁したいい温泉である。
夕食も朝食も高級素材ではないもののおいしい料理で、また従業員も皆さん親切で、全体的に大変結構なお宿でありました。
翌11日。宿で作ってもらったお弁当(おにぎり2個+佃煮中心のおかずが付いて525円)を持って、8時過ぎにトレッキング開始。トレッキングなので8時発でいいのである。
今日の行程は、鬼怒沼までの往復。余裕があれば鬼怒沼山でもピークハントでもするかという計画。
登りが約2時間半、下りが約2時間。歩行時間は4時間半程度の予定である。
ただし、標高差は約700m(1,320m→2,030m)としっかりとある。
天気は昨日と打って変ってかなり雲が多い。鬼怒沼方面に掛る雲は黒い。
宿の人の言。「昨日行ってきましたが、珍しく良い天気でした。燧ヶ岳と日光白根の両方とも見えました。いつもどっちかは曇っていて両方見えることはそうはないです。両方見えたら100点満点、片っポでも見えたら合格でしょう」 とのこと。

本日の天気は、雲量は多いが晴れ。上空は相当の風が吹いており、雲の流れが速い。目指す方向は完全に雲に覆われている。
まずは、日光沢温泉、オロオソロシの滝展望台を経由し、鬼怒沼に向かう。鬼怒沼に着くまでは、一貫して樹林帯の中である。時折現れる滝や白樺の林、一見白谷雲水峡?と思わせるような場所もあるが、ごくごく普通の山道である。

白谷雲水峡のような登山道を登る
前半はかなりの急こう配の部分もあるが後半はなだらかとも言える登山道で700mの標高差を感じさせない。 しかし、樹林帯だけの山道ってのは結構滅入るもんである。
天気も曇ったままで時折小雨が降る。
快晴で暑いよりはましだが、沼に着いた時には晴れて欲しいものだ。
鬼怒沼に到着する
下山してくる人に上の天気を聞いてみると「ガスっていて、展望なし」とのこと。
すれ違った下山者は3パーティのみ。
整備された山道の割には、静かなトレッキングを楽しむことができた。
コースタイムよりだいぶゆっくりとしたペースで3時間余りでようやく樹林帯を抜ける。
と思ったら、鬼怒沼の南端に到着。
その光景はまさに尾瀬。高層湿原の中に池塘が点在し、木道が南北に延びる。
面積は尾瀬ヶ原の600分の1ほどの大きさであり、こじんまりと「尾瀬してる!」って感じです。
雰囲気はまさに尾瀬ヶ原
雲がかなりのスピードで流れているが、幸い上空は晴れている。
鬼怒沼中央近くのベンチで昼食を摂る。
この頃になると、天気も大分回復し、南側には日光白根山が見えてくる。
東電の避難小屋
沼の北端まで移動し、東電の避難小屋などを覗いてみる。
当初、計画していた鬼怒沼山のピークハントは、眺望が全くないということと同行者の疲労度を考え取り止めとする。
大嵐山と根名草山 雲多し
天候は完全に回復し、素晴らしい高層湿原をしばし堪能する。
尾瀬と比べ訪れる人も少ない鬼怒沼。その分静かでのんびりした雰囲気を楽しめた。
遠く日光白根山が見えてくる
日光白根山も山頂付近の雲も取れ、全貌が見える。
尾瀬方面は薄曇り。燧ヶ岳は6合目あたりまでしか見えることが出来なかったが、まずまずの天気。
尾瀬燧ケ岳は雲に覆われ頂上は見えない
しばらく、鬼怒沼散策を楽しみ、下山開始。
帰路も同じ登山道をゆっくりと降りる。

加仁湯温泉には午後4時前に到着。往復で6時間半のトレッキングとなりました。
日光沢温泉までたどり着く
当初、あまり期待していなかったコースではあったが、
あまり他の登山客とも会わず、とても静かな山行ができたこと。
天候も登りの時が曇りで、目的地ではまずまず晴れたこと。
一人の怪我もなく無事目的地まで行けたこと。
標高差700m、歩行時間6時間超でも疲労度0。筋肉痛すら発症しなかったこと。
等により、 ゆっくりのんびりのトレッキングでしたが、満足度の高い山行となりました。
木道と日光白根

