大雪路より鳥海山山頂を望む |
7月28日5時30分。
予定より早く猿倉温泉「フォレスト鳥海」を出発。
祓川(はらいかわ)の駐車場に向かう。
天気は上々である。雨の心配もない。
祓川の駐車場に6時前に到着。
車中泊の車だろうか、数台の駐車がある。空いている。
祓川駐車場は空いていた |
秋田県側の北側斜面を登るルートであるが、日帰りで最も短時間のコースを選んだ結果である。
短時間とは言え、コースタイム8時間、登山口から頂上までの標高差は1,100m、アップダウンを含んだ累積の標高差は1,635m。
オサルシ山行原則を完全に逸脱している。
実はこの夏、累積標高差1,566mのソロ登山を計画しているので、そのテストを兼ねてハードな行程としたのである。
今回、完踏できなければ、次の計画は諦める覚悟である。
いずれにせよ、かなりハードな山行となるのは間違いない。
このルートは残雪も多く、かなりの雪渓を越えていかねばならないルートでもある。
今年は積雪が多かったので、二人とも一応軽アイゼンは持参している。
私は鳥海山には2015年にも来ており、その際は西側の最もポピュラーな鉾立コースで頂上直下の御室小屋に1泊するという行程であった。
前回は天候も悪く、頂上に着いた時にはヘロヘロであった記憶もあり、今回も厳しい登山になることが予想される。
鳥海山の説明は、その時にしているので今回は割愛。
いよいよ登山開始 |
午前6時20分。
登山開始である。
登山者も少ないので、SM君はクマ鈴を鳴らしてすすむ。
私は森のクマさんを口ずさむ。
祓川ヒュッテを通過 |
まるで尾瀬ヶ原のような竜ケ原湿原 |
ギボウシ、トラノオなどが咲いている |
祓川神社にお参り |
祓川ヒュッテを過ぎ、竜ケ原湿原に入る。尾瀬のような光景だ。
祓川神社で安全登山のお参りをする。
しばらく行くといきなり雪渓が現れる。
早いな、もう来たか。
いきなり雪渓が登場 |
雪渓の脇にミズバショウが咲いていた |
雪道は初心者の歩荷候補生が呆然としているので、すかさず「ノーアイゼン!」の指示を出す。
この後もいくつか雪渓を越えるが、こんなところでアイゼン装着していては頂上まで着かんのである。
次々と雪渓が現れる |
雪渓を登るSM君 |
雪渓を避けて歩くSM君 |
気温が上がると雪渓にガスが湧く |
振り返ると駐車場まで見えました |
賽の河原を越えると今度は傾斜のある大雪渓が登場。
雪面大好きの私が先行する。ノーアイゼンで楽勝に行ける。
が、歩荷候補生は苦戦中。
「アイゼンつけましょ〜〜」とやさしく指示を出す。
結局、この後も雪渓は続くが、アイゼン付けたのはこの急斜面だけでありました。
この後、七ツ釜避難小屋を過ぎ、大雪路を無難にこなし、氷の薬師から最後の雪渓を超える。
大雑把に言うとコースの30~40%は、雪渓登りという感じの大変良いルートでありました。
ここまではほぼ予定通りで順調でした。
大雪路の大雪渓 |
山頂が見えて来た |
大雪路を行く |
だいぶ雲が湧いて来た |
右足の内側広筋付近が歩くたびに痛む。こりゃ、やばいと思い、ロキソニンを飲み、ストックを出すが、スピードが上がらない。
先行してるSM君が心配そうに戻って来てくれる。
SM君に「オイラはこれからなんとか七高山までは登る。あなたは、ひとりで七高山を越えて、最終目標の新山を登って七高山まで戻って来てください。そこで待ってるので昼飯にしましょう」と伝える。
SM君が舎利坂をぐんぐん登っていくのを見ながら、
「新山は前に登っているので未練はないが、ああは言ったものの、七高山までこの急坂を登れるのか?このまま降りちゃおうか」
ぐだぐだと30分ほど休憩してると、なんとロキソニンが効いてきた。石原さとみ様ありがとう。
舎利坂に取り付き、ゆっくりではあるが頂上を目指す。
登って来た登山道を眺める |
よろよろ登っている途中で、同じルートを登って来た人たちとすれ違う。
