もちろん、プリンスの経営するスキー場とは何の関係のないことは知っていた。
が、山頂の印象はあくまで高層湿原。草原の山と考えていた。
今回選定した祓川ルートは、かぐらスキー場のリフトが六合目付近まで通っているということもあり計画したコースタイムは少々長いが、標高差は和田小屋から800m弱。
日帰りでゆっくり行けるコースと想定した。
登山道でも紅葉も楽しめる上に、頂上の高層湿原は草紅葉で真っ赤ということで選択した苗場山。
山小屋に泊まることも考えたが、紅葉シーズン最盛期ということで頂上の小屋も満員とのこと。
まさか涸沢でもないのに1畳に2人はないんじゃないの?
ということで、50台近くとめられる駐車場が満車になる前に到着しようと4時過ぎ出発の日帰りとした。
写真は全てクリックで拡大します |
関越自動車道を湯沢ICで降り、途中で道に迷いながらも、ワインディングロードを駈けあがり、かぐら高原スキー場の駐車場に7時半過ぎに到着。
空いているところに駐車する。
すると、H君いわく「こんなに混んでるとは思わなかった」
私「え?まだまだ駐車スペースあるじゃん。思ったより空いてんじゃん。」
H君すかさず「ここ駐車場じゃないでしょ。だいぶ下の方の路上じゃないの?」
私「ふぎゃ~~!」
ということで、本当の駐車場は満車。そのすぐ上にあるスキーゲレンデにも多数駐車中。
我々は下の道路に路駐。総駐車台数は100台を超えている。大混雑満員御礼である。
かぐらスキー場駐車場は満車であります |
足取り軽くスキーゲレンデに沿った車道を進む。
30分ほどで和田小屋着。
「ずいぶん前だけど、スキー(無論ゲレンデスキー)で来たなあ。」と思いながらもこのあたりの風景の記憶は皆無。
和田小屋に到着 |
ゲレンデを歩く 滑りたい |
それらと一緒に六合目まで。途中で初心者迂回コースと思われるゲレンデを数回横切ったりする。
基本的には滑りやすい、ややガレ場の山道だが、要所には木道・階段が設置され、きちんと整備されている印象。
下の芝、中の芝、上の芝と順調に高度を稼ぎ、途中途中の燃えるような紅葉、平標や谷川岳方面の景色を楽しみながら、神楽ヶ峰2,030mになんなく到着。
紅葉の中の木道を行く |
中の芝あたりの紅葉は最盛期 |
谷川連峰方面には雲がかかる |
平標山と谷川岳 |
これも朝レンの成果か?と一人喜んでいたが、それも神楽ヶ峰山頂までのこと。
神楽ヶ峰到着。ついに苗場山の全容が見えた |
山頂への直登ルート。拡大すると登山者が見えます。 |
これから登っていく登山道が一望できる。
一度、鞍部に150mほど下降し、その後苗場山山頂まで300mほどの登りとなる。しかも、ほぼ直登。
多くの人が登っている。そして下っている。かなりのアルバイトが予想される。
直登ルートを間近に見ると、ちょっと滅入ってきたが、口では「楽勝!楽勝!」と言いながら、鞍部へと下って行く。
雷清水でのどを潤し、お花畑から、いよいよ直登に入る。
もう、山を下って来る人が多数。
すれ違いの「こんにちわ」大会開始。
山道は狭く、登り優先を知らないのか、そんなことはどうでもいいのか。
自分のペースで一気に頂上まで。とはなかなか行かない。
そこのけそこのけ団体さんが通る |
山頂にこんな広大な湿原が広がっているとは、ちょっと想像出来ないほどの雄大な景色である。
ただし、この一面の草紅葉はなぜ黄色いの?なぜ赤くないの?疑問が湧いてくる。
H君が友人から、聞いている話となんかちょっと違う。
ようやく頂上湿原に出た! |
草紅葉(黄変)と地溏 |
全体に黄色っぽい草紅葉で覆われた湿原であった。
しかし、壮大な湿原。そしてそこにランダムに散りばめたような多くの池塘。
遠くに見える岩菅山や志賀高原。
志賀高原方面をのぞむ |
自分じゃ「そうじゃないよ。」と口では言いながら「隠れピークハンター」のH君。
「まずは頂上へ行きましょう」
真正ピークハンターの私は迷わず同意。
12時半苗場山山頂に到着。
この山頂は寂しい。
小屋の裏の森林の中の広場にポツンと「苗場山山頂 標高2145.3m」の標識が立っているだけである。
周囲の眺望は皆無である。
写真を撮って、すぐに湿原へ戻ることにする。
苗場山山頂はさびしい |
自然体験交流センター(旧名:苗場山山頂ヒュッテ)前の休憩所で昼食とする。
昼食休憩中、関西から来たというノリのいい(元)山ガールとの会話が弾んだ。
尾瀬、至仏山、吹割の滝を楽しみ、苗場山にも足を伸ばして来たとのこと。
湿原の休憩所にて |
ツアー客はともかく、そのガイドのいい加減なこと。見た目もいい加減だが、言ってることもいい加減の極み。「写真付き苗場山山頂からの展望」のコピーを読み上げる読み上げる。
雲に隠れて見えない山もあたかもそこにあるかのごとし。
見えもしない至仏山を同定したのにはさすがにあきれた。
これでいいのかツアーガイド。
以前、本ブログでも取り上げた傍若無人の屋久島縄文杉エコツアーガイドといい、このいい加減ツアーガイドといい、登山人口増えすぎの弊害なんだろうか?