空高く 秋近し
鬼怒沼へのこのコースは、ピークハントの満足感は得られないものの温泉好き&高層湿原好きにはお勧めのコースであります。
ただ、尾瀬と決定的に違うのは、見るところが鬼怒沼しかないので、天気が良くないと、ただただ樹林帯を登るだけのアルバイトとなりますので、天候の見極めはしっかりとしてください。

<山行記録>
日程:2011年8月11日(木) 日帰り(前泊)

同行者:SSさん、Mさん、Mさん、Nさん

天候:曇り時々晴れ一時雨

当初計画:
可仁湯温泉(8:00)-鉄橋(8:15)-オロオソロシの滝展望台(8:50)-鬼怒沼湿原南端(10:40)-鬼怒沼湿原北端(11:20)(-鬼怒沼山ピストン)-鬼怒沼湿原北端(昼食)(12:20)-鬼怒沼湿原南端(12:40)-オロオソロシの滝展望台(14:00)-鉄橋(14:30)-加仁湯温泉(14:50)

コースレコード:
可仁湯温泉(8:20)-鉄橋(8:35)-オロオソロシの滝展望台(9:25)-鬼怒沼湿原南端(11:25)-鬼怒沼湿原ベンチ(昼食)-鬼怒沼湿原北端(12:40)-鬼怒沼湿原南端(12:55)-オロオソロシの滝展望台(14:38)-鉄橋(15:35)-加仁湯温泉(15:50)

実歩行時間:6時間27分

2011.7.16~18 【南アルプス南部縦走】 (悪沢岳・荒川岳・赤石岳) 雲上の稜線歩き

S君から今年の夏の山行計画がメールで送られてきたのは、6月27日であった。
添付されていた計画書の題名は「荒川岳ー赤石岳山行計画書」。

え~荒川岳から赤石岳ですか~?
2泊3日ではあるが、登山再開後、私にとっては、最も長く過酷な山行になるであろうことはすぐに分かった。
南アルプス南部は、関東では最も山も深く、アプローチも長く、そこへのアクセスも悪い。
中央アルプスのアクセスの良さ、北アルプスの整備されたトレイルとは一線を画す。
山容も一つ一つが大きくて深い。
その中でも、荒川三山から赤石岳を巡るルートは、人気のルートではあるが、体力的には相当タフなコースである。

正直な話、南ア南部に行けるとは思っていなかったので、嬉しさ半分不安半分と言うところであった。
しかも、今年は海の日3連休が7月16日~18日と早い。梅雨は明けていないことが十分に考えられる。雨の中の3,000mの稜線は厳しいなあとも思っていた。

・第1日目 7月16日 「予想通りのバテバテで樹林帯にあえぐ」

午前3時半。S君の車で出発。今回もS君とH君の3人での山行である。
東名高速を経由し、清水ICを降り阿部川を遡り、ワインディングロードをひた走り畑薙第1ダムの駐車場に着いたのが、午前8時。
畑薙駐車場は長蛇の列
ここから南アルプスの登山ベースである椹島へは、シャトルバスで1時間ほどであるが、すでに100人近くの長蛇の列ができている。
なんとか予定通りの9時発のバスに乗れたが、道は悪いし膝の上の荷物は重いし苦行の1時間であった。

椹島は、多くの登山口を有する南ア南部最大の登山ベースであるが、混雑はそれほどでもない。
北アルプスとはそもそも入山者の数が圧倒的に違う。

10時過ぎに椹島ベース(標高1,120m)を出発。
本日の目的地である千枚小屋(標高2,610m)を目指す。
標高差約1,500m、コースタイムで、5時間半程度のロングコース。
本日の行程は全行程が樹林帯の中であり、ほとんど展望のないコースである。
また折からの快晴もあり、気温も上がり、登山道の最初から始まる急登のきついこと。
今回はザックを大きいのに交換したこともあり、荷物も持ちすぎか?
ひたすら樹林帯を登り続ける
途中、清水平で昼食を摂るための休憩の頃には、もうバテバテでヘロヘロ。
完全な足手まといとなる。
荒川岳がちょっとだけ見えた
写真を撮りながらの山行を目指していたものの、この登りではほとんどカメラを出すことができなかった。
途中、見晴台、駒鳥池などを通過するも、ほとんど見てもいないというか覚えていない。
しかも、設定されたコースタイムより1時間ほど遅れてしまう。
ようやく、本日の宿泊地、千枚小屋にたどり着いたのは、18時ちょっと前となってしまった。

