2019.4.28 【尾瀬 笠ヶ岳 平成最終山行】雪の稜線を征く

踏み跡無き雪原を進む
遂に平成→令和10連休が来た。
連休初日はヤマガにあるH君の家に前泊。
28日に尾瀬にある笠ヶ岳(2,058m)に向かう。
これが平成最後の山行となる。雪山はこれで今年最後となるかも。

笠ヶ岳は、尾瀬至仏山から続く稜線にある、2,058mの山で、尾瀬ヶ原を囲む山々の中で、もっとも静かな山と言われている。
鳩待峠から至仏山へ行く途中にある、オヤマ沢田代で分岐する稜線をたどる。
残雪が多く、絶好の稜線歩きが期待できる山である。
高山植物保護のため、例年5月上旬から6月下旬までは入山禁止になっている。
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午前7時過ぎに尾瀬戸倉の第二駐車場に到着。
鳩待峠のリニューアルされた駐車場も戸倉の第一駐車場もすでに満車。
快晴かと思った天気は、この地域では薄曇りとなった。雲が薄いのが幸いである。
それほど気温は低くはないので、絶好の残雪登山ができそうである。
バス待ちの戸倉第二駐車場バス停
タッチの差で始発のシャトルバスを逃し、次発バスの列の前から3番目に並ぶ。
しかし、待てど暮らせど次のバスは来ない。
ゴールデンウィークは、通常、シャトルバスと乗り合いタクシーが均一料金980円ぽっきりでピストン輸送。5分も待てば次のが来るはず。
一人で辛そうにバス停に立っているバス係員に詰め寄ると、なんと、昨日の降雪のため、遅れているとのこと。チェーン装着したバスは1台しかなく、タクシーも既にすべてノーマルに換装してしまったとのこと。
今、行ったバスが戻ってくるのを待つか、もしくは、雪が融けるか、チェーン装着車両を待つしかないとのこと。
1時間程待ち、8時頃になり、折り返してきたシャトルバスにようやく乗れる。
雪道を鳩待峠まで行く
スキー・スノボ・スノーシュー・アイゼン・ワカン・登山客および意味不明の観光客でごったがえすバス停は、ざっと数えて150人以上のバス待ち列。
24人しか乗れないシャトルはもちろん満席。もし、このバスしか運行できないのなら、この最後尾の人が乗車できるのはお昼を過ぎるだろう。うっそ~~~!
通常は40分ほどの道のりをノロノロと1時間ほど掛け鳩待峠に到着。
途中、道は確かに冠雪しており、ノーマルでは無理そう。スタッドレスならOKそうだが。
2年ほど来ていなかった鳩待峠の駐車場は改装され大きくなっており、スタッドレスで来た一般車両で満車状態であった。
鳩待峠には大勢の人々が
スキー・スノボが多いようだ
遠足もあるのかな
 鳩待峠で山に入る支度(この時点ではノーマル冬靴のみ)を整え、早速登山開始。
ほとんどの人が、至仏山への登山口に向かう。
パトロールが登山者の装備をチェックしている。
ある程度の装備が無いと、通してくれないのかも。
元気良く出発。最初から雪道だ
ドラクエ歩きの人々
パトロールに、停められることもなく、登山道に入るといきなり尾瀬の名物のドラクエ歩き。棺おけの代わりにスキー引きずってるぜい。
主力はスキーとスノボとプラソリ。
ピッケル持ってるのなんてH君だけだぜい。
ドラクエは続く

小至仏山、至仏山の稜線
この時期の短い期間しか楽しめない至仏山からの山スキーへと向かうのだろう。
しかし、3時間かけて登って、尾瀬ヶ原まで15分~20分で降りてしまうらしい。
まあ、800mのチョッカリ、午前午後で2本は行けるか。
分岐までもうすぐだ
ドラクエ歩きは続く。
スキーを担いだ若者はともかく、この時期でもツアー登山が多く入っており、アホなガイドに引きつられ、トボトボ夏靴で登っている団体とか、必要のないアイゼンを付けさせられている団体もいる。
数組をパスするが、嫌味なガイドは聞こえよがしに「急いでも、意味ないよ」とかほざく。バーカ、こっちは至仏じゃねえんだよ。
これまでも低級ガイドには数多く遭遇しているので、取り合わず、先を急ぐ。
傲慢でトーシローのガイドに高い金払って、威張り散らされるツアー客の心理は想像の埒外である。
日光白根、皇海山方面 (分岐より)
燧ケ岳を見る
いよいよ笠が岳を目指す
とは言え、オヤマ沢田代に到着する。
至仏山方面を見ると、山頂付近までドラクエ歩きが続いている。
絶対にそっちは行かないもんね~~

しか~~し、分岐の道標は、全く見当たらない。
笠ヶ岳方面への踏み跡も無い。
しかし、尾根はここで分岐している。
一応、地図を確かめ、新雪の被った雪原に踏み込む。
どうやら、本日、笠ヶ岳を目指すのは、これだけ多くの人がいる中で、我々だけの模様である。
昨日の降雪が、完全に踏み跡すら隠してしまっている。
道ないけど行くっきゃない
ラッセル班奮闘中
無人の雪原を往く
途端に二人とも元気になる。
ドラクエ隊とは永久に決別し、未踏の雪道に入るのである。
降雪は10~20cmほどで、ラッセルを強いられるほどでは無い。
ただし、踏み跡は、ほぼ不明である。
まあ、尾根沿いに行けば、道をロストすることは無いってことで、嬉々としながら稜線を行く。
多少、雪に足を取られたり、ズボッはあったが、新雪を快調に進む。
結構、昨日は降ったのね
この時点ではまだ曇りなんですよ
途中、どこから現れたのか、疲労困憊のソロ爺さんに出会う。
また、樹林帯に張られたソロテントを見かけるが、とりあえず、この稜線には我々しかないのである。

