烏尾山から丹沢表尾根主稜線を望む |
このGWは、北アルプスの表銀座でも縦走しようか。というプランもあったが、「体力的に無理だな。雪あるし」ということであっさりと廃棄。
とりあえず、体力強化を目的としたトレーニング山行を行い、身体的にも精神的にも出直すこととしたのである。
GW中の車での移動は、渋滞のリスクも多いので、久しぶりに電車で GO!ということにした。
H君から、「高尾なら、高尾山〜景信山、高尾山〜陣馬山。奥多摩なら、御岳〜大岳〜鋸山、御前山ー奥多摩湖。丹沢なら、鍋割山はどうよ?」と相変わらず選択肢の多い提案があったので、私が行ったことのない鍋割山に決めた。
5月4日早朝。新宿から小田急線・小田原行き急行に乗る。
これから行こうとしている鍋割山のルートを話し合う。
問題点その1;水を持たされる。鍋割山荘に行く人はペットボトルの水を2ℓか4ℓ担ぎ上げるというルールが存在する。
問題点その2;鍋割山名物の鍋焼きうどんは食えるのか。ぐずぐず登ってる間に売り切れてしまわないのか?混んでる時は1時間待ちのケースもあるらしい。
写真はすべてクリックで拡大します |
ヤビツ峠から入り、二ノ塔、三ノ塔、できれば塔ノ岳まで行く。
天候、疲労度、やる気によっては、途中でエスケープする。
ということに決定した。
当初下車する予定の渋沢駅のひとつ手前の秦野駅に8時13分に到着。
ヤビツ峠行きのバス停へ急ぐが、長蛇の列である。
8:15のバスは満員で、出発して行った。
その後、臨時増発便も出るが、それにも乗れず、ようやく8時55分発のバスでヤビツ峠へ向かった。
秦野駅 ヤビツ峠行きのバス停 |
バス待ちの我々のすぐ後ろのグループに属しているマサオ君。
「臨時もっと出せよ。GWなのに気が利かないバス会社だなあ」
「いつまで待たせんだよ。なんでこんなに混んでんだよ。バカかよ」と文句を言い始める。
後ろを見ると、酒でふやけた体のオヤジがいた。
同行者も閉口しているようだが、なぜか見放さず面倒を見ている。
飲み終わったペットボトルはその辺に捨ててくるし、ザックから突き出ているストックにゴムカバーもしていない。
同行のオヤジが石突きをビニルで巻いてやっている始末である。
このマサオ君にはその後も悩まされることになる。嫌なら来なければいいのに。
ヤビツ峠行きのバスは激混みであるが、我々は座れたので楽チンである。
近くにいるマサオ君も座っているくせに、「なんでこんなに混むんだよ。臨時出さないくせに。遅いバスだなあ」と文句をいう声が、時折聞こえてくる。
ヤビツ峠には多くの登山者が集まっていた。
大山(おおやま)方面へ向かう人も多いようだ。
我々は表尾根方面へ向かう。まずは富士見橋の登山口から二ノ塔を目指すのだ。
ヤビツ峠を振り返る |
しばらくは車道を歩くのだ |
富士見橋の登山口 |
係りの人が2.5キロの石を上まで運んでくれるように依頼している。
♫重いコンダラ試練の道を〜♪ コンダラって何よ? |
石を運ぶH君 |
大山方面じゃなく、こっちに来たのね、マサオ君。
ゼーゼー言いながら、ストック振り回しながら歩いている。
「おれは久々なのになんでこんなところに登らなけりゃいけないんだ。臨時出さないから悪いんだぞ」
いやなら来なけりゃいいのに。
運んだ石をここに集積 |
ほとんどの人が石を運んで来ているようだ。
やがて、マサオ君も登って来た。同行者は石を運んだようだが、マサオ君はもちろん手ぶら。
「石なんか運ぶかよ。臨時も出さないくせに。け、貧乏人が。。。」
これがウワサのマサオ君 |
天候は想定していたより悪く、下界は晴れているようだが、稜線には雲が掛かって来ている。
気温も低めで風も強い。
これは二ノ塔の山頂 パワーを蓄えている女性がいた |
馬酔木(アセビ)の花 |
満開です |
ハコネコメザクラだそうです |
スミレが一番多かった |
サクラソウもたまに咲いていた |
マサオ君が三ノ塔に現れた |
我々のとなりのベンチに陣取る模様である。すでに歩きながらパンを咥えている。
こりゃたまらん。
我々は、次のピークである烏尾山の休憩所で昼食をとることにして、三ノ塔を逃げ出した。
12時ちょいすぎに烏尾山頂に到着。
駿河湾方面を望む |
山道は整備されている |
烏尾山荘 |
風は強く寒い。
ストーブでお湯を沸かし始めるが、強風でなかなか沸騰しない。