ザックを放り出し休憩

千枚小屋は2年前に火事で焼けてしまい、今は仮営業ということで、今年はこの日にオープンしたばかり。
さすがに人気の山小屋だけあり、かなりの混雑であった。
とは言え、収容人数は100名であり、北アルプスなどと比べるとこじんまりとしたきれいな山小屋である。
早々と寝床を確保し、まずまずの夕食を頂いた後、だんだんと暗くなっていく小屋前のテーブルで今日の反省会を行ったのであった。

明日は、今山行のメインコース。赤石岳までのロングトレイルが待っている。大丈夫か?

・第2日目 7月17日 「雲上の快適稜線トレッキング・・・」

朝4時。まだ暗い中を起き出し、千枚小屋前で夜明けを待つ。
千枚小屋は樹林帯の中にありあまり展望は良くないが、富士山方面、赤石岳方面は良く見える。
しばし、朝日に染まる雲海、赤石岳に掛かる月を堪能する。
富士山も今日は快晴
雲海に昇る朝日

赤石岳に掛かる月

今日の行程は、
千枚小屋→千枚岳→悪沢岳→荒川中岳→荒川前岳→荒川小屋→小赤石岳→赤石岳→赤石岳避難小屋という、コースタイムで7時間を超えるロングコースだ。

千枚小屋の仮食堂で朝食を摂り、6時前にいよいよ雲上の稜線トレッキングだ!と意気揚々と出発。
と思ったら、小屋を出た途端にいきなりの急登にあえぐ。
千枚ガレと呼ばれる付近から、ようやく森林限界を超える。暑かった樹林帯よさらばだ。
快晴の稜線を行く

40分ほどで千枚岳に到着。天気は快晴。ご機嫌だ。
ここからは本当に快適な稜線歩きとなる。高山植物も最盛期を迎えつつあり、ヘタリがちな気分を救ってくれる。
丸山を越え、荒川東岳(悪沢岳)には8時過ぎに到着。
3,141m。日本第6位の高峰である。

悪沢岳頂上から北アルプス全山が見えた
快晴の中、空気も澄んでおり、360度の大展望。北に目をやると、南アルプス北部の核心部から始まり、戸隠や妙高、北アルプス全山、御嶽山、白山、恵那山、中央アルプス全山、愛鷹山地、天城山、富士山、丹沢、奥秩父方面まで周囲ぐるっとありとあらゆる山が見えた。
これぞ至福の時である。
荒川三山の稜線を快適に飛ばす
おおざっぱに言うと、太平洋から日本海まで見えちゃうって感じです。
30分ほど頂上で景色を堪能し、先に歩を進める。
次に目指すは荒川中岳(3,083m)、荒川前岳(3,068m)である。

悪沢岳から荒川中岳までは、快適な稜線歩きとなった。
中岳避難小屋を通り過ぎ、荒川中岳の頂上に立ったのが10時15分。
ここまで4時間余りを要している。正直のところ、昨日の疲労からか私自身は今日もあまり体調は良くなくヘバリ気味である。

これぞ夏山 これぞアルプス

稜線上にあるかわいい避難小屋

稜線上にある中岳避難小屋を過ぎ、今山行中の荒川三山の最後のピークである前岳へ。

俗に東岳、中岳、前岳を総称して、荒川三山と呼ぶが、「深田久弥の「日本百名山」によれば、古い記録には「赤石山ハ絶頂三岐シ、荒川・鍋伏・赤石岳ノ三連峰ヨリ成レル」とあるという。深田も推測するとおり、このうち「鍋伏」が悪沢岳に、「赤石岳」が赤石岳に、「荒川」が前岳・中岳に該当すると考えるのが妥当である。これに従えば、現在の荒川三山は二つの山として数えられていることになり、その方が山容の実体には合っているとも考えられる。」 ウィキペディアより

