毛無岱より八甲田連峰を望む |
明治35年に青森歩兵第五連隊が、雪中行軍演習中に記録的な寒波と吹雪に遭遇し、210名中199名が遭難した世界でも類を見ない山岳遭難事故(北八甲田山系の北側が現場)でも有名である。
なお、現在も陸上自衛隊第5普通科連隊は、毎年厳冬期に八甲田山系での冬季雪中戦技演習を行なっている。
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我々は、最もポピュラーなコースである「酸ヶ湯温泉から大岳を周回」するコースを選択。
酸ヶ湯温泉を出て、仙人岱経由で八甲田大岳、帰りは毛無岱を経て酸ヶ湯まで戻ってくる周回コースだ。
まずは、毎年の大雪で有名になった「酸ヶ湯温泉」である。
今回初めて訪れたが、まさに「これが日本の温泉旅館です」という風情である。
湯はその名の通り強い酸性。
元の温泉名は鹿湯で、すかゆは読みが訛ったものらしい。
昔はシシ神様が温泉主だったのである。
酸ヶ湯温泉 湯治場棟 |
酸ヶ湯温泉旅館正面玄関 |
客室前の廊下 |
夕餉の料理 |
登山は朝早いほうが良いとは知りつつも、朝食が6時45分開始とのことで、早朝出発は端からあきらめる。
快晴の酸ヶ湯温泉を出発 |
大岳登山口 |
ここが日本山脈縦走の起点です。 |
大きな碑が立っており、日本山脈縦走起点と書いてあるではないか。
なんと、ここから秋吉台まで5,000kmの大縦走が楽しめるのである。
しかし、どこをどのようなルートで誰が縦走するのかはまったく不明なのである。
調べても分かりませんでした。
まずは、仙人岱(せんにんたい)という高層湿原を目指す。
岱(たい)とは、山岳地用語で山の上にある湿原のことを示す。
仙人岱は、昔からの登山により、荒廃が激しく裸地化している場所が多く、現在植生の復活が図られているとのことである。
地獄湯ノ沢に入る。ガスでフラフラ? |
一本橋を渉る。ガスでハイ? |
硫化水素ガスでの事故もあったらしい |
こんな道を登ってきた |
こんな道を登っていく |
ムラサキヤシオ |
オオカメノキ |
ミツバオウレン |
これを越えると仙人岱 |
仙人岱に着いた |
長居は無用である。
谷を詰めきり、残雪地帯を抜けると仙人岱に到着する。
仙人岱の湿原は全体にもう積雪はなく、荒廃が進んでいる。
高層湿原だが荒廃が進む |
雪解けの登山道 |
ジャブジャブ行くしかないんだよなあ |
大岳の丸い頂上が見えた |
これが、昨日、岩木山山頂でおっさんがしたり顔で「アイゼン必須。落ちると最後のトラバース」と言っていた雪渓であろう。
大岳へ続く大雪渓 |
雪見て元気になってる人 |
女性のソロもノーアイゼンで行く |
雪渓の途中で休憩中 |
こんなところを登ってきました |
どこにもトラバースはなかった。ただの雪渓の登山道である。
アイゼンは不要。あっても邪魔なだけである。
万が一、滑っても落ちるところなどない。
我々が、おっさんの話を聞き違ったのか、おっさんは違うルートのことを説明していたのかも知れない。
いずれにせよ、これなら夏山の雪渓歩きの範疇である。夏用山靴で全く問題なし。
アイゼンなんか持ってこなくて正解!
頂上直下にある鏡沼 |
30分ほどであるが、かなりの急登を登りきると山頂に到着。
ようやく午前10時を廻ったところである。
頂上への最後の急登 |
桜の向こうには南八甲田連峰 |
頂上は広く、全く雪は無い。
晴れて爽快な風が吹き抜ける。
おそらく本日は、この八甲田の雪が消えてから、最初の晴れた休日。
多くの登山者で山頂は賑わう。
まさに、今年の夏山の解禁日である!