うちのS隊長のがよっぽど山を分かってるし、同定術にも長けてるぞ。
昼飯を食べ終わり、このまま下山するのも少し物足りない。
H君は友人から聞いた草紅葉の絶景があきらめられないようだ。
まあ、ここから見る限り、「一面枯れ草紅葉なんですけど~~」とは言わず、高層湿原での草紅葉探索開始。
頂上の湿原を散策する |
湿原の端からノリ玉紅葉が見えた |
羊草も今年はちゃんと赤くならないのか |
やはり草紅葉はすべてが黄変しており、枯れ草状態であった。
黄色の湿原でも十分見ごたえはあるものの、去年同時期に白馬大池での紅葉を見ているだけにちょっと残念な結果。
途中ではきれいな紅葉が見られたので、やはり先週の降雪による影響が大きかったのであろう。
少々疲れたので、昼食をとった伊米神社分岐の休憩所まで戻る。
なんと、あれほど多かった登山者がほぼ全員消え失せている。
この広い山頂湿原にほとんど人影は見えない。
山頂ヒュッテ泊まりの人以外は、全隊が撤収した模様。
草紅葉満喫ツアー御一行様も、へなちょこガイドにくっついて、もう下山の途についたようだ。
休憩所に戻ると人影はもう無かった |
そもそも今日は用意万端。
ロングコースを想定し、いざとなればヘッドランプで下山ということも視野に入れた計画。
焦る必要はない、来た道を戻るだけだ。
「行きはよいよい帰りは怖い」とは良く言ったもので、この下山は結構きつかった。
体力的には問題はなかったものの(エッヘン!)、下山道のすべり易さには閉口。
登りは感じなかったガレ場も歩きにくい。
意外に時間も掛ってしまう。
苗場山を振り返る |
秋の日はつるべ落とし。
これから頂上を目指す人は直登ルートにぶつかる頃には陽が沈んでるであろうし、途中で抜いた人はかなりの距離を残し、暗くなるであろう。
彼らは大丈夫だったのだろうか?
まあ、心配してもしかたがないのだが。
彼らには彼らなりの計画があるのであろう。
夕日で簡易ブロッケンを作ってみたよ |
和田小屋では、山麓を回り込んで先乗りしたのであろう観光バスに、先ほどのツアー客達が乗り込むところである。
登山道に夕暮れが迫る |
和田小屋まで降りる クマさんと記念撮影 |
最後までもむかつく草紅葉満喫ツアー御一行様であった。
駐車場に着く頃には真っ暗。
時計を見ると午後6時になろうとしている。
木立の陰には月も上って来た。月明かりで歩を進める。
朝には数多くとまっていた車も数台を残すのみとなっている。
車のヘッドライトを頼りに、帰り支度を始める。
真っ暗な車道を降りる |
ようやく駐車場下まで戻ってきた |
<山行記録>
日程:2011年10月9日(日) 日帰り
同行者:Hさん
天候:晴れ
当初計画:かぐらスキー場駐車場(8:40)-和田小屋(9:15)-下の芝(10:30)-顕彰碑(11:50)-神楽ヶ峰(12:20)-お花畑(12:50)-苗場山(13:45)-(昼食)-お花畑(15:05)-神楽ヶ峰(15:35)-顕彰碑(16:00)-下の芝(16:50)-和田小屋(17:45)-かぐらスキー場駐車場(18:10)
コースレコード:かぐらスキー場駐車場下の路上(7:42)-和田小屋(8:36)-六合目-(9:15)-下の芝(9:42)-中の芝(10:24)-上の芝(10:47)-顕彰碑(10:53)-神楽ヶ峰(11:07)-雷清水(11:29)-お花畑(11:39)-雲尾坂(12:01)-苗場山山頂(12:30)-伊米神社分岐横ベンチ(12:44)-(昼食)-湿原の端2068ピーク(13:35)-伊米神社分岐(13:50)-2060ピーク方面の湿原-伊米神社分岐(14:13)-お花畑(14:58)-雷清水(15:10)-神楽ヶ峰(15:27)-顕彰碑(15:45)-下の芝(16:30)-和田小屋(17:25)-かぐらスキー場駐車場下の路上(17:50)
実歩行時間:8時間27分