深田先生に敬意を表し、私だけ前岳はパスし、一人荒川小屋へ先行する。
今日の最終目的地の赤石岳へ行くには一度荒川小屋まで下らなければならない。
荒川小屋は、標高2,610mの位置に立っているため、ここから500m下り、赤石岳へはまた500m登り返さなければならない。
赤石岳を遠望する 遠い・・・

赤石岳を遠望する。
本当にあそこまで今日中に行けるのか?
とは言え、ここはちょうど縦走路の中間地点。戻るも行くも同じこと。
ここは歯を食いしばっても赤石岳まで行かねばならない。

しばらくガレ場を下って行くと、今縦走中最も素晴らしい光景に出くわす。
このルート随一のお花畑に到着したのだ。
白と黄色の絨毯が広がる。
最近これほどのお花畑にはお目に掛っていなかったので、疲れを忘れ、ただただ見とれるばかり。
日本鹿除けの柵がしつらえられているものの、自然の力の凄さを思い知る。

お花畑をトラバースする

白と黄色の絨毯が広がる
いつの間にか、前岳の分岐で別れたS君、H君も追いついて来ており荒川小屋を目指し、下降を続ける。
12時前に荒川小屋に到着、昼食。コーヒーなどをいれ、小1時間の休憩。疲れを癒す。

目指す山頂はまだまだ遠い

大聖地平までのトラバース
残りの行程は約3時間、標高差500mの登りだ。
大聖寺平までのロングトラバースの後、一気に小赤石岳を登る。
このあたりで夏の天気にありがちな、「高山は午後は雲が上がって来る」という現象に遭遇。
稜線付近までガスが上がってくる
小赤石岳(3,081m)に到着する頃には、ちょうど稜線の辺りまでガスが上がって来た。
すると言い伝え通りに遂にライチョウが登場。
二つの群れを目撃するがどちらもヒナを連れており、親は忙しそうである。

ガスが出るとライチョウが出現
赤石岳(3,120m 日本第7位)の山頂に立ったのは15時45分。
あとは頂上直下に見える赤石岳避難小屋に降りるだけである。

赤石岳山頂でポーズを決める

赤石岳避難小屋。 ここは避難小屋である。収容人員は30名。素泊まりが出来る施設で管理人もいる。
基本的に食事は出ないし、頂上直下でもあり水もない。

山頂直下の赤石岳避難小屋
そのため、夕食と朝食の2食は自炊しなければならない。2食分の食事が荷物を重くした要因でもあった訳でここでこれが無くなるのはうれしい。

今日は珍しく風も無く天気は上々。
夕暮れの中、3,000mの稜線で食べる夕食はうまい。
隣の登山者との山会話も弾む、弾む。

赤石岳も夕空に
快晴の富士山も暗くなり始める
しかし、この避難小屋。昨日がシーズンインとは言え、この混みようは尋常ではない。
2階が宿泊場所になっているのだが、1階の廊下、食堂を全部つぶして登山者を収容している。
まさに足の踏み場もなく、ザックはザックカバーを掛けて小屋の軒先に置かざるを得ない状況。
とは言え、疲労の極にあるため支給された寝袋ですぐに安眠体制。

・第3日目 7月18日 「2,000mを一気降り」

小屋の名物オヤジが、出発する登山者に「今度はもっと空いてる時に来なよ~」と声を掛ける中、我々はゆっくりと小屋の外で朝食の支度をする。
気温はかなり低いが、今日も天気はまずまず。
狭い小屋の中より、小屋前のテーブルのが快適だ。
小屋のお姉さん?がお茶を入れてくれたり、ラッキョを出したりしてくれる。