今日の矢島口ルートを登っている人は、我々以外には、ソロ2人と3人パーティが1組。
全部で7人しか同じコースを登っていない。
この舎利坂で、ソロのうちの1人と3人パーティとすれ違った。
所要時間を考えるとこの人たちも新山まで足は伸ばさず、七高山まで行き折り返している。
ちょっと元気が出て、急坂を時間をかけて登り切ると割と簡単に七高山に到着。
墓石が道標の七高山 |
11時25分。鳥海山山頂に到着である。
雲が上がって来ており、遠望は利かないが、まずまずの天気である。
少し暑いが、風もあり、休憩するにはもってこいの状況。
新山を見る SM君の姿は確認できない |
外輪山コース方面 多くの人がいた |
しかし、登ってくる登山者の多いこと、多いこと。
鉾立コースからの登山者が引きも切らず、外輪山コースなど列を作って登ってくるではないか。
SM君が登っているだろう新山を見ると、ゾロゾロと登っていく登っていく。
ここまで、ほとんど登山者に合わなかったので、びっくりであります。
SM君に「なんとかついた。今、どのへんよ?」と連絡を入れ、写真などを撮り、頂上そばでトンボを見ながら昼寝して待つことに。
実はSM君、結構苦戦していたうですが、11時45分に新山に到着してました。
新山までの往復のコースタイムは1時間15分であるが、一度火口へ急坂を降りて登り返すのだが、雪渓がルートになっていること、転んだこと、混んでいることなどにより、相当消耗した模様。
「ジジイとババアが邪魔した〜」と譫言のように呟いていました。
新山山頂での眺望も雲が上がって来ており、今ひとつであったとのこと。
新山2236m (SM君写) |
悔し紛れであるが、「行かなくてよかった!」
昼寝すること1時間余り。12時半過ぎにSM君が戻って来た。
頂上はアキアカネに占拠されている |
十分休んですっかり元気 |
ホテルで作ってもらったおにぎり弁当withコーヒーなどで昼食とし、13時5分に下山開始。
予定では康新道を下山路としていたが、来た道を戻る方が安全と判断し、同じルートを下ることにする。
私は2時間近く休んだので、ほぼ体調は回復。ロキソニンも効いている。
SM君は短時間の休憩での慌ただしい出発となった。歩荷志願兵は辛いのである。
突然現れた変なおじさんと下り競争をする歩荷候補生 |
負けたらしい |
雪渓の先端は怖いよ |
頑張る歩荷候補生 |
たまに転んでいる |
歩荷候補生のおかげで頂上で休憩を多く取れたので、帰りは足も傷まず、快適に飛ばす。
下りと雪道を苦手とする歩荷候補生もむにゃむにゃ文句言いながらも快調だ。
岩場と雪渓の連続。
よく、こんなところを登って来たもんだ。
雪道怖いSM君
登りでは余裕がなくあまり撮れなかった、花の写真を撮りながら快適にくだる。
雪渓が多いため、当然水場も多く、うまい水飲み過ぎの感じ。
ただ、北側斜面でまだ残雪が多いからなのか、以前、鉾立口から登った時ほど花も多くなく、種類も少ない。
鳥海湖周辺のニッコウキスゲ群落は有名だが、このルートではキスゲは1本も咲いていなかった。
雪が溶け、これから咲くのかは不明。
いずれにせよ、同じ山とは思えないほど、高山植物の種類は少なかったのが残念。
ヨツバシオガマ |
イワギキョウ |
イワギキョウの群落 |
ミヤマアキノキリンソウ |
シモツケソウ |
チョウカイアザミ |
チョウカイアザミの群落 |
ダイモンジソウ |
アオノツガザクラ |
ワラビではなくシダの芽 |
また、七ツ釜避難小屋付近で、ひさしぶりに「シャチクバエ」の襲来にあったのには閉口した。
雪渓の雪解け時期に登場するこのハエは目のあたりにまといつくので「メマトイ」と呼ばれています。
我々は、通常こいつらを「シャチクバエ」と呼び、忌み嫌っているのです。
ですが、SM君にはあまり寄り付かなかったようで。。。なぜだろ?
