花瓶山山頂より |
HT君が上越、八ヶ岳等、行先をいろいろと探してくれたが、最後に決まったのは栃木県と茨城県の県境に頂きがある花瓶山。
花瓶山。花粉症の季節だから、『鼻かめ』ということなのか。
私自身は山自体の存在すら知らなかったが、低山ではあるが最近人気のある山で、イワウチワの群生を見るために、この時期、多くのハイカーが訪れるようである。
抜け目ない旅行会社の山野草鑑賞ツアーも出ているようである。
標高は低いが、周回コースも用意されており、一周すればそこそこ歩きごたえもありそうだ。
この山のコースガイドは、『山と高原地図』にも収載がないので、YAMAPなどの記事を参考にする。現地の案内図にもコースタイムの記載はなく、どんだけ歩くのかは最後までよくわからなかった。
「花瓶山(はなかめやま)は、栃木県大田原市と茨城県大子町の境に位置する標高690mの山である。茨城県最高峰・八溝山から南西方向に伸びる稜線上にあり、国土地理院の地形図にも登山道の表記がないほど、かつては登山者の少ない隠れた山であった。そんな花瓶山が脚光を浴びるきっかけのひとつが、山名の通り、山中に自生している様々な山野草の存在。ハナネコノメソウ、カタクリなどが咲く春はとりわけ賑わい、中でもイワウチワの群生はこの山のシンボルとなっている。この豊かな自然を守るために地元で発足した「花瓶山の会」によって登山道や道標が整備され、大田原市・須賀川地区に設置された駐車場が一般的な登山起点。ここから花瓶山へ登り、南に連なる向山を結ぶ周回コースが一般的である。」とYAMAPにある。
4月9日未明。寒冷前線通過直後ということで、気温はかなり低いが、天気は上々。
HT君が運転する高級山行専用車は常磐道をひた走り、花瓶山専用駐車場に到着したのは、午前7時である。
すでに数台の車が停まっている。
晴天の日曜日ということで混雑が予想されたが、まずは無事に駐車場確保である。
しかし、寒すぎ。晴天なのに風花舞う駐車場。
夏山装備で来てしまったが、後悔先に立たず。ブルブルッである。
駐車場にある案内図 |
午前7時20分。駐車場を出発し、林道を進む。
寒い林道を歩く |
ニリンソウ |
マムシグサ |
タチツボスミレ |
ヤマブキ |
エイザンスミレ |
30分ほど、花咲く林道を歩くと、うつぼ沢出合に到着。
ここにも駐車場があり、すでに満車状態であった。
どうりで林道で多くの車にパスされるわけだ。
まあ、いろいろな花が見られたので文句はないのだ。
そして、ここにも花瓶山登山口の表示板がある。
うつぼ沢の駐車場は満車 |
ここが本来の登山口か |
逆回りを選択する |
ここが周回コースの起点であり、大多数の人は、花の多い右回りのルートを選択。
我々はHT君の「まだ朝早く寒いし、花が開いてないかも、日が当たったほうが花は綺麗でしょ。」という、意見に従い、人の行かない左回りルートを選択。
おかげで静かな山歩きを楽しめたのでした。
なぞのアリ塚? |
これこそが本当の登山口らしいぞ |
林道を50分ほど歩くと花瓶沢に到着。
ここが真の花瓶山登山口なのである。きっと。
登山口多すぎである。
いよいよ本格的な山道だ |
20分で稜線に到着 |
ここから本格的な登山道となる。
かなり急登であるが20分ほどで稜線に到着。
右方向にちょっと行けば花瓶山山頂となるが、左方向に太郎ブナ&次郎ブナの表記があり、イワウチワの群生地もある模様。もちろん、左へと進む。
稜線を辿る山道となるが、もともとは杉の植林地であり、伐採され裸になった稜線を辿ることになる。
次郎ブナ |
ハゲた稜線 寒そ〜 |
太郎ブナ2世とのこと |
稜線に出ると、強風が吹き荒れており、寒い寒い。
もともとは広葉照葉樹林であったところに国策で杉を植林。
大きなぶなだけ残して太郎ぶな次郎ぶなをランドマークにしたのであろう。
杉が大きくなり、残されたぶなの勢いは衰える。太郎ぶなの元の木は枯れ、二代目がひっそりと植えられている。
当初は太郎ぶなで折り返す予定であったが、稜線上にピークが見える。
この辺りの最高地点っぽいし、展望も良さそうなので、寒いけど行くことにする。
あの無名ピークを目指す |
肉眼では筑波山まで見えました |
この辺りが一番寒いとこ |
無名峰に立つ! |
「あのピークはなんという山ですか?」とそばに来た地元の登山者さんに訪ねる。
「わしもあそこまで行くつもりだけんど、あのピークには名前なんぞはないぞなもし。」
無名のピークではあるが、花瓶山より標高は高く、地図から判断してちょうど700mくらいか。
9時25分無名峰に到着。
天気は快晴 八溝山が見える |
景色も最高 宇都宮方面を見る |
展望は今日一番である。
北側に八溝山が見える。
このピークを越えて、踏み跡程度の道を行けば、八溝山まで通じているとのことであるが、無論我々は行かない。
実はここまで、すんなり登ってきたように書いているが、めちゃくちゃ寒くて、休憩すらできない状態であったのである。
極度の低温(駐車場で摂氏3度であった)に加え、稜線は谷から吹き上げてくる強風で体感温度はマイナ10度くらいの感じである。
途中、HT君の帽子は強風で飛ばされ、夏山装備のオイラは凍えて遭難しそうな状態だったのである。
ともあれ、登りはスルーしたイワウチワ群生地まで戻る。
強風でなかなかピントが合わないが、なんとかイワウチワを堪能。
イワウチワ |
稜線上の大群落だ |
さて、いよいよ今日の最終目的地である花瓶山山頂を目指そう!