今日は4時に起床するも、出発は5時過ぎとする。一番遅い方の出発であるが、赤石岳頂上での景色を楽しもうという出発時間設定である。

今日はとにかく降りるだけ。
登山ベースの椹島まで約2,000mの大下降が待っている。

小屋のご主人とお姉さん?と記念写真を撮って、小屋を出発。
まずは、赤石岳に登り返す。
昨日はガスが上がり、あまり展望はなかったが、今朝は雲は多いが、澄み切った大気の中、山々のシルエットが美しい。時間を忘れる時だ。
我々は後で知ることになるのだが、ちょうど我々が赤石岳に別れを告げる頃、「なでしこジャパン」が、ワールドカップを手にしていたのであった。
記念すべき1日であったのだ。
赤石岳から中央アルプスを望む

富士山頂には吊るし雲が
赤石小屋までは、お花畑あり、梯子場あり、赤石岳の眺望ありと変化に飛んだ下山となった。
休憩した赤石小屋も良い小屋でした。
管理人のお兄ちゃんも親切で「この先は水場ないので1ℓはここで水を汲んで行ってくださいよ。」と小屋に寄る登山者全員に声を掛けていた。
赤石小屋 きれいな山小屋だ

さようなら赤石岳
赤石小屋を出るとあとはひたすら樹林帯を下り続けるだけ。長い下りだ。
標高も下がり、かなり蒸し暑くなってくる。
11時42分。なんとか無事に椹島ベースに到着。
椹島ベースでバスを待つ人々
シャトルバスの出発時間まで1時間以上もあるので、ビールやコーヒーを飲みながら今回の縦走を振り返りつつ、我々の南ア山行は無事に終わりを告げた。
今回の山行では、個人的にはかなりバテテしまい、S君、H君に迷惑を掛けてしまった。
原因は、トレーニング不足と水の飲みすぎ、寝不足、タバコの吸い過ぎ、荷物多すぎ等々いろいろと挙げるれるが、日帰りならともかく泊まりが入る山行ではもっと体調管理に努めなくてはならないと痛感した。
ただ、今回の山行は、まさか行かれると思っていなかった南アの南部縦走ができたこと、季節がドンピシャで高山植物のお花畑を満喫できたこと、天気が良くて景色が堪能できたこと、大した怪我はしなかったこと、ライチョウも見れたこと等々、素晴らしい山行であった。
これも途中で私を見捨てなかったS君、H君のお陰であります。感謝。
なお、我々が帰った翌日、接近した台風による雨の影響で、畑薙第1ダムの駐車場から約300mほど奥の林道で路肩が欠損して、通行できなくなってしまったということを付記しておきます。
チングルマ
クロユリ

ミネウスユキソウ
<山行記録>
日程:2011年7月16日(土)~18日(月) 2泊3日

同行者:Sさん、Hさん

天候:
16日:晴れ
17日:晴れ
18日:晴れ

当初計画:
16日:椹島ロッジ(10:30)-登山口(11:50)-清水平(13:00)(昼食)-見晴台(14:30)-千枚小屋(17:40)
17日:千枚小屋(6:00)-二軒小屋分岐(6:25)-千枚岳(6:45)-悪沢岳(8:55)-中岳(10:45)-前岳(11:30)-荒川小屋(12:55)(昼食)-大聖寺平(14:05)-小赤石岳(15:45)-赤石岳(16:45)-赤石岳避難小屋(17:05)
18日:赤石岳避難小屋(6:30)-小赤石岳分岐(6:45)-水場(7:25)-富士見平(8:45)-赤石小屋(9:15)-樺段(11:35)-椹島ロッジ(13:20)

コースレコード:
16日:椹島ロッジ(10:12)-登山口(12:13)-清水平(13:55)(昼食)-見晴台(15:41)-千枚小屋(17:54)
17日:千枚小屋(5:50)-二軒小屋分岐(6:14)-千枚岳(6:32)-悪沢岳(8:18)-中岳(10:15)-前岳(10:46)-荒川小屋(11:51)(昼食)-大聖寺平(13:33)-小赤石岳(14:53)-赤石岳(15:45)-赤石岳避難小屋(15:53)
18日:赤石岳避難小屋(5:17)-赤石岳(5:20)-小赤石岳分岐(6:00)-水場(6:40)-富士見平(7:32)-赤石小屋(8:08)-樺段(10:32)-椹島ロッジ(11:42)

実歩行時間:
16日:6時間40分
17日:7時間23分
18日:5時間10分