合戦尾根から有明山方面を望む |
振り返ってみれば、今年6月以降の山行は、殆ど雨中である。
6月に行った乗鞍岳も初日は雨で視界無し、黒斑山も悪天で帝釈山から場所を急遽変更。7月の東北遠征、月山・鳥海山も雨中の山行となり、三本槍ヶ岳を目指した那須も雷雨で撤退。8月。再び帝釈山を目指すも、あまりの悪天候に東北道の途中で引き返した。
そして、今回は当初、北アルプス・表銀座(常念コース)を計画したが、一向に天気は好転しない。
意を決して、悪天の合間を見計らって燕岳だけでも行くか。ということで今回の山行を決行。
写真はすべてクリックで拡大します |
雨具とスパッツを付ける速さは、もはやプロの領域である。
それにしても、H君と私にとって、北アルプス表銀座(とくに常念岳)はつくづく鬼門である。
さかのぼること数十年前、常念乗越でテン泊した際、三つ玉低気圧にやられ暴風雨に見舞われ、夜通しテントを押さえ続け、加えてメンバーの体調不良も重なり、常念岳登頂はおろか、ほぼ遭難かと思われた事件以来、足が遠のいていた表銀座である。
後年、登山を再開してのちも何度か表銀座縦走を企画するが、その度に障害発生。
今回、常念山脈挑戦を久しぶりに試みたわけであるが、またしても常念岳は早々とあきらめ、なんとか表銀座の稜線に立とうということで出発したのであった。
ということで、朝まだき、ワインディングロードを登りきり、中房温泉第1駐車場に車を停める。
燕岳登山口(中房温泉) |
濡れて書きにくい登山届けをH君がなんとか提出し、登山を開始する。
そう、合戦尾根である。
烏帽子岳のブナ立尾根、鹿島槍ヶ岳の赤岩尾根と併せてアルプス3大急登と呼ばれている急坂である。標高差1,300mを4時間あまりで登るルートである。
気合を入れる。
アルプス三大急登1 |
三大急登2 |
三大急登3 |
合戦尾根第3ベンチ |
H君を先頭にぐんぐん登っていく。
珍しく私も調子が良いと見たのか、H君、先行者を次々にかわす荒業まで出す。
合戦小屋に到着 |
雨を貯めるポリバケツ |
お目当てのスイカ 800円なり |
合戦小屋でちょっと季節はずれになりつつある名物のスイカを頂き、再び燕山荘を目指す。
このあたりで雨が止み、その分むし暑くはなるが、稜線での展望に一縷の期待が湧く。
稜線に近づくほどに秋の花々が多くなってくる。
コケモモ(実) |
ヤマハハコ |
アザミとトリカブト |
ただのアザミ |
ただのミヤマトリカブト |
ただのセリ |
ただのアキノキリンソウ |
ただのリンドウ |
燕山荘に到着だ。
雲は多いものの槍穂高の稜線がちらっと見える。燕岳もなんとか半分だけその姿を見せる。
宿泊手続きはWEB予約者は、端末に電話番号を入力するだけというお手軽さ。
H君が「すぐに燕岳に登ろう」というが、私はあまり展望も良くないので、ちょっと気が進まず、ぐずぐずしていたが、結局出発。
往路たったの30分のコースであるが、稜線に出ると風雨強く、かなりの難行となる。
突然、H君が立ち止まりジッとしている。私も追いつく。
雷鳥が現れた。しかも3羽も。
まだ、夏毛であるが、親鳥を先頭に2羽のひな鳥(もうずいぶん大きくなっているが)が付いていく。
現在、国の特別天然記念物である雷鳥(ニホンライチョウ)は北アルプス、南アルプス、御岳山、妙高連峰にしか生息していない。現在の総個体数は1,700羽程度に減ってしまっている。
2000年以前は、たしか3,000羽程度であったはず。半減してしまっている。
戦前は、八ヶ岳や蓼科山、白山にも生息していたが絶滅。