八甲田大岳山頂の全景 |
杭引っこ抜いちゃった。 |
左腕のFitBitが仲間の印だ! わっかるかな~~? |
北八甲田 田茂萢岳(たもやちだけ)方面 |
南八甲田 櫛ヶ岳方面 |
北八甲田 高田大岳と小岳 |
北八甲田 井戸岳と赤倉岳 |
秋田から来たというご夫婦から大福をいただく。
秋田の大福は美味しいよ。ということであったが、確かに大変おいしく頂きました。
ご馳走様。
中央が大福をくれたご夫妻 |
昨日は岩木山から八甲田が見えたが、今日は八甲田から岩木山は霞んで見えませんでした。
八甲田大岳からの南八甲田の全景 右でH君が邪魔してる |
大岳避難小屋から毛無岱を経由するルートを下降する。
整備された登山道を抜け、雪渓を滑り、大岳避難小屋に到着。
ベンチも多く、居心地が良さそうなので、計画通りここで昼食とする。
赤倉岳を正面に雪渓を下る |
雪渓のところどころにまだ標識あり |
大岳避難小屋に到着 |
「お、誰か遭難したのか。アイゼンしないで雪渓落ちたのか」と邪推するも、そのまま遠ざかっていく。熊さん出現の偵察飛行をしていたのかも。
後で知ったが、青森県内では5月29日~30日は山岳遭難の発生と救助が相次いだ。
また、クマの目撃情報は、5月30日現在で昨年同時期より32件も多い70件のハイペースだそうだ。
今日のランチはこんなんです。 実は大福持参でした |
ベンチ独占 |
ヘリコプターが飛んできた |
上毛無岱への道を急ぐ |
30分ほど下ると、いよいよ今回のハイライトでもある毛無岱(ケナシタイと読みます。ケムタイでもいいかも)の広大な高層湿原に入る。
尾瀬ヶ原と似たような高層湿原であり、振り返ると八甲田山の景色もまた素晴らしい。
尾瀬ヶ原と違うのは、上毛無岱、毛無岱、下毛無岱と大きく分けて標高差の異なる3層の湿地帯から構成されていることである。
雪解け時期でもあり、ちょっと花々の満開時期には早いが、水芭蕉をはじめとする花々が点在し、大満足の下山路である。
毛無岱から八甲田連山を眺む |
水芭蕉の群落 |
ショウジョウバカマ |
チングルマも咲いていた |
みんな大好きチングルマ |
まるで尾瀬ヶ原 |
池塘にはまだ雪が残る |
♪水芭蕉の花がさ い て い た♪ |
ショウジョウバカマ 赤いの |
普通のショウジョウバカマ |
安っぽいラジオをガンガン鳴らして、我々に付いて来るのだ。
向こう側のベンチに座っているのがラジオオヤジ |
このラジオオヤジ。熊が怖いのか、我々が逃げると他のパーティに寄り添ってる。
これだけ視界が良くて、登山者も多けりゃ、熊さんも寄ってこないよ。
このほか、熊鈴ババア達もうるさかったが、まだこっちのが登山風情がありマシでした。
八甲田の山々 さようなら |
水芭蕉にも別れを告げる |
高層湿原から離脱 |
ミツバオウレン |
ミヤマキスミレ |
楽しかった高層湿原も終わり、ラジオオヤジも振り切り、熊さんにも会わず、暑い森林の中の道を下る。
計画した時刻より2時間ほども早く、酸ヶ湯温泉に帰り着いたのでありました。
このコースは、雪渓あり、湿原あり、大展望ありのゴージャスな登山コースで、人気が高いのも納得できました。
また、今回は訪れた時期も天候もバッチリ、体調も良くコースタイムをブッチギれたこともあり、大変満足度の高い山行となりました。
今回の「岩木山・八甲田山タッチアンドゴー作戦」は、日ごろから多忙なH君の発案であり、飛行機・レンタカー・温泉・リフトを駆使する山行となった訳ですが、1泊2日の短期決戦にもかかわらず、充実した山旅となりました。
また、このようなロケーションの良い山々を見つけていこうと思っています。
まだまだ、たくさんありそうだ。
H君ありがとう!
<山行記録>
日程:2016年5月29日(日) 日帰り
同行者:Hさん
天候:快晴
当初計画:酸ヶ湯温泉(8:30)-仙人岱避難小屋(9:50)-発(10:00)-八甲田大岳(10:55)-発(11:15)-大岳避難小屋(11:45)-(昼食)-発(12:15)-上毛無岱(12:45)-発(12:55)-毛無岱(13:35)-発(13:45)-城ヶ倉温泉分岐(14:15)-発(14:20)-酸ヶ湯温泉(14:40)
コースレコード:酸ヶ湯温泉(7:45)-大岳登山口(7:50)-仙人岱避難小屋(9:10)-鏡池下の雪渓(9:20)-発(9:30)-八甲田大岳(10:03)-発(10:26)-大岳避難小屋(10:42)-(昼食)-発(11:00)-上毛無岱(11:39)-毛無岱(11:53)-城ヶ倉温泉分岐(12:20)-発(12:30)-酸ヶ湯温泉(12:43)
実歩行時間:3時間57分
雪渓から望む八甲田の山々 |