と思ったらあっという間に到着。
ピークは樹林に覆われ、視界はない。
痩せた稜線を行く |
花瓶山山頂に到着 |
まだ10時過ぎであるが、花瓶山の風の来ない南側斜面には多くの登山者が休憩中。
展望も良い。この辺りはまだ山桜が満開の状態で、お花見ができたのですよ。
ここまではあまり登山者とは会わなかったが、我々のルート選択は正解であったのである。
我々も早めの昼食とする。
花瓶山山頂休憩所より |
なんと山桜満開です |
なんとか斜面ランチ |
休憩中もどんどん登山者が登ってくる。
数組のツアーも大人数でどんどんどん。
花瓶山をスルーし、太郎ぶな方面へ抜けていく。
積雪こそないが極寒の地へ進んでいく。青森5聯隊さながらである。
我々は昼食を食べ、人心地ついたので下山開始。
下山路は、向山経由なので、今度は多くの登ってくる人とすれ違う。
このルートはカタクリやイワウチワの群生地でもあり、ネコノメトラノオじゃなくて、ハナネコノメソウも咲いているということで、キョロキョロしながらゆっくりと下山する。
カタクリ |
寒くて花が開いていない |
向山に向かう |
杉の植林地帯を進む |
登山道にイワウチワの大群落登場 |
向山付近は登山道に沿い、イワウチワの群落が続いている。
下りなので余裕で鑑賞できる。
向山山頂に到着 ここも展望はない |
ミツバツツジ |
まだまだ続くイワウチワ |
登山道を覆い尽くすほどだ |
うつぼ沢出合まで降りてきた |
路駐車も多くなっている |
12時半。周回コースの起点であるうつぼ沢出合まで戻ってきた。
周辺には、いまだ多くの登山者がおり、これから登ろうとしている人もいる。
駐車場は満車で路上駐車が増えている。
早出で大正解。
ただ、残念だったのは、カタクリが寒すぎて花が開いてなかったこと。
お目当てのハナネコノメソウがどうしても見つからなかったことです。
このルート上に咲いているのはわかっていたので、結構ちゃんと見てたつもりなんですが。
ニリンソウ |
ククザキイチゲ |
わらびー |
タダノツクシ |
駐車場まで戻ってきた。 |
下山は順調で、駐車場に戻ったのは1時過ぎ。早い下山です。
こちらの駐車場もやはり満車状態でした。
うつぼ沢出合の駐車も含めて、ざっと乗用車50台、中型観光バス3台は来てました。
少なく見積もっても100名以上はこの山に入っていたことになります。
コースマップも出てないような低山にもかかわらず、この人気は驚きです。
烈風極寒の中、全員無事に帰ってきたのだろうか。
寒すぎ、杉多すぎ、人多すぎ、登山口多すぎではありましたが、普段はあまり来ない低山でも登山は十分楽しめることがわかりました。
また、それほどの累積標高差ではなかったので、筋肉痛も発生せず、今後は低山専門でも良いかなと。ただ夏は暑すぎて無理だろうな。
いずれにせよ、面白い山に連れてきてくれたHT君に大感謝です。
帰りは東北道を使いましたが、途中で多重事故などがあったわりには、比較的スムーズにまだ陽のあるうちに帰宅できたのでした。
<山行記録>
日程:2023年4月9日(日) 日帰り
同行者:HTさん
日程:2023年4月9日(日) 日帰り
同行者:HTさん
天候:晴れ(低温、一時強風)
当初計画;花瓶山専用駐車場(7:20)-うつぼ沢出合(7:50)-花瓶山登山口(8:40)-花瓶沢分岐(9:10)-次郎ぶな(9:25)-太郎ぶな(9:30)-発(9:40)-次郎ぶな(9:45)-花瓶沢分岐(10:00)-花瓶山(10:05)-(昼食)-発(11:00)-向山(12:20)-うつぼ沢出合(12:40)-花瓶山専用駐車場(13:10)
コースレコード;花瓶山専用駐車場(7:20)-うつぼ沢出合(7:50)-花瓶山登山口(8:40)-花瓶沢分岐(9:00)-次郎ぶな(9:12)-太郎ぶな(9:18)-700mの無名ピーク(9:25)-発(9:30)-次郎ぶな(9:45)-花瓶沢分岐(10:00)-花瓶山(10:05)-(昼食)-発(10:55)-向山(12:05)-うつぼ沢出合(12:30)-花瓶山専用駐車場(13:05)
実歩行時間:4時間50分 (コースタイム:4時間40分)
花瓶山山頂より |