中央アルプスの木曽駒ケ岳にも1960年までは生息していたが、駒ケ岳ロープウェイ開通後、数年で絶滅した。
また、今の平均気温が3度上昇すると絶滅するとも言われており、また、折しも、「猿が雷鳥を捕食している映像が撮影された。」との報道があった。
雷鳥の未来は、暗い。
思えば、私はこれまでも雷鳥の生息地では、ほぼ100%雷鳥に出会っている。
天気の悪いときに出てくることが多いので、雨男の私が見るチャンスも多いのである。
雷鳥がハイ松の中に隠れてしまったので、再び、燕岳を目指す。
季節的に期待していなかったコマクサを発見。ライチョウ、コマクサ、イルカ岩が、燕岳3大名物?なので、これで2つをクリア。
風雨がさらに強くなり、視界も極端に悪くなってくる。
ようやく、燕岳山頂(2,763m)に着くも、立っていられないほどの強風の上にガスに覆われ、眺望も無いので、登頂記念写真を撮り、すぐに下山。
風雨強くなり、フードを被りダッシュで下山したため、途中のイルカ岩にも気づかず燕山荘に引き上げる。(3大名物のひとつはクリアできず)
燕山荘に着いたが、まだ昼である。
山荘のカフェにて、昼食とコーヒーを頂き、Tシャツなどを物色し、あとは、H気象予報士の天気予報で、今日明日の予定を検討。
H君は、ドコモバリ3なのをいいことに、天気予報に余念が無い。とくに雨雲レーダーが大好きのようである。
H予報士によれば、今日の午後は風雨強くなり、明日は明け方からは少し恢復、午前9時頃から雨が降り出すとのこと。
もしかしたら、日の出が槍ヶ岳の稜線から見えるかもしれない。などと云う妄想を呟いている。
夕食はチーズ入りハンバーグなどのメニューで、期待通りの水準であった。
先日、泊まった鳥海山御室小屋の夕食と比べると全くここはどこでしょう?
と、思ってしまう。
昼食といい夕食といい、下界と違わない食事を出してくれるのはありがたいもんである。
山小屋。これでいいのか?とは、ここでは言わないでおこう。
今日の宿泊客は思っていたよりもずっと多く7〜80人くらいか。
さすがは、「泊まってよかった山小屋ランキング」の第1位に輝いた、人気の山小屋なのである。
平日の悪天でもこれだけの集客力である。最盛期に来なくて正解でした。
夕食後は、単独行の山ガール(美人さん)とコーヒーを飲みながら、楽しく団欒。
山小屋。これでいいのか?
結局、翌朝5時に起きるものの視界はなく、もちろん日の出など見えるはずもない。
槍穂の稜線はおろか燕岳すら姿を見せない。
もう下山するしかない。
天候は、曇り時々小雨。
朝食を頂き、美人山ガールに見送られ、下山開始。
下に降りるほどにだんだん雨脚は強くなり、中房温泉にたどり着く頃には、かなりの大雨となる。
8時過ぎには下山終了。
中房温泉は、朝9時から入浴可能ということだったのだが一応係りの人に聞いてみると、今から入れますとのこと。ラッキーであった。
我々が下山一番隊であったので、ゆっくりと露天風呂にその身を沈めたのであった。
帰りの話題は、当然、次はどこ行くかという恒例の会話。
結論1;行く場所はいろいろあるけど、やっぱ天気の良い日じゃないとだめだな。
問題は天気の良い日をどのように選択するかである。
結論2;無積雪期の山行は、北アルプスを主体に考えよう。
北アルプスなら山小屋整備されていて、非常食以外は持参する必要なし。
なるべく荷物を軽量化して、スピードを上げれば、もうどこでも行けるでしょ。
結論3;冬のが天気が良い。雨より雪のがマシだよね。
果たして我々に天気の良い日は来るのであろうか?軽量化による楽チン山行はできるのであろうか?冬山では雨に降られないのであろうか?
今年後半の山行報告を待たれよ。
<山行記録>
日程:2015年8月31日(月)~9月1日(火) 1泊2日
同行者:Hさん
天候:31日雨のち一時曇りのち風雨強し
1日小雨のち雨
当初計画(燕岳から常念山脈)
1日目;中房温泉-燕山荘-(ピストン)-燕岳-燕山荘<泊>
2日目;燕山荘-大天井岳-東大天井岳-常念小屋-(ピストン)-常念岳-常念小屋<泊>
3日目;常念小屋-一の沢登山口
修正計画(燕岳登山)
1日目;中房温泉(6:30)-第1ベンチ(7:10)-富士見ベンチ(8:40)-合戦小屋(9:30)-発(10:00)燕山荘(11:00)-発(11:30)-(ピストン)-燕岳(12:00)-発(12:15)-燕山荘(12:30)<泊>
2日目;燕山荘(7:00)-合戦小屋(7:45)-第2ベンチ(9:00)-中房温泉(10:00)
コースレコード
1日目;中房温泉駐車場(6:33)-中房温泉登山口(6:43)-(登山届提出)発(6:47)-第1ベンチ(7:20)-第3ベンチ(8:22)-発(8:30)-合戦小屋(9:30)-発(10:00)-展望台(三角点)(10:44)-発(10:50)-燕山荘(11:02)-発(11:22)-(ピストン)-燕岳(11:49)-発(11:53)-燕山荘(12:14)<泊>
2日目;燕山荘(5:58)-合戦小屋(6:35)-第1ベンチ(7:46)-発(7:55)-中房温泉登山口(8:18)-中房温泉駐車場(8:28)
実歩行時間
1日目;4時間11分
2日目;2時間21分
2日間合計;6時間32分
稜線に出ると燕岳(見えたのは30分間くらいか) |
上記のような山々が見える ハズ |
槍穂の稜線(こちらはこの一瞬だけ見えました) |
燕山荘 |
宿泊手続きはWEB予約者は、端末に電話番号を入力するだけというお手軽さ。
H君が「すぐに燕岳に登ろう」というが、私はあまり展望も良くないので、ちょっと気が進まず、ぐずぐずしていたが、結局出発。
往路たったの30分のコースであるが、稜線に出ると風雨強く、かなりの難行となる。
燕岳はすぐそこだ |
雷鳥が現れた。しかも3羽も。
まだ、夏毛であるが、親鳥を先頭に2羽のひな鳥(もうずいぶん大きくなっているが)が付いていく。
親子のニホンライチョウ |
現在、国の特別天然記念物である雷鳥(ニホンライチョウ)は北アルプス、南アルプス、御岳山、妙高連峰にしか生息していない。現在の総個体数は1,700羽程度に減ってしまっている。
2000年以前は、たしか3,000羽程度であったはず。半減してしまっている。
戦前は、八ヶ岳や蓼科山、白山にも生息していたが絶滅。
中央アルプスの木曽駒ケ岳にも1960年までは生息していたが、駒ケ岳ロープウェイ開通後、数年で絶滅した。
また、今の平均気温が3度上昇すると絶滅するとも言われており、また、折しも、「猿が雷鳥を捕食している映像が撮影された。」との報道があった。
雷鳥の未来は、暗い。
思えば、私はこれまでも雷鳥の生息地では、ほぼ100%雷鳥に出会っている。
天気の悪いときに出てくることが多いので、雨男の私が見るチャンスも多いのである。
這松の下に撤収していく |
季節的に期待していなかったコマクサを発見。ライチョウ、コマクサ、イルカ岩が、燕岳3大名物?なので、これで2つをクリア。
コマクサ(季節はずれ) |
ようやく、燕岳山頂(2,763m)に着くも、立っていられないほどの強風の上にガスに覆われ、眺望も無いので、登頂記念写真を撮り、すぐに下山。
頂上からの風景(これ以外は見えない) |
燕岳山頂 |
風雨に耐える |
とっとと引き上げる |
燕岳稜線の奇岩 |
山荘のカフェにて、昼食とコーヒーを頂き、Tシャツなどを物色し、あとは、H気象予報士の天気予報で、今日明日の予定を検討。
H君は、ドコモバリ3なのをいいことに、天気予報に余念が無い。とくに雨雲レーダーが大好きのようである。
H予報士によれば、今日の午後は風雨強くなり、明日は明け方からは少し恢復、午前9時頃から雨が降り出すとのこと。
もしかしたら、日の出が槍ヶ岳の稜線から見えるかもしれない。などと云う妄想を呟いている。
夕食はチーズ入りハンバーグなどのメニューで、期待通りの水準であった。
先日、泊まった鳥海山御室小屋の夕食と比べると全くここはどこでしょう?
と、思ってしまう。
昼食といい夕食といい、下界と違わない食事を出してくれるのはありがたいもんである。
山小屋。これでいいのか?とは、ここでは言わないでおこう。
昼に頂いたビーフカレー |
夕食はこんなの(デザート付き) |
さすがは、「泊まってよかった山小屋ランキング」の第1位に輝いた、人気の山小屋なのである。
平日の悪天でもこれだけの集客力である。最盛期に来なくて正解でした。
夜、テン場を見る。今日は4張り。 |
山小屋。これでいいのか?
結局、翌朝5時に起きるものの視界はなく、もちろん日の出など見えるはずもない。
槍穂の稜線はおろか燕岳すら姿を見せない。
もう下山するしかない。
天候は、曇り時々小雨。
朝食を頂き、美人山ガールに見送られ、下山開始。
まだ営業していない合戦小屋 |
合戦小屋近くにナナカマド |
8時過ぎには下山終了。
中房温泉は、朝9時から入浴可能ということだったのだが一応係りの人に聞いてみると、今から入れますとのこと。ラッキーであった。
我々が下山一番隊であったので、ゆっくりと露天風呂にその身を沈めたのであった。
中房温泉1 |
中房温泉2 |
中房温泉3 |
結論1;行く場所はいろいろあるけど、やっぱ天気の良い日じゃないとだめだな。
問題は天気の良い日をどのように選択するかである。
結論2;無積雪期の山行は、北アルプスを主体に考えよう。
北アルプスなら山小屋整備されていて、非常食以外は持参する必要なし。
なるべく荷物を軽量化して、スピードを上げれば、もうどこでも行けるでしょ。
結論3;冬のが天気が良い。雨より雪のがマシだよね。
果たして我々に天気の良い日は来るのであろうか?軽量化による楽チン山行はできるのであろうか?冬山では雨に降られないのであろうか?
今年後半の山行報告を待たれよ。
<山行記録>
日程:2015年8月31日(月)~9月1日(火) 1泊2日
同行者:Hさん
天候:31日雨のち一時曇りのち風雨強し
1日小雨のち雨
当初計画(燕岳から常念山脈)
1日目;中房温泉-燕山荘-(ピストン)-燕岳-燕山荘<泊>
2日目;燕山荘-大天井岳-東大天井岳-常念小屋-(ピストン)-常念岳-常念小屋<泊>
3日目;常念小屋-一の沢登山口
修正計画(燕岳登山)
1日目;中房温泉(6:30)-第1ベンチ(7:10)-富士見ベンチ(8:40)-合戦小屋(9:30)-発(10:00)燕山荘(11:00)-発(11:30)-(ピストン)-燕岳(12:00)-発(12:15)-燕山荘(12:30)<泊>
2日目;燕山荘(7:00)-合戦小屋(7:45)-第2ベンチ(9:00)-中房温泉(10:00)
コースレコード
1日目;中房温泉駐車場(6:33)-中房温泉登山口(6:43)-(登山届提出)発(6:47)-第1ベンチ(7:20)-第3ベンチ(8:22)-発(8:30)-合戦小屋(9:30)-発(10:00)-展望台(三角点)(10:44)-発(10:50)-燕山荘(11:02)-発(11:22)-(ピストン)-燕岳(11:49)-発(11:53)-燕山荘(12:14)<泊>
2日目;燕山荘(5:58)-合戦小屋(6:35)-第1ベンチ(7:46)-発(7:55)-中房温泉登山口(8:18)-中房温泉駐車場(8:28)
実歩行時間
1日目;4時間11分
2日目;2時間21分
2日間合計;6時間32分
燕山荘宿泊記念Tシャツ |