2時間近くも休憩もせずに登ってきたので、ちょいと長い休憩。
H君はここでワカンを装着。
私「ワカンいらないんじゃ無いの?」H君「せっかく持ってきたからね」
私「わかんな~い」ということで、H君めでたくラッセル班に昇格。
私は、後ろからラッセル泥棒で続くことにする。
ラッセル班ワカン装着
白いところ行けば着くからね
雪の2,000mの稜線。
左右に広がる絶景。
天気も晴れてきて、気温も快適。
風もなく、静かな稜線には我々の雪を踏みしめる音だけが聞こえる。
平成最後の登山は、完璧なものとなった。
あの丘を越えろ
ラッセル班の勇姿を見よ
 頂上直下の最後の急登も難なく越えると、笠ヶ岳山頂だ。
バス待ちの遅れを取り戻し、ほぼ当初予定通りの12時過ぎに登頂完了。
笠が岳山頂に到着
記念撮影1 ピッケルは撮影用
記念撮影2 撮影用ピッケルはこう使え
快晴。
展望は360度。
風も無いので、久しぶりに山頂ランチとする。
雪洞を堀り、昼食とする
一応、360度の展望を解説。
北側から時計回りに、至仏山、燧ケ岳、日光連山、奥白根山、皇海山、赤城山、秩父連山、八ヶ岳、浅間山、北アルプス、苗場山、上州武尊山、谷川岳、朝日岳、白毛門、八海山、越後駒ケ岳、平ヶ岳、そして至仏山。
ちょっと、久しぶりに大感動の絶景であった。
笠が岳より谷川岳・越後三山方面を展望
上州武尊山
谷川岳・朝日岳・白毛門
平が岳
越後駒ケ岳
日光白根山
至仏山
ということで、恒例の1時間ランチ。
そろそろ下山しようかという頃に、2パーティ到着。
1パーテイの二人のジイは、山スキーの猛者。
シール貼ったスキーで山道でない谷を詰めてきたらしい。「帰りは30分ですよ〜〜」だと。
雪のリッジを下る
どどどっと降りていく
クリスチャニアで滑りたい
雪庇の半完成形
雪の谷間から日光方面を見る
この時、二人の顔が日焼け止めで真っ白なことに気づく。
「ムムム、面倒だからいいや」とザックの日焼け止めをパス。
これが、後々悲惨なことになろうとは、この時は思わなかったのだが。。。

もう1組は、2人ともアイゼンを付けてたが、日本語話せないのか、挨拶もせず。
なので詳細は不明。
結局、本日、この山域で出合ったのは、この4人と先ほど会った疲労困憊おじさんの5人だけであった。
帰りは道は明瞭だ
笠が岳を振り返る
天気は引き続き上々

(樹林帯のソロテントは、まだ張ってあったが、調べて怖いものが出てくるとアレなので放置プレー)
謎のソロテント
帰路は、気温も上がり雪もザラメっぽくなって来たので、歩きやすく、稜線歩きを存分に楽しみ、鳩待峠まで降りる。
この頃には、もうスキーヤー・ツアー客の姿もほとんど無く、静かな下山となった。
そういえば、私はアイゼンもワカンも使用せず、冬靴だけで全行程踏破しちゃったのでした。ラッセル班に感謝です。
燧ケ岳よさようなら
下山まで天気はばっちり
鳩待山荘が見えてきた


鳩待峠に着くと、路上の積雪は融けており、シャトルバスもタクシーもノーマルで登って来られるようになっており、さほど待つことも無く、シャトルに乗り込んだ。

今回の平成最後の山行は、天気も良く、また雪もたっぷりとあり、稜線ルートも最高。
登山客も途中からはほとんど出会わず、疲労もほぼ感じず、ほぼ満点。

帰路、満開の桜のお花見をし、「しゃくなげの湯」にて、汗を流し、カツ丼+蕎麦粉100%ざる蕎麦を頂いたが、100%にしては、ツルツルで弾力ありすぎなのがちょっと残念ではあった。
戸倉の桜はちょうど満開
カツ丼○蕎麦△
過度な日焼けにより、顔面は2度剥け、唇はベロンベロンで、10連休の残りをリハビリで過ごしたのは、また別の話。

<山行記録>
日程:2019年4月28日(日) 日帰り
同行者:Hさん
天候:曇りのち晴れ

当初計画: 鳩待峠(8:15)-原見台(9:15)-発(9:25)-オヤマ沢田代(9:55)-発(10:05)-小笠(11:05)-発(11:15)-笠ヶ岳(12:00)-(昼食)-発(13:00)-小笠(13:35)-オヤマ沢田代(14:55)-発(15:05)-原見台(15:25)-鳩待峠(16:15) <無積雪期コースタイム>

コースレコード:鳩待峠(8:55)-オヤマ沢田代(10:15)-休憩(10:45)-発(11:00)-休憩(11:35)-発(11:45)-笠ヶ岳(12:10)-(昼食)-発(13:15)-休憩(14:15)-発(14:25)-オヤマ沢田代(14:57)-鳩待峠(15:30)

実歩行時間:4時間55分 (コースタイム:6時間20分)
至仏山に向かってシッコを放つH君