ということで、いくつもの雪渓を通り抜け下山もほぼ終了。
祓川神社でお礼のお参りをして山行終了です。
祓川神社さん ありがとうございました |
祓川ヒュッテが見える。もうすぐだ。 |
駐車場に無事到着です。 |
実に朝6時20分に出発、午後4時40分に下山終了という、最近にはない長時間の山行を無事に終えたのであります。なんと結果は休憩を除外すると標準コースタイム通りでした。
標高差1,100mもなんとかこなしましたが、当初設定した目標をクリアできたのかは微妙なところではあります。
ギリギリ合格ということで鳥海山登山を終了とします。
明日は月山登るのか〜〜本当かよ〜〜〜
<山行記録>
日程:2022年7月28日(木) 日帰り
同行者:SMさん
天候:基本は快晴 時々曇り&ガス
当初計画;祓川ヒュッテ駐車場(6:45)-七ツ釜避難小屋(8:15)-発(8:25)-氷の薬師(9:25)-発(9:35)-七高山(10:35)-発(10:45)-外輪山分岐(10:55)-御室小屋(11:15)-(昼食)-発(11:40)-新山(11:50)-発(12:05)-御室小屋(12:25)-外輪山分岐(12:50)-七高山(13:00)-発(13:10)-(康新道)-台(14:20)-発(14:30)-七ツ釜避難小屋(15:00)-発(15:10)-祓川ヒュッテ駐車場(16:10)
同行者:SMさん
天候:基本は快晴 時々曇り&ガス
当初計画;祓川ヒュッテ駐車場(6:45)-七ツ釜避難小屋(8:15)-発(8:25)-氷の薬師(9:25)-発(9:35)-七高山(10:35)-発(10:45)-外輪山分岐(10:55)-御室小屋(11:15)-(昼食)-発(11:40)-新山(11:50)-発(12:05)-御室小屋(12:25)-外輪山分岐(12:50)-七高山(13:00)-発(13:10)-(康新道)-台(14:20)-発(14:30)-七ツ釜避難小屋(15:00)-発(15:10)-祓川ヒュッテ駐車場(16:10)
(コースタイム:8時間15分)
変更計画;祓川ヒュッテ駐車場(6:45)-七ツ釜避難小屋(8:15)-発(8:25)-氷の薬師(9:25)-発(9:35)-七高山(10:35)-発(10:45)-外輪山分岐(10:55)-御室小屋(11:15)-(昼食)-発(11:40)-新山(11:50)-発(12:05)-御室小屋(12:25)-外輪山分岐(12:50)-七高山(13:00)-発(13:10)-氷の薬師(14:20)-発(14:40)-七ツ釜避難小屋(15:10)-発(15:20)-祓川ヒュッテ駐車場(16:20)
(コースタイム:7時間10分 SM君:8時間25分) 赤はSM君
コースレコード;祓川ヒュッテ駐車場(6:20)-賽の河原(6:55)-(朝食)-発(7:10)-七ツ釜避難小屋(7:50)-発(7:55)-大雪路下(8:35)-発(8:50)-氷の薬師(9:20)-発(9:30)-舎利坂下(10:15)-(休憩)-発(10:50)-七高山(11:25)-(休憩・昼食)-発(13:05)-氷の薬師(13:45)-発(13:55)-七ツ釜避難小屋(15:25)-賽の河原(16:05)-祓川ヒュッテ駐車場(16:40)
SM君:七高山(10:50) 新山(11:45)
実歩行時間:7時間10分 SM君:8時間20分(+1:10)夏山JOY |