いつもの3倍くらいの時間がかかってしまった。
すでに腹ペコのH君はコーヒーを待ちきれずにランチ開始。
今日のランチ 左が使えないストーブ |
塔ノ岳方面の稜線には雲が掛かって来ている。
塔ノ岳方面は暑い雲の中 |
山頂まで登れば、富士山も望めるのであるが、これでは展望はないだろうなあ。
と二人で、行くか降りるか悩んでいると、またまた性懲りも無く、彼の登場である。
「今日のコースは7時間も歩くのかよ。久々なんで自分のペースが掴めねえ。なんで臨時来ねえんだよ〜〜」とほざきながら、ストックを振り回しながら塔ノ岳方面へヨボヨボと向かって行った。
私「ありゃ弁護士か、中小の社長か経理部長だね」
H君「医者かもね」
二人「行者ケ岳を越えて、政次郎尾根で降りましょう」
今回は塔ノ岳はあきらめ、途中で下山することとする。勇気ある撤退である。
サクラ咲く稜線を行く |
来た道を振り返る |
H君「水無川本谷を詰めた時、最後に出たのはこのあたりだっけ?」
私「まあ、こんなところだね。最後の草付きが大変だったねえ」
H君「あの時は塔ノ岳登ったっけ?」
私「覚えてないわい。滝で落ちて、滝壺にハマったことしか覚えてないねえ」
こういうところもある |
整備されているので安心 |
戸沢から大倉までの林道は、知ってはいたが、本当に長かった。
幸い、もうマサオ君に出会うことはなかった。
今頃は「何も見えねえじゃん、臨時出さないからだ」とブツブツ文句を言いながらも、塔ノ岳を越えている頃であろう。
ミツバツツジ(H君同定) |
サクラ(ちょうど満開だった) |
ようやく山道は終わり |
戸沢キャンプ場から塔ノ岳方面 |
林道をひたすら下る |
名水。顔を洗う。 |
ツルニチニチソウ(H君同定) |
フジの花も満開でした |
大倉にある「風の吊り橋」 昔はこんなの無かったねえ |
「桜エビ天セイロ」は美味かった。
H君は今日は車じゃないので、日本酒を二合も飲んでほろ酔いでご機嫌。
外に出ると駅行きのバス停には多くの人が並んでいた。
もしかしたら、マサオ君も並んでいるかも知れないので、我々はバスをスキップし、客待ちしてるタクシーを拾って、渋沢駅を目指したのであった。
登山にはルールもあるし、マナーもある。
しかし、それ以前に人として問題のある人も多い。
そういう人があなたの左前にも座っていたりしませんか?
もって他山の石とせよ。
我々もマサオ君のような登山者にはならないと心に誓うのであった。
いかにも美味そうな桜エビ天セイロ |
いかにも美味そうな店構え |
今回は、トレーニング山行という位置付けであったが、それほど疲労もなく、また、事故もなく終えることができた。
塔ノ岳まで行くことができなかったので完璧とは言えませんが、単純な標高差は約600mほどであるものの、アップダウンも多く、歩行距離は13kmあまりであった。
最後まで、二人ともヘタレずに無事にトレーニング山行を終え、「出直し」を終了したのであった。
*今回の報告には、主旨を明確にするために、一部に誇張した表現が含まれていることをお断りしておきます。
<山行記録>
日程:2017年5月4日(木) 日帰り
同行者:Hさん
天候:晴れのち曇り
当初計画:鍋割山を丹沢表尾根に変更した。
秦野駅(8:13)-発(8:18)-(バス)-ヤビツ峠(9:00)-発(9:10)-富士見橋(9:35)-二ノ塔(10:50)-三ノ塔(11:05)-烏尾山(11:35)-(昼食)-発(12:15)-行者岳(12:40)-分岐(13:00)-新大日(13:30)-塔ノ岳(14:10)-発(14:30)-金冷やし(14:45)-(大倉尾根)-大倉(16:50)
コースレコード:秦野駅(8:13)-発(8:55)-(バス)-ヤビツ峠(9:35)-発(9:55)-富士見橋(10:14)-発(10:17)-登山口石置き場(10:32)-石置き場(10:56)-発(11:05)-二ノ塔(11:20)-発(11:27)-三ノ塔(11:45)-烏尾山(12:13)-(昼食)-発(13:03)-行者岳(13:20)-分岐(13:38)-戸沢山荘(14:42)-発(14:50)-龍神の泉(15:38)-発(15:45)-滝沢園(16:05)-大倉(16:13)
実歩行時間